ダッジ・チャージャー
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ダッジ・チャージャー (Dodge Charger) は1966年に初代が登場したクライスラー・ダッジのスポーツカー。いわゆるマッスルカーの1つである(一般的な乗用車にスポーツカー風のボディを架装したスペシャルティカーとする場合もある)。2007年6月30日からは日本市場でも発売されている。
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[編集] 歴史
[編集] 初代(1966-1978年)
チャージャーはダッジが当時大人気を博していたフォード・マスタングなどのマッスルカーに対抗するために開発された。当時、ダッジのラインナップに存在したコロネットというセダンのシャーシ(Bプラットフォーム)をベースにV型8気筒エンジンを搭載。グレードは幾つか存在したが最上級のモデルには426Hemiという高性能なレース用エンジンのストリートバージョンを搭載した。このモデルは400馬力を超えるパワーを持ち、停止状態から時速60マイル(約96km)まで6秒弱で加速するという当時としては強烈なパワーを誇った。翌1967年には排気量440キュービックインチ(=7210cc)のマグナムV8エンジンを搭載するチャージャーR/Tが登場、独特な外装が与えられたモデルだが、今でもチャージャーを特徴付けるものとして人気が高い。また、チャージャーはスーパー・ビーというマッスルカーのベースにもなった。
強力なエンジンを積んだチャージャーはレース関係者の目も留まることとなり、NASCARなどのアメリカンレースでの使用を意識したモデルチェンジがなされるようになる(当時、NASCARは本当の意味でストックカーレースであった)。特に1969年に登場したチャージャー500はレース指向が強く、これをベースにダッジ・ディトナが(兄弟ブランドのプリマスからもプリマス・スーパーバードとして)発売された。これらがダッジに「レースと市販車の距離が近い」というイメージを付けていく。この初代チャージャーはモデルチェンジを繰り返しながら1978年まで生産された。なお、この初代チャージャーはスティーブ・マックイーンが主演した1968年の映画『ブリット』にも登場、マックイーンが運転するマスタングGT390とカーチェイスを演じている。
[編集] 2代目(1983-1991年)
1983年にダッジから3ドアのハッチバックとして再びチャージャーという車が発売されている。初代がFRだったのに対しこれはFFレイアウトのLプラットフォームを使用したモデルでそれほどのホットモデルではなかったが、シェルビーによってチューンされたものなども存在する。1991年まで生産された。
[編集] 3代目(2005年-)
1999年にダッジからチャージャーの名を与えられたコンセプトカーが発表され、2005年にチャージャーは4ドアのセダンとして復活した。ボディは大柄で、搭載するエンジンはハイパワーなV8(V型6気筒のモデルもある)というアメリカンマッスルカーの復活を思わせる車である。LXプラットフォームを使用している。
2006年には5.7リットルのV8ヘミエンジンを搭載する「チャージャー・ディトナ」が登場、このデザインを持つマシンがNASCARにも登場する予定だ。またSRT-8という6.1リットル、400馬力超のモデルも登場、さらに2007年にはチャージャー・スーパービーの名前を持つモデルが登場予定である。全日本プロドリフト選手権 (D1GP) ではアメリカ人ドライバーのサミュエル・ヒュビネットにより、2006年後半からチャージャーをベースとしたドリフト車がデビューした。FRで大排気量エンジン搭載でターボなしでも500馬力を誇っている。
[編集] 警察仕様車
このモデルにはパトカー仕様がある。エンジンは5.7リットルのV8ヘミエンジンと、3.5LのV6。基本的には民間用のものと共通しているが、無線機や端末などをセンターコンソール部分に設置するため、シフトレバーがコラムシフトになっているなどが異なる。アメリカ国内のいくつかの警察、保安官、ハイウェイパトロールにおいて、捜査用や警邏用車両としての採用実績がある。2006年8月、アメリカ最大の警察機関であるニューヨーク市警察 (NYPD) が15台を試験的に導入した。その際の調達価格は一台あたり$28,511であった[1]。
[編集] 日本での展開
2007年6月30日にダイムラー・クライスラー日本(当時。現在はクライスラー日本)が、ダッジ・ブランドの再導入に併せて、3代目が日本としては初めての導入となった。導入時のグレードは最上位のSRT-8のみで、同じグレードを持つ姉妹車のクライスラー・300Cとの差別化を図る為に左ハンドルのみ(300Cの方は右ハンドルのみ)の導入となった。しかし、初年度の輸入台数が少なかったせいか早期完売となり、販売市場の要望により同年12月26日に2008年モデルが導入する形となった。2008年モデルから新たにR/Tが追加され、こちらも左ハンドルのみの導入となった(300Cでは、5.7リットルのV8モデルの相当になり、こちらでは右・左どちらかのハンドルが選べる)。