ネット中毒
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ネット中毒(―ちゅうどく)またはオンライン依存症(―いぞんしょう、いそんしょう)とは、インターネット(古くはパソコン通信)に接続し、チャットやBBSへの書き込み、オンラインゲーム等を長時間にわたってやり続けるなど、現実世界の生活に支障をきたすまでになってきている嗜癖状態を指す、主に俗語として使われる表現である。
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[編集] 概要
1990年代終わり頃までは、一種の自嘲ないし揶揄を含む表現であったが、近年ではインターネット上のサービス利用者が精神的に不安定な兆候を示す例も報告されており、社会問題として提起されている。
通常の生活がネット利用によって、好ましからざる影響を受け、以下のような状況に陥っている状態をいうことが多い。
- 睡眠不足や昼夜逆転生活
- ドライアイ・眼精疲労や腰痛、キーボード腱鞘炎といった長時間端末を操作する事による健康的異常
- ネットゲームや会員制有料チャット等のサービス利用料金から来る、経済的圧迫(実際は家族が払っていることも多い)
- 特殊なコミュニティにばかり関係し、世間一般の常識が欠落する、更には自分で気付かずに非常識な言動をしている
- ネット上で解放されたと思っており、現実の状況は「本当の自分の姿」では無いという認識を抱く
- ネットコミュニティ上で賞賛されている状態を長引かせたいがために、犯罪的行為や実際の犯罪行為すら辞さなくなる、法的逸脱状態
[編集] 社会現象
日本でも、欧米でも、ネットに没頭する余り、実生活を省みないと目される人は多く、特に日本では、引きこもりと呼ばれる対人恐怖症や広場恐怖症・パニック障害等の複合的症状を示す人が、ネットに依存した生活をおくっていると見なす識者は多い。
ネット上の各種サービス利用料金も、大きな問題を生む事があり、韓国ではネットゲーム上の商品である(アバターに着せる事の出来る服の)データを、電話料金上乗せで課金される環境で、親に内緒で安易に買い過ぎた11歳の女児が、母親に叱られたショックで自殺するという事件もおきており、利用者の年齢で利用額に上限を設けようという業界方針以前に、児童向けサービスに課金する企業の姿勢を問題視する市民の声も挙がって、商業サービスの収益と依存性という現象に、倫理的な問題が提起されている。
オンラインゲーム『エバークエスト』において、仕事をやめて1週間通してプレイし続け、ついには自殺した例や、やはり他のオンラインゲームでも「ゲームをプレイし過ぎて過労死」という事例もアジア方面で社会問題化している。ただ、アジア方面のオンラインゲーム過労死については、RMTなどに絡む他の要因を含むため、一概に「ネット中毒の末の過労死である」と言う事は出来ない。詳しくはアジア諸国でのネトゲ廃人事情を参照されたし。
他方、掲示板で騒がれたくて動物虐待事件を起こした例(→福岡猫虐待事件)や、ネットアイドルを標榜していた者が、2006年に自分のブログに注目を集めたいがためだけに連続放火を行った事件も報じられており、インターネット上での注目を集めたいという動機による犯罪行為も、従来は考えられなかった動向だとして、しばしば報道にも大きく取り上げられている。
[編集] 心理面から見たネット中毒
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この分野は、ネットというメディアが誕生した事と、心理学面の因果関係立証には多大な時間が掛かる事もあって、研究はまだ始まったばかりという段階である。それだけに、安易に「ネットに依存する病気である」と述べるのは非常に危険である。ただその一方で、インターネット依存症という論理も存在しており、インターネットの提供しているサービスの依存症状態に陥っていると見なす向きも存在する。
なおカナダ・アルバータ大学大学院のMary Modayilによるレポートでは、ネット中毒者のほとんどが、ネットに没頭する以前より、うつ病などの顕著な症状が確認されており、むしろチャットや掲示板利用を好むネット中毒と目される人は、社交性が強くて、地域ボランティア等の活動に参加する事を好むと述べている。
同レポートでは、精神的に何らかの問題を抱えて、なお、他人との接触を求めてネットのコミュニティに、たとえ匿名であっても参加する事は、本人がそれらの問題を克服するきっかけを求めて活動する意欲があるためだともしており、ネット中毒は精神的な問題を生むのではなく、逆に精神的な問題から、ネットを利用して精神的な健康を取り戻そうとしているのだとすら述べている。勿論、これも研究中の段階にあるために、100%信用する事もできない。
いずれにしても、完全な孤立ではなく、さりとて日常の対人関係とも違うと云う点で、微妙な問題を含んでいるし、また当人らがそれなりの充足を感じていると云う点で、何らかの癒し効果があるのかもしれない。