トリミング (映画)
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映画におけるトリミング とは、ワイドスクリーンサイズで製作された映画の画面サイズを変更加工することの総称。
テレビ創世記、テレビの画面サイズが、当時主流だった映画のスクリーンサイズ(スタンダードサイズ。比率が縦3:横4)に併せた比率で企画され、このスタンダードサイズが事実上テレビの世界標準サイズとなった。その後映画がテレビに対抗するため、画面比率の大きなシネマスコープやビスタサイズ、シネラマなどのワイドスクリーンを次々に開発、テレビとの差異をつけていった。
しかしこれらのワイドスクリーンサイズの映画をテレビ放映する際には画面比率が合致しないため、テレビ画面に収まるように画像全体を縮小して放送するか、或いは画面の上下左右をカット調整(トリミング)してスタンダードサイズに加工したものを放送するようになった。
ビデオソフトの黎明期に入ると、作品をテレビ放送に準拠して画面サイズをスタンダードサイズに合致するように加工したものが発売されるようになる。1990年代後半になると、レーザーディスクソフトの普及に伴いソフトの画質が向上、画像全体を縮小して、作品をオリジナルサイズに近い姿で発売することが徐々に主流となっていった。さらにDVDが登場するとスクイーズ収録で発売される作品も続出し、オリジナルサイズが大きくても画質をそれほど劣化させずに収録できるようになり、ワイドスクリーンサイズの映画をトリミング加工して発売するソフトは減少傾向にある。
現在ソフトの主流といえるDVD及び次世代DVDなどはほぼオリジナルサイズに近い形で収録されているが、テレビの地上波放送に関しては現在もトリミングを行い、画面サイズをスタンダードサイズに調整加工して放送することが主流である。 近年ではスコープサイズの作品をスタンダードサイズにまでトリミングすると画面情報が大きく欠落してしまうことから、トリミング量を最小限にし、ビスタサイズにトリミングして放送・発売する方法も採られるようになった。
[編集] トリミングの功罪
ワイドスクリーンサイズの映画はトリミングすることで、スタンダードやビスタサイズの画面に収まるようになるが、映画は基本的に監督の意図や意向によってスクリーンサイズが定められ、それに見合った画面構図が設計されている。テレビ放送やビデオ発売に併せたトリミングを行うと、監督の意図した画面構図が崩れてしまうため、古くから批判の声が挙がっていた。後年になると、テレビサイズ用のトリミング作業も監督が手がける作品も登場した。