マルチパン
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マルチパン (独:Marzipan) は、ドイツのリューベックの名物として知られる洋菓子。砂糖とアーモンドを挽いて練ったものをあわせた、パンというよりも餡のような食感のある菓子で、独特の風味がある。
本来のドイツ語により近い読みは「マルツィパン」。フランス語では「マスパン (massepain)」または「パトダマンド (pâte d’amande)」、英語では「マージパン (marzipan) という。日本ではドイツ語読みが由来の「マルチパン」と英語読みが由来の「マジパン」の両方が普及しているが、現在のところは後者の方が主流。
[編集] 歴史
1407年にリューベックが飢饉に陥った際、市参事会がパン職人に、市の倉庫に大量に眠っているアーモンドを使って何か食べるものを作って欲しいと依頼して創らせたのが起源と伝えられている。現在では市庁舎近くのカフェ・ニーダーエッガーがマルチパンの店としてドイツ全土にその名を轟かせている。
[編集] マルチパンの形と文化
マルチパンはさまざまな形に造形して着色した、一口大のものが一般的。形はフルーツや野菜のものが多く、そのほかにも動物や人物など、いろいろなものがある。鮮やかに着色されているので、店先では菓子というより玩具のように見える。
またチョコレートの中の詰め物に使ったり、薄く伸ばしてケーキの外装に使ったりすることもある。ドイツの伝統的なウェディングケーキやクリスマスケーキはこのマルチパンで外装したものが使われる。
祝い品として使われることも多く、有名なのは豚が金貨をくわえた形をした(ただし金貨は金の色紙でできている)「幸福の豚 (グリュックス・シュヴァイン)」と呼ばれる形態のもの。オーストリアやドイツの一部地域などでは大晦日にこれを贈りあう習慣がある。
[編集] 外部リンク
- カフェ・ニーダーエッガー(ドイツ語)