ホンダ・スティード
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ホンダ・スティードは、本田技研工業により1988年から10年以上にわたり製造販売していたオートバイのシリーズ名。
基本排気量は400ccと600ccの2本立てだが、両車は全高、全長ともに同一の兄弟車である(派生モデルを除く)。エンジンは、ホンダ・NVシリーズのものをベースに、よりVツインエンジン特有の振動感を得られるよう手が加えられている。
モデル末期には、よりローフォルムのシャドウシリーズ(400ccは1997年から併売されていた)に移行する形で消滅している。
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[編集] スティード400・600
1988年に製造開始。
[編集] 概要
- エンジン:水冷4サイクルSOHC3バルブV型2気筒。挟角は52度。出力は30馬力(400cc)、36馬力(600cc)。
- ミッション:5段(400cc)、4段(600cc)
- 足回り:前19インチ、後15インチのホイールを装着。フロントブレーキは前シングルディスク、後ドラム。
- マフラー:標準で右側2本出しという非対称型マフラーを装備。カスタム然とした美しいフォルムが人気を呼んだ。
- ハンドル:初期型は手前側に引き気味のティラー・バー型を装着していたが、後のモデルチェンジにより、400ccモデルに限りフラット・バー型も選択できるようになった。
[編集] 発売当時の評価
低振動化させたエンジンを敢えて先祖返りさせる、ハーレーダビッドソンのフォルムをなぞるといった、それまでのホンダが払ってきた努力を自ら否定する動きに対し、一部のバイク批評家などから疑問の声が上がったが、結果的に新たなジャンルを築いたこと、高性能すぎるバイク(当時はレプリカモデルの全盛期だった)のアンチテーゼとして認められたことから爆発的なヒットを収めた。日本のクルーザー中興の祖(第一期ブームが1980年代前半に存在した)という評価も得た。
[編集] スティードVSE、スティードVCL
1995年7月にVCL(400cc)が、12月にVSE(400cc)が追加、従来型のモデルはVLX(400cc及び600cc)として併売されるようになった。
VCLは、従来型のモデルの装備を簡略化して本体価格を3万円低減させたモデルである。VLSは、後輪にアルミ製ディッシュホイールを追加したほか、大型のハンドルを採用するなど力強さを強調したほかギアレシオの見直し、キャブレターの設定変更により従来モデルから1馬力高めた仕様になっている。
[編集] スティードVLS
1998年、誕生10周年の節目に発売されたモデル。カスタム色を強めクラシカルな外見のスプリンガー・フロントフォーク、21インチの大径フロントタイヤの採用し、よりローダウン化が図られている。エンジンは従来のVSEとほぼ同一だが、ギアレシオの見直しにより低速域での扱い性を高めている。このモデルの投入に際しVSE、VCL、600ccのVLXの製造が打ち切られ、400ccのベースモデル、VLXのみが併売されることとなった。
[編集] 最終モデル
2002年の排ガス規制強化に際してVLSは生産を中止。VLXのみに排ガス規制対応措置(エアの二次導入)が施され、名称はアルファベット表記を用いないスティードに戻されている。これが最後のモデルチェンジとなり、同じ系列のエンジンを搭載するシャドウシリーズに吸収された。