ブラインド
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ブラインド(blind)は、通常、窓の内側に付けられる窓のための覆いのこと。それは、外側にいる人の視線から屋内を隠したり、日光や風を遮るために取りつける簡単な仕掛である。
建物、とくにオフィスでもっとも広く使われているものにベネシャンブラインド(Venetian blind) がある。構造は金属やプラスチックの細長い帯状の板を糸で繋いであり、棒や紐で帯の角度を調節できる。不必要な場合は巻き上げることができるものも多い。この板はスラットと呼ばれ、一般的なものでは横方向であるが、縦型のものもある。横型の場合、強度を得るため翼のように反りがついている。前述のように窓の内側への設置が一般的であるが、一部の客車や住宅用の中には、二重窓の間に設置したものや、複層ガラス(ペアガラス)の間に組み込んでサッシと一体化したブラインドサッシもある。
[編集] 歴史
人工のブラインドが最初に使われたとして記録に残っているのは、今からおよそ五千年前、エジプトのファラオ王朝時代にさかのぼる。 それは繊維でより合わせた葦を戸口や窓辺にぶら下げたもであった。 当時紅海の西海岸を席巻(せっけん)していたペルシャの奴隷商人が、この葦のカーテンを自国に紹介、その後形態が様々に変化しながら世界中に伝わっていったと言われている。その後住環境や人々の意識の変化によって、ブラインドに対するニーズも多様化し、それに伴って改良が盛んに行われ、様々なタイプのブラインドやシェードが発売されるようになった。 現在最も一般的に使用されているヨコ型ブラインドの原型が生まれたのはイタリアのベニスであったようである。 水の都ベニスでは、上から降り注ぐ太陽光のほかに、水に反射して跳ね返ってくる下からの光も遮る必要があった。 そのため、上方、下方のどちらの光も遮ることのできるこのブラインドの形が大変効果的だったのである。 ヨコ型のブラインドをベネシャンブラインド(ベネチアンブラインド)と呼ぶのはここから来ている。当時の素材はウッド(木製)を利用していた。 現在のアルミ製ベネシャンブラインドは1946年、アメリカ(現在はオランダ)ハンター・ダグラス社が開発・発売したものが最初であり、ブラインド業界のパイオニア的存在でもある。
[編集] 目的、効果
ブラインドは本来、外界の光の採り入れを上手に調整するために作られた。窓を単に布で蔽うだけでは細かな調光が難しい。細かなベインの回転や素材の選び方で光をコントロールすることができるのがベネシャンブラインドの特徴である。現在では、アルミ製、木製、布製と様々な素材の製品があり、また縦型、横型と窓にあわせた選び方が可能である。ヨーロッパ諸国ではブラインド文化が根付いているが、日本ではカーテン文化が圧倒的に強い。しかしながら、優れた断熱性、遮熱効果や多種多様な機能はカーテンでは生み出せない部分である。