ペースメーカー (陸上競技)
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陸上競技の中距離走、長距離走、特にマラソン競技でみられるペースメーカーとは高水準かつ均等なペースでレースや特定の選手を引っ張る役目の走者のこと。
ペースメーカーを導入することによりレース序盤に選手間の駆け引きがなくなり高記録が期待できる(最先頭を走る競技者の負担が減る)。また選手の風除けの役割も果たす。
近年の陸上競技の商業化から話題づくりのため高記録が求められ、陰に陽にペースメーカーが用いられるようになった。主催者と契約したペースメーカーは一般参加者とは区別され、招待選手等と一緒に扱われることもある(エントリーやスタート位置など)。契約によって、ペースメーカーの役割を終えた後、走り続けて完走してよい場合と完走が許されない場合がある。また、ペースメーカーが特別のナンバーカードなどをつけて選手と区別される場合と共通のゼッケンをつけて一般選手と区別がつかない場合とがある。参加者個人同士の同意や契約でペースメーカーを担うこともある。
また、ペースメーカーと似たもので「ガードランナー」(または単に「ガード」)と呼ばれるものがある。これは、特にスタート直後等の混乱から有力選手を守るためのものである。また、(男女混合レースで)異性の選手に必要以上に近づく参加者を牽制する役目もあるという。
日本ではペースメーカーの存在はマラソンのテレビ中継等では半ば触れるのはタブー視されていた時期もあり嘗ては棄権したペースメーカーに対しアナウンサーが逢えてアクシデントであるかのごとき実況をする事もあったが、近時では主催者側がペースメーカーの存在を公にしており中継で触れる事も可能になった。[要出典]
ペースメーカーは当然であるが一時的にでも、メインの競技者と同等以上の走力を発揮する必要がある。例えば世界記録を狙ってのペースメイクなどは全行程を併走するのは難しいから、スタートから50~80%程度の距離まで先導併走して、残りは競技者が単独で走ることになる。男女混合のレースでは男性ランナーが女性有力選手のサポートをすることも可能で、この場合はゴールまで併走できる見込みも高い。
高橋尚子がベルリンマラソンで当時の世界記録を達成した際は複数の男性走者(ガードランナー及びペースメーカ)に囲まれて併走する姿が報じられた。
オリンピックや世界選手権では国ごとに出場選手の枠が決められるため、ペースメーカーは用いられない。