スウィープ奏法
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スウィープ奏法( - そうほう)とは、ギターの演奏においてダウン・ピッキングもしくはアップ・ピッキングを連続して行う奏法。箒で掃くような動作を行うことからこの名前が付いた。特に分散和音を旋律とする場合は「ブロークン・コード」と呼ぶ。
アルペジオ奏法と違い、1音1音を鳴らした後ミュートすることで音粒をはっきりさせ、速弾きを行うための奏法である。(アルペジオは鳴らした音をミュートさせず、最終的には和音となる)
[編集] 来歴
今や別段珍しい技法ではないスウィープピッキングであるが、起源は隣り合った弦をオルタネイトピッキングで弾かず、掃くようにはじいたエコノミー・ピッキングと思われる。これを多数の弦にわたって行う物をスウィープピッキングと呼ぶ。
[編集] 背景
イングヴェイ・マルムスティーンを代表とするシュラプネル・レコーズ全盛の頃は、音を詰め込むことの容易さから多用された。 それほど分散和音を用いた速弾きには適した奏法であるが、古くはジャンゴ・ラインハルトやウリ・ロートなどが用いていた。日本では高中正義などもスウィープの名が広まる以前から用いていたようである。
ネオクラシカルに於けるスウィープの起源はやはりウリ・ロートであろうが、GIT起源ではフランク・ギャンバレという見方もある。ネオクラシカル後期には次第にスキッピングが台頭してきたが、これは手首のスナップを用いたピッキングスタイルとスウィープ奏法の相性が悪かった為と思われる。
[編集] 応用
ミュートを心得てしまえば不可能ではない。メジャー、マイナー、ディミニッシュ等の1~3弦、1~5弦あるいは1~6弦を支点となる指で押し出すように弾く、パターンが決まったものでは手に覚えさせる感覚で習得可能と思われるが、近年の途中にハンマリングやプリングで7thなどを含めるスウィープはまた難易度が異なる。
速く弾くことには滅法強いスウィープであるが、反対にリズムをキープするような曲には向かない。最近では弦飛びピッキング(ストリングスキッピング)等でオルタネイトピッキングの技術が全体的に向上していることもあり、また近年の低音化から空間系のエフェクトが避けられることから、演奏上もよりタイトさが求められ、リズムキープの難しいスウィープは一時期ほどは多用されない。