オンラインゲーム依存症
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オンラインゲーム依存症(オンラインゲームいぞんしょう)とは、インターネット依存症の一種でオンラインゲームにおいて、ゲームに熱中するあまり一日のほとんどの時間をゲームのプレイに費やし、社会生活を営めなくなる状態のこと。ネット中毒の一種で俗語やインターネットスラングとしてはネトゲ廃人(ネトゲはいじん)などがある。
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[編集] 概要
近年、コンピュータネットワーク(インターネット)へと依存し、会社・学校などに行けなくなったインターネット依存症、ことにコンピュータゲームの中でもネットゲームといったようなものに熱中するあまり、これらゲームに過剰な依存状態を示す人間が存在する。
韓国や中国では、10代や20代の人間が寝食を忘れてゲームに熱中し過労死してしまうという事件も発生している。これに関しては中国国内でも社会問題化しており、2006年7月には国主導によるオンラインゲーム依存症防止プログラムが導入されることが報じられている[1]。
ただ、この問題はオンラインゲーム自体が病因として指定されているわけではなく、インターネット上のサービス全体に絡んで扱われる傾向がある。本項では主にオンラインゲームに於ける過度の熱中をユーザーサイドから見た現象を説明する。疾患としての依存症に関しては、インターネット依存症の項を参照のこと。
[編集] ネトゲ廃人
MMORPGにおいて、キャラクターに経験値を稼がせてレベルアップを繰り返したり、装備を整えたりするためには、通常のコンピュータゲームとは比べ物にならない膨大な時間が要求されることが多い[2]。
このようなゲームにおいて、特に「日常的に非常に過密かつ長時間のプレイを行う」プレイヤーは、薬物依存症による廃人になぞらえて「ネトゲ廃人」ないし「オンラインゲーム廃人」と呼ばれている。そのプレイスタイルの為、キャラクターの強さを示す「レベル」が、廃人ではないユーザーと比較して、より多くの時間を費やすことから高くなりがちになるという特徴がある。その性質の為、FPSや一部MMORPG(FPS寄りで対人主眼のゲームやレベルの上がりが比較的早いライト向けのゲーム)などの「レベルに全くあるいはほとんど価値がない」ゲームでは発生しにくい傾向にある[3]。また、レベルは兎も角としてもレアアイテムと呼ばれるゲーム内の希少なアイテムの収集に勤しんだり、あるいはオンラインゲームに備わっているチャットなどのコミュニケーション機能で他のプレーヤーと交流することに入れ込んだりといった、様々な類型も存在する(→ネット中毒・インターネット依存症)。
ネトゲ廃人は、時間的に余裕のあるニートや引きこもりやフリーターあるいは主婦・主夫であることが多いと考えられる。しかし、会社員などの時間的余裕のない人間でも、ゲームにのめり込むあまり学校·会社などを辞めてしまい、「廃人」になるケースが存在する。これは一般的な依存症に於ける精神依存の形とも言えるが、そのような素養を持つ者がゲームに没入している状態が、いわゆる「廃人」である。漫画家がネトゲ廃人の場合、これが原因で休載が多くなるというのではないかという懸念もある。
基本的には自嘲的な意味合いを持った蔑称であるが、尊称として用いられる場合もある[4]。
オンラインゲーム廃人の有名な例として、エバークエストのエバークラックやRO廃人がある。
また、通常のオフラインのコンピュータゲームであっても、1つのゲームに重度にのめり込み熱中するプレイヤーの事を、この"ネトゲ廃人"になぞらえて「廃人」と呼ぶ事がある。
[編集] 著名な"ネトゲ廃人"
- 永野護(メカデザイナー) - ファンタシースターオンライン、ファンタシースターユニバース
- 緑川光(声優) - ラグナロクオンライン
- 田中理恵(声優) - ファンタシースターオンライン、ファンタシースターユニバース
- 小野坂昌也(声優) - ファンタシースターオンライン、モンスターハンター
- 植田佳奈(声優) - 元ネトゲ廃人。ラグナロクオンライン、モンスターハンター、HALO3他
- いのくちゆか(声優) - ファイナルファンタジーXI
- 中山千夏(作家) - カーディナルサーガ
- 真島ヒロ(漫画家) - モンスターハンター
- 吉河美希(漫画家) - モンスターハンター
- 冨樫義博(漫画家) - ファイナルファンタジーXI
- 辻あゆみ(声優) - トリックスターラブ
- 小菅真美(声優) - ウルティマオンライン、EverQuest他
[編集] 脚注
- ^ 中国情報局『オンラインゲーム依存症防止システムがまもなく開始』2006年7月27日
- ^ MMORPGは、通常のゲームと違って売り切りではなく、接続日数による課金かアイテム課金によって収益を上げるシステムを取っている。接続日数による課金の場合は、ユーザーを短期間で飽きさせてしまわない為、またアイテム課金の場合は、レベルの上昇や貯金の効率を上げる課金アイテム(現実のお金でしか買えないアイテム。ゲーム進行に非常に有益な場合が多い)を売ることによって収益を上げるため、両方とも、わざとLvの上がりやお金の貯まりが悪いゲームデザインにしてあると思われる。
- ^ 発生しにくいだけで存在はする。ただし、FPSに関しては1ラウンドが数分から数十分で終わる区切りのよさや、一人称視点による3D酔い・目の疲労のし易さから殆どないと言える。
- ^ うさだBlog『MMORPG用語の基礎知識』2006年10月26日