パブリックスクール
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
パブリックスクール
- 英国のイングランドにおける教育制度で、中世以来の伝統をもつ私立の中等教育学校。大部分は寄宿制であり、一流大学進学を前提とする裕福な階層の子どもたちが、厳格な規律の下に集団生活を送っている。インデペンデント・スクールの一種。本項で解説。
- アメリカの公立学校。アメリカでは、私立学校はプライベート・スクール(私立学校)またはインデペンデント・スクール(独立学校)という。
イギリスのパブリックスクール(Public school)は、イギリスのジェントルマン階層の子弟を養成するものとして、深くイギリスの社会の中に浸透している。多くが全寮制で、自由と規律、公正なスポーツマンシップと互いの尊重など、イギリスの教養ある人士の基本となるものを身に着けさせる為の学校であるとされる。
[編集] パブリックスクールの変遷
ウェストミンスター、ウインチェスター、イートン、ハロー、ラグビー(ラグビー・フットボール発祥校の逸話あり)、マーチャント・テイラーズ、セントポールズ、シュルーズベリー、チャーターハウスの9校が「ザ・ナイン」と呼ばれる代表的な名門校である。
更に新しい世代のものとしてはゴードンストウン、キングス・ウィンブルドンなど。元々は全寮制の男子単学であったが、ゴードンストウンやチョートなど新しい世代のプログレッシブ(progressive―前衛)と呼ばれる学校群が男女共学に踏み切ったため、徐々に女子も入学出来るようになってきた。
それぞれ学校名にはSchool若しくはCollegeがつくが、一般に、イートン校(Eton College)、ハーロー校(Harrow School)、ラグビー校(Rugby School)といった呼称が日本では使われている。1387年に司教ウィカムが創立したウィンチェスター・カレッジ(イングランド、ハンプシャー州ウィンチェスター)は最古のパブリックスクールと言われている。
1969年にロンドンのペンギンブックス社(en)から発行されたロバート・シキデルスキー(Robert Skidelsky)著 "English Progressive Schools" (ISBN 978-0140210965) が、これらの学校に新しい光を当てた書籍として定評がある。
[編集] パブリックスクールの意味
私立であるのに公共を意味する「パブリック」と称するのは高額な費用さえ用意できれば志願者を拒まない方針、また出身地や居住地を問わず生徒を受け入れるためである。入学者は上流階級や専門職を持つ中流階級の裕福な家庭の出身が多い。
イギリスの「プライベート」は、インデペンデント・スクールのうち、パブリックスクールに入学するための受験校であるプレップ・スクール(en)を指す。
これに対して公立学校は地元の生徒のみを受け入れるため「ステート(公立)スクール」と呼ばれる。なお、この呼称はイギリスでもイングランド地方のみであり、同じ国内のスコットランド・ウェールズ・北アイルランドでは公立学校を「パブリックスクール」と呼ぶ。