バックスラッシュ
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バックスラッシュは約物の一つで、「 \ 」と書き表される。バックスラッシュとはスラッシュ ( / ) の逆という意味である。「 / 」に比べれば、自然言語ではあまり使われることのない記号である。
バックスラッシュと円記号 (¥) の問題については、¥記号を参照のこと。
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[編集] コンピュータにおけるバックスラッシュ
コンピュータでは、バックスラッシュ (U+005C) はさまざまな局面で使われている。
- MS-DOSでは、ディレクトリ(フォルダと類似の概念)名の後に置く、パス区切り記号として起用され、Windowsにも受け継がれた。詳細はCP/M#MS-DOSとの比較を参照。
- Windowsにおいては、ファイル・フォルダのパス名だけでなく、レジストリのパス名や、内部的なデバイス名のパス名としても用いる。
- BASICでは、整数除算演算子。たとえば「PRINT 10 / 3」は「3.3333…」を出力するが、「PRINT 10 \ 3」は「3」となる。
- TeXの命令は、先頭がバックスラッシュで始まる。
また、UNIXおよびそこから派生したさまざまな環境において、通常記述できない文字を記述する方法として広く用いられる。
- C言語およびその派生言語(C++、Java、Perlなど)において、文字定数や文字列定数内でエスケープシーケンスとして用いる。
- UNIXのシェルのコマンドラインや、スクリプト言語の正規表現において、特殊な意味を持つ記号(メタ文字)の前に記述し、その意味を打ち消し単なる文字として扱う。
- 正規表現においては、逆に特殊な意味を付与することもある。
\( \) \1
など。
- 正規表現においては、逆に特殊な意味を付与することもある。
- UNIXのシェルスクリプト、C言語のプリプロセッサ命令、Pythonスクリプト、Makefileなどにおいて、論理行が複数の物理行にまたがる場合に、行の継続を表すために用いる。
[編集] バックスラッシュと円記号
ASCIIのバックスラッシュ (0x5C, 5/12) はJIS X 0201では円記号であるため、日本のコンピュータや日本語のフォント・OS環境ではバックスラッシュが円記号として表示されるものが多い。Unicode#日本語環境でのUnicodeの諸問題も参照。
JIS配列のキーボードでも通常はバックスラッシュがなく円記号が刻印されている。PC/AT互換機のJIS配列(OADG 109/109A配列)キーボードでは、バックスラッシュと円記号が両方とも(別々のキーに)刻印されているが、どちらを押しても円記号が入力されるだけである。これは日本IBMのキーボードの刻印に由来するもので、メインフレームの端末として設計された時代の名残であり、今日の一般的なPC環境で円記号とバックスラッシュが共存できることを意味しているわけではない。
[編集] 共存方法
[編集] 円記号
確実に円記号を表示するためには0x5Cでなく0xA5の文字を使えばよい。この文字はHTML文書においては文字参照「¥」で表示させることができる。
[編集] バックスラッシュ
確実にバックスラッシュを表示させるには表示フォントを指定する以外にはない。日本語・韓国語以外のフォントであれば0x5Cの文字はバックスラッシュとして表示される。フォントの指定をしたくない場合、次善の策としてHTMLのlang属性を英語(en)などにすると、通常であればバックスラッシュで表示される。ただしブラウザの設定によっては英語の表示フォントが日本語フォントになっている場合もありうるため確実な方法ではない。
ブラウザでの表示 | HTMLソース |
---|---|
\ ¥ |
<html> <head> </head> <body> <span lang="en">\</span> ¥ </body> </html> |
なお、IEなど一部のブラウザは文字コードがUTF-8の時は0x5Cをバックスラッシュとして表示する。