パーセプトロン
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パーセプトロン(perceptron)は、1957年に心理学者フランク・ローゼンブラットによって提案されたニューラルネットの一種。視覚と脳の機能をモデル化したものであり、パターン認識を行う。シンプルなネットワークでありながら学習能力を持つということがニューラルネットブームを巻き起こした。
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[編集] 形式ニューロン
神経生理学者・外科医であるウォーレン・マカロックと論理学者・数学者であるウォルター・ピッツによって、形式ニューロンというモデルが考えられた。このモデルはチューリングマシンと同等の計算能力を持つ。
このモデルは、wを重みづけ、xを入力信号(0から1まで)、しきい値をhとするとき、Hをヘヴィサイドの階段関数とするとき、
で表される。
[編集] 単層パーセプトロン
ローゼンブラットはこの形式ニューロンの考え方を基にしてパーセプトロンを開発した。 S層(感覚層、入力層)、A層(連合層、中間層)、R層(反応層、出力層)の3つの部分からなる。 S層とA層の間はランダムに接続されている。 S層には外部から信号が与えられる。A層はS層からの情報を元に反応する。R層はA層の答えに重みづけをして、多数決を行い、答えを出す。
1970年頃、デビッド・マー[1]とジェームズ・アルブス[2]によって小脳はパーセプトロンであるという仮説があいついで提唱された。のちに神経生理学者伊藤正男らの前庭動眼反射に関する研究[3]によって、平行繊維-プルキンエ細胞間のシナプスの長期抑圧(LTD, long-term depression)が見つかったことで、小脳パーセプトロン説は支持されている。
[編集] ミンスキーとパパートによる批判
単層パーセプトロンは線形非分離な問題を解けないことがマービン・ミンスキーとシーモア・パパートによって指摘された。
[編集] バックプロパゲーション
デビッド・ラメルハートとジェームズ・マクレランドはバックプロパゲーションという方法をパーセプトロンに取り入れこの限界を克服した。
[編集] 文献
- ^ Marr, D. (1969). “A theory of cerebellar cortex”. Journal of Physiology 202: 437-470. PMID 5784296.
- ^ Albus, J.S. (1971). “A theory of cerebellar function”. Mathematical Bioscience 10: 25-61.
- ^ Ito M, Sakurai M, Tongroach P (1982). “Climbing fibre induced depression of both mossy fibre responsiveness and glutamate sensitivity of cerebellar Purkinje cells”. Journal of Physiology 324: 113-134. PMID 7097592.