ハイドンの主題による変奏曲
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《ハイドンの主題による変奏曲》（はいどんのしゅだいによるへんそうきょく）は、《ハイドン変奏曲》の略称や、《聖アントニウスのコラールによる変奏曲》の別称でも親しまれているブラームスの作品。1873年に作曲された。先に2台ピアノ版が完成されたが、こちらが作品56bとされた。一般には、管弦楽版の作品56aが有名である。
目次 |
[編集] 管弦楽版の楽器編成
| 木管 | 金管 | 打 | 弦 | その他 | ||||||||||||
| Fl. | Ob. | Cl. | Fg. | 他 | Hr. | Trp. | Trb. | Tub. | 他 | Vn.1 | Vn.2 | Va. | Vc. | Cb. | ||
| 2 Pic.1 |
2 |
2 |
2 Cfg.1 |
4 (変ホ管・変ロ管 各2) |
2 |
Tim., Tri. |
● |
● |
● |
● |
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[編集] 主題
ブラームスは1870年に、友人でウィーン楽友協会の司書、カール・フェルディナント・ポールから、当時はハイドン作とされていた《ディヴェルティメントHob.Ⅱ.46》の写譜を示された。その第2楽章は「聖アントニウスのコラール」と題されていた。ブラームスが変奏曲の主題に用いたのがこれである。
近年の研究によって、主題であるコーラルはハイドン作のものではなく、古くからある賛美歌の旋律を引用したものと考えられているため、最近は《聖アントニウスのコラールによる変奏曲》と呼ぶ向きも見られるが、一般には《ハイドン変奏曲》との呼称が定着している。
[編集] 楽曲構成
- 主題
- Andante 変ロ長調
- 序奏はない。10小節単位の楽節構造が特徴的な主題で始まる。この変わった特色がブラームスの関心を惹いたのかもしれない。すべての変奏は、ほぼ例外なく、主題の楽節構造に従っている。和声構造については、あまり厳密に従ってはいない。各変奏ははっきりした性格づけがされ、いくつかの変奏は、古い時代の音楽形式や作曲技法が使われている。ロマン派音楽ではめったに遭遇することのない、老練な対位法も発揮されている。
- 第1変奏
- Poco piu animato 変ロ長調
- 弦が中心で、対位法的な進行を見せる。
- 第2変奏
- Piu vivace 変ロ短調
- 木管が付点リズムの特徴的なメロディを奏でる。
- 第3変奏
- Con moto 変ロ長調
- やはり木管が中心だが、のびやかである。
- 第4変奏
- Andante con moto 変ロ短調
- オーボエとホルンのゆったりしたメロディが、二重対位法で進行する。
- 第5変奏
- Vivace 変ロ長調
- スケルツォ風の軽快な変奏。
- 第6変奏
- Vivace 変ロ長調
- ピツィカートの上で、ホルンとファゴットがリズミカルにメロディを奏でる。
- 第7変奏
- Grazioso 変ロ長調
- フルートの哀愁漂うメロディを、弦が引き継ぐ。
- 第8変奏
- Presto non troppo 変ロ短調
- 不気味に動き回る弱音弦の上に、木管が陰鬱な調べを乗せる。非常に不満足な形で終止して終曲に続く。
- 終曲
- Andante 変ロ長調
- 壮麗なパッサカリアであるが、これ自体がバス・グラウンド技法による一種の変奏曲である。パッサカリア主題は、コラール主題を引き継ぎ、5小節単位であり、これが19回変奏される。終曲のクライマックスは、コラール主題の再呈示であり、堅物のブラームスがあえてトライアングルを使おうとした、特別な機会の一つである。コーダにおいて、ブラームスはハイドンの新作から楽句を引用している。第463小節から464小節において、ヴィオラとチェロが、ハイドンの《交響曲第101番「時計」》第2楽章の第148小節から、チェロの楽句を谺している。ちなみにこの楽章は、管弦楽曲に変奏曲形式を導入した、ハイドンによる先駆的かつ模範的な試みの一つであった。
[編集] 外部リンク
- ブラームス『ハイドンの主題による変奏曲』の総譜 (HTML) - IUDLP: The Indiana University Digital Library Program
