ベン・ジョンソン (陸上選手)
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獲得メダル | ||
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画像:Ben Johnson Seoul 1988.jpg ソウル五輪のベン・ジョンソン(手前) |
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陸上競技 | ||
銅 | 1984 | 男子100m |
銅 | 1984 | 男子4X100mリレー |
剥奪 | 1988 | 男子100m |
ベンジャミン・シンクレア・"ベン"・ジョンソン(Benjamin Sinclair "Ben" Johnson, 1961年12月30日 - )はジャマイカ出身でカナダ国籍の元陸上競技短距離走選手。
[編集] 経歴
少年時代にカナダに移民し、陸上競技のトレーニングを始める。 1984年、ロサンゼルスオリンピックに出場し、カール・ルイスが優勝した100mと、4×100mリレーで銅メダルを獲得した。これらのメダルは後述のドーピングが発覚した後も取り消されていないため、今日でもオリンピックメダリストである。この頃のジョンソンは目立つ選手ではなかったが、翌年から次第に成績を上げ始める。
1987年、世界陸上選手権大会男子100m(ローマ)でルイスを破って9秒83の世界新記録を樹立(ドーピング発覚後に取消)し、ルイスのライバルとして広く認知されるようになった。この記録は当時、高地で作られた世界記録を平地で破った点でも注目された。終始イーブンペースで走るルイスに対し、ジョンソンは低い姿勢で序盤から最高速を出す「ロケットスタート」を得意としていた。日本でもTVCMに出演するほどの人気になった。
1988年、ソウルオリンピックの100m決勝で9秒79の世界新記録を作って優勝。しかし、競技後の検査でドーピングの陽性反応が出て、世界記録と金メダルを剥奪された。(ジョンソンの記録取り消し後、2位のルイスが出した9秒92が100mの世界記録となる)。日本でもTVCMが打ち切られ、100m決勝の際にNHKのアナウンサーが発した「ベン・ジョンソン、筋肉のかたまり」という声とともに、繰り返し「ドーピングで世界記録を樹立したシーン」が放映された。
ジョンソンが剥奪された記録は、2002年にティム・モンゴメリが9秒78を出すまで幻の記録と呼ばれていた(モンゴメリも後にドーピング発覚により記録抹消)。ギネスブックは「薬物の助けを得たにせよ、人類が到達した最速記録」として、但し書き付きで彼の記録を掲載していた。
その後、陸上競技大会への復帰が認められ、1992年のバルセロナオリンピックの100mに出場したが、準決勝敗退した。ところが、その後出場した競技会で再びドーピングで陽性反応が出たため、公式の陸上競技大会からは事実上永久追放された形になってしまった。
日本では、ジョンソンの山あり谷ありの人生が新たな魅力となり、テレビ番組にゲスト出演している。中でも「トリビアの泉」では、走ることで様々な面白実験に協力している。
- ジョンソンが協力したテーマ(このテーマで100mを走ったときの記録が「種から生まれたトリビア」とされた)
- 動く歩道を全力疾走
- 追い風15mで全力疾走
- 催眠術にかかり全力疾走
ちなみにこのコーナーによると、ベン・ジョンソンの実際の100mの記録は10秒80前後らしい。
2000年7月12日、イタリア旅行中に財布を盗んだ少女を全速力で追いかけたものの、取り逃がしてしまったことがあった(これはトリビアの泉にも取り上げられた)。
現在の仕事はスポーツインストラクター。 余談だが、1930年代に同姓同名の短距離の陸上選手がおり(国籍はアメリカ合衆国)、当時の100m走の世界最高記録を出しながら、「追い風参考」を理由に後に取り消しになったことがある。
[編集] 出演した映画
- アトランタ・ブギ(本人役)