ビットスライス
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ビットスライスとは、CPUを小さなビット幅のモジュールを組み合わせて構築する技術。ビットスライスによるプロセッサ構築に使うICチップをビットスライスプロセッサと呼ぶ。
また、音声や画像のデータをビットプレーン構造に格納する操作をビットスライスと呼ぶ。詳細はビットプレーン参照。
[編集] 概要
ビットスライスプロセッサは各オペランドを所定のビット幅ぶん(スライス)だけ処理する。ビットスライスプロセッサを組み合わせて設計上の完全なワード長の処理を実現する。ひとつのビットスライスプロセッサは、1/2/4/8ビット幅の演算論理装置 (ALU) と、通常CPU外部には出されないキャリーやオーバフローといった制御ラインから構成される。例えば、2個の 4ビット・ビットスライスプロセッサの制御ラインを相互接続すると 8ビットのプロセッサ(正確にはALU)が構成される。ALUを制御するための制御装置や他のCPU内コンポーネントは別の回路として接続する必要がある。ビットスライス式マイクロプロセッサの実例としては、Intel 3000 ファミリ、AMD Am2900ファミリ、ナショナル セミコンダクター IMP-16/IMP-8ファミリなどがある。これらは、ALU以外のCPU回路もチップとして提供しているため「ファミリ」と呼ばれている。
[編集] 歴史
かつて、ビットスライスは一般的に使われる技術であった。集積回路の集積度が低く高価であった当時、コンピュータシステムのバス幅をどれだけにするかという議論があった。複数の単純な(かつ安価な)ALUを組み合わせて使用することは、費用を抑えつつ計算能力を高めるための効果的な方法であった。
この記述は GNU Free Documentation License のもとに公開されているコンピュータ用語辞典『 Free On-line Dictionary of Computing (FOLDOC) 』に基づいています。