トラブゾン
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トラブゾン(Trabzon)は黒海沿岸のトルコの都市。トラブゾン県の県都。人口は約15万人。トルコ東北部における経済活動の中心として重要な港湾都市である。飛行場や1963年創設の工科大学がある。古くはトラペズス(Trapezous, Τραπεζούς)、トレビゾンド(Trebizond)とも呼ばれた。
紀元前7世紀にギリシア人によって交易都市として建設された。ポントス王国、ローマ帝国の支配下において繁栄する。とくに、ペルシアやメソポタミアへの通商路の基点として重要な都市となったが、258年にゴート人に破壊された後は衰えた。その後は東ローマ帝国の地方都市となり、中世にはテマ(軍管区。中世東ローマ帝国の地方行政単位)-カルディアの首府としてポントス地方の中心都市となった。
第4回十字軍によるコンスタンティノポリス占領の際、コンスタンティノポリスから逃れたアレクシオス・コムネノス(東ローマ皇帝アンドロニコス1世コムネノスの孫)が、グルジア女王タマルの支援を受けて、1204年、トラブゾンを首都とした亡命政権トレビゾンド帝国を建てた。領土は限定的であったが、グルジア王国や白羊朝(アク・コユンル朝)などと姻戚関係を結ぶことで政治的独立を維持し、トラブゾンは交易港として栄えた。1461年にトレビゾンド帝国はオスマン帝国のメフメト2世によって滅ぼされた。