ミステリーハウス
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『ミステリーハウス』(MYSTERY HOUSE)とは、1980年代に登場したアドベンチャーゲームのタイトル。日本では同名の2本のソフトが存在する。
- 1980年、アメリカのケン&ロバータ・ウイリアムス夫妻が興したシエラオンライン(Sierra On-Line)からApple II用に発売されたソフト。世界初のグラフィックアドベンチャーゲームとして有名。日本では1983年にスタークラフトからFM-7などの機種への和訳移植版が発売。
- 1982年、日本でマイクロキャビン(当時はマイクロキャビン四日市)からMZ-2000用に発売されたソフト。
関わりが深いため、本項目では両方について記述する。
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[編集] 経緯
1970年代にもアドベンチャーゲームと呼ばれるジャンルのソフトは多数制作されていたが、その全てが「文章のみで作中の状況を描写する」という表現方法をとっていた。それが変るのが1980年のミステリーハウスの登場によってである。今となってはアドベンチャーゲームにおいて当たり前の手法である「文章と画像を用いての表現」を最初におこなったのがこの作品であった。シエラオンラインのミステリーハウス(便宜的に以下、シエラ版MHと呼ぶ)の登場(と、そのフォロワー)によって、それまでアドベンチャーゲームと呼ばれていたものはテキストアドベンチャーとグラフィックアドベンチャーの二種に大別されるようになる(これについて詳しくはアドベンチャーゲーム#歴史的背景を参照)。
そうしてアメリカで大ヒットを飛ばしたシエラ版MHだったが、日本では発売が無く知名度が低いままだったところへ、1982年、マイクロキャビンがミステリーハウスと題したソフトを発売、これもまたヒット作となる。日本のコンピューターゲーム史上においてはこのマイクロキャビン版ミステリーハウス(以下、マイクロキャビン版MH)が初のグラフィックアドベンチャーであると言える。
マイクロキャビン版MHは、タイトルとジャンル以外に内容の面でも「謎めいた館の中を探索し、どこかに隠されている宝石を発見して脱出する」というシエラ版MHとの類似があり、このマイクロキャビン版MHの存在を知ったシエラオンライン社は当然良い感情は持たなかった。しかしその販売自体にストップをかける方法は無く、日本のスタークラフトから正式に移植版を出して対抗するという策がとられることとなる。結果として、日本のコンピュータゲーム史上においてはミステリーハウスという全く同じ名のアドベンチャーゲームが2本存在するということになった。日本においては先に流通にのったマイクロキャビン版MHの方が高い知名度を獲得したが、日本以外ではほぼシエラ版MHのみが知られている。
[編集] 概要
どちらの作品でも、行いたい動作とそれに対応する動詞を入力してゲームを進めていく。状況によって必要な場合には目的語を入力する事もある。
[編集] シエラオンライン版
主人公を含め全部で8人の男女が謎の館に招かれた。その館のリビングで見つかったノートには、館のどこかに宝石が隠されている事、そしてそれは発見者のものだという事が書かれていた。それを見て8人は我先にと宝石を捜し始めるが、その中の1人が絶対に自分が宝石を手に入れるために、他の7人の殺害をくわだてた。殺人者の手から身を守り、宝石を見つけ出して館を出る事ができればゲームクリアー。
シエラオンラインの出したハイレゾアドベンチャーシリーズ(HI-Res Adventure Series)の第1弾ソフト。スタークラフトによる日本版では作中のテキストの和訳はもちろん、プレイヤーが入力するコマンドも日本語化されている。ただし部屋を移動するためのコマンドが「ドア イク」であるなど、あまり滑らかな翻訳ではない。
[編集] マイクロキャビン版
謎の館に入る主人公。館に落ちていたメモを拾うと、お金が隠されていると書いてある。様々な仕掛けが施された館の中に隠された宝石を探し出す事ができればゲームクリアー。競争者はおらず、主人公は一人で館を探索する。ちなみにメモの文面では隠されているのは「オカネ」であるとなっているが、実際に主人公が見つけるのは現金ではなくダイヤモンド。
日本産のソフトであるので当然作中のテキストは日本語だが、プレイヤーが入力するコマンドは英単語である。 たとえば、画面上の扉を開けるときには以下のようになる。
- ドウスル?OPEN → ナニヲ?DOOR
また、主人公の向きを変えるときには向きたい方位の頭文字(東=E、西=W、南=S、北=N)を入力する。
続編である「ミステリーハウス2」や、その続編ともいえる「Worry」もあり、またそれらと区別するために「ミステリーハウス1(ワン)」と呼ばれることもある。