タキオン
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タキオン(tachyon、ギリシャ語のταχύς「速い」の意より)は、超光速で動くと仮定されている粒子。1960年代、アメリカの物理学者ジェラルド・ファインバーグによって提唱された。SF作家が作品中で超光速通信の手段として用いたり、タキオングッズとして疑似科学の世界で引かれたりもする。
タキオンに対して静止質量0で真空中を光速で運動する粒子をルクソン(luxon)(タキオンとの混同からかルクシオンとも)、正の実数の静止質量を持ちどんなに加速しても真空中の光速には達しない粒子をターディオン/タージオン(tardyon)と呼ぶ。
特殊相対性理論の教えるところによれば、通常の物質(ターディオン)はどんなに加速しても光速に達することはない。そのため、特殊相対性理論に反しないように仮定された超光速粒子タキオンは、以下のようなターディオンとは正反対の性質を持つ。
ターディオンはどんなに加速しても光速を越えることはないが、タキオンはどんなに減速しても常に超光速であり光速以下になることはない。また、ターディオンがエネルギーを与えれば与えるほど加速していくのに対して、タキオンはエネルギーを失えば失うほど加速していく。
タキオンのエネルギーと運動量は測定可能な物理量なので実数であることが期待されるが、上記の場合、静止質量は虚数となる。
さらに、タキオンの固有時もまた、虚数である。
超光速で動くため、チェレンコフ放射によってその存在が確認できるのではないかと考えられ、様々な人が何度も検出を試みたが、依然成功していない。タキオンが存在し、ターディオンと作用を及ぼしあうなら、因果律が破られてしまうか、あるいは、因果関係が観測者によって異なってしまう。そのため、ターディオンとは干渉せず、存在したとしても発見は不可能ではないかとも考えられている。
1974年3月8日に、ロンドン発の外電が「オーストラリアの物理学者によって、タキオンの存在を示唆する実験結果が検出された」と報じたが、これは間違いであったと考えられている。
近年、「タキオンを含んでいる」と称する商品が販売されているが、現代科学で光速に達することが出来ない以上、それ以上の速度で進むタキオンを人工で含有させる事は不可能である。また、人工的な方法以外で実際にタキオンが含まれているとしても、それを検証する術は現在のところない。
[編集] タキオンによる架空技術の登場する作品
- 宇宙戦艦ヤマト - 主要武器「艦首波動砲」、機関「波動エンジン」
- スタートレック - 一つの例として、ワープ航行の痕跡で時間と共に消滅。
- 大長編ドラえもん のび太と銀河超特急 - 「ヤドリ」の戦艦による望遠システム「タキオン波画像サーチ」
- ドラえもん - タイムふろしきの内部の「タキオン織りこみゾーン」から「タキオンエネルギー」を放出。
- 恐竜戦隊コセイドン - コセイドン号の主機関「タキオンエンジン」
- グロイザーX - 主要武器「タキオン光弾」「タキオンソニック」、機関「タキオンエンジン」
- 仮面ライダーカブト
- 新・無責任艦長タイラー - 主要武器「ラアルゴン帝国、旗艦「メルバ」アザリン砲」
- 無責任提督タイラー - 主要武器「惑星連合宇宙軍無人戦艦「信濃」無限粒子砲」
- ゾイド - エナジーライガー
- 斬魔大聖デモンベイン - 計測機器「タキオンカウンター」
- ジーンダイバー - 「タキオンビーム」
[編集] タキオンにちなむもの
- アグネスタキオン - 競走馬