ムスタン王国
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- 地域としてのムスタンはムスタンを参照。
ムスタン王国(Mustang kingdom)とは、ネパールとチベットの国境に位置するネパール領の自治王国。ネパール中西部、ダウラギリ地方の北部に位置する。南北約81km、東西約64km、面積3,640平方km。長い間、外国人立ち入り禁止だったために「禁断の王国」とも称される。首都はローマンタン(Lo-Manthang)。人口約7,000人で、住民はチベット族である。言語はチベット語。宗教は、チベット仏教を信仰するなど、チベット文化の影響が大きく、長い間鎖国されていた為、チベットの伝統や文化が破壊されずに原型をとどめている。
現在はネパール領ムスタン郡であるが、15世紀にアメパルを創始者にゴルカ王朝がネパールを統一した1769年にかけて独立した王国であったためか、高度な自治権が与えられている。現在の国王(称号はラジャまたはギャルポ)は、1964年に即位したジクメーパルバル・ビスタ(25代目)。妃はチベット、シガツェの貴族の娘。国王として在位は1代限りで、現国王が没すると王国は消滅する。普段国王夫妻はカトマンズに住み、祭などの時にローマンタンに入る。
標高2,700mのアンダームスタンと標高3,500m以上のアッパームスタンに2分され、アッパームスタンは、チベット動乱以来、1991年10月に解禁されるまで長く外国人の立ち入りが禁止されていた。なお、現在もネパール政府公認の旅行会社を通して申込み、2名上で行動しなければならないという制限がある。以前はリエゾンオフィサー(政府連絡官)の同行が義務づけられたが現在はこちらは廃止された。入域許可費用は10日まで1人700US$、11日目から1日70US$。
[編集] 歴代王一覧
- アメ パル(1450-?)
- サ ドバン(1656-1710)
- ジ アン(1711-1723)
- クラジス ナムギャル(1723-1728)
- テンジン アンジア(1728-1750)
- アンジア ドルジェ(1750-1797)
- クラシ シンポ(1797-1815)
- ジャムパル グラルス(1815-1837)
- クンダ ノルブ(1837-1857)
- ジャムヤン アングドゥ(1857-1863)
- ジャムヤン バナス(1863-1893)
- ジャムヤン パルバル(1893-1935)
- アングン テンジン トランドゥル(1935-1955)
- アング オンドゥ ニィンポ パルバル(1955-1958)
- アングン テンジン トランドゥル(1958-1964)
- ジグメー ドルジェ トランドゥル(1964)
- ジグメー パルバル ビスタ(1964- )
[編集] 関連項目
- ドルポ
- シッキム王国