フランス国鉄CC72000形ディーゼル機関車
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フランス国鉄CC72000形ディーゼル機関車(-こくてつせーせー72000がたでぃーぜるきかんしゃ)は、フランス国鉄(SNCF)が保有・運行する電気式ディーゼル機関車である。
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[編集] 概要
フランス国鉄が1960年代後半に、特急旅客列車から重貨物列車まで、幅広く対応できるように、従来のディーゼル機関車(CC67000形など)よりも出力を強化した機関車が、このCC72000形である。
1967年~1974年の間に、92両がアルストムで製造された。
車体形状は、CC6500形電気機関車同様のいわゆるゲンコツスタイル(フランス語では"nez cassés"(壊れた鼻))であり、ディーゼル機関車では唯一の採用例である。新製時の塗装は濃青色となっている。
台車は3軸ボギー台車を2台装備し、全軸が動軸となっている(即ち、軸配置としてはC-Cとなる)。
機関は、SACM製製のエンジンを搭載し、ディーゼル発電機で発生した電力で電動機を駆動する。機関車としての定格出力は2,650kWで、これはフランス国鉄のディーゼル機関車としては最強である。なお、1台車1電動機方式を採用している。
最高速度は、最初の20両は140km/h、あとの72両は160km/hである。またCC6500形同様、貨物列車の牽引にも対応できるように、歯車比可変機構が装備されており、歯車比を変えると、最高速度は85km/hとなる。
[編集] 現状
1999年から数年間、TGV大西洋線の列車が、ヴァンデ県の郡庁所在地で、大西洋岸のマリンリゾート地でもあるレ・サーブル・ドロンヌまで直通していたことがある。ただし、この区間は当時は非電化であったため、ナントから本形式が牽引した。この運用のため、72061、72062、72064の3両が、TGVと連結するための密着連結器取り付け改造などを受けている。現在は直通運転は中止されており、連結器も元に戻されている。
2002年からは、一部の機関車に対して、エンジンの交換(SEMT-Pielstick製に取替え)が実施されている。出力は2,650kWで変わらないが、番号は原番号に100を加算しており、CC72100形となっている。2005年までに30両が改造された。
一方、エンジンの交換がなされず、CC72000形として残っている車両は、2006年現在、廃車が進められている。
数は減りつつあるが、いずれも長距離優等旅客列車の牽引から、重貨物列車の牽引まで、幅広く活躍している。
[編集] その他
フランス国鉄では現在、列車の運行を目的別に6つの部門に分けており、車両がどの部門に属するかを10万番台で区別している。
- 長距離旅客輸送部門(VFE):100,000番台
- 中距離旅客輸送部門(CI):200,000番台
- 地域旅客輸送部門(TER):500,000番台
- 首都圏旅客輸送部門(Transilien):800,000番台
- 貨物輸送部門(Fret):400,000番台
- インフラストラクチャ部門(RFF):600,000番台
このため、所属部門によって、以下の番台が存在する。所属に応じた塗装変更も一部行われている。
- CC72000形:172000番台・272000番台・472000番台・572000番台
- CC72100形:172100番台・272100番台・572100番台
[編集] 主要諸元
[編集] CC72000形
- 最高速度 : 140km/hまたは85km/h(前期車)/160km/hまたは85km/h(後期車)
- 動力伝達方式 : 電気式
- 定格出力 : 2,650kW
- 軸配置 : 6動軸 (C-C) 1台車1電動機方式
- 全長:20,190mm
- 自重 : 110t-114t
- 軸重 : 18.3-19.0t
- 製造両数 : 92両
- 製造所 : アルストム
[編集] CC72100形
- 最高速度 : 160km/hまたは85km/h
- 動力伝達方式 : 電気式
- 定格出力 : 2,650kW
- 軸配置 : 6動軸 (C-C) 1台車1電動機方式
- 全長:20,190mm
- 自重 : 105t
- 軸重 : 17.5t
- 改造両数 : 30両