ジュブナイル (映画)
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『ジュブナイル』(juvenile)は、2000年公開の日本映画。少年少女たちが活躍するSF映画で、VFXが駆使されて話題になった。
作中の未来から来たロボットであるテトラが、その愛くるしい動作と言動から女性からも人気を得て、大きなプロモーション効果を挙げた。また、公開前(公開中?)に朝日新聞の1ページを使いテトラのペーパークラフトが載った。また、別冊コロコロコミックで読みきりとして漫画化された。また、監督自ら執筆した小説版もメディアファクトリーより出版されている。
目次 |
[編集] あらすじ
注意:以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。
2000年の夏休み。坂本祐介、木下岬、大野秀隆、松岡俊也の四人は、キャンプ場で超高性能ロボット「テトラ」と出会う。テトラはひとまず祐介の家に置くことになり、四人が集める廃品を材料にテトラは自分の体を改造、歩けるようになる。近所に住む天才物理学者・神崎も巻き込んで4人とテトラの夏休みは過ぎていった。だが、ある日テトラは祐介たちの前から姿を消してしまう。
そのころ、地球上空には地球の海を奪うという注文を異星の住民から受けた宇宙の商人、ボイド人の巨大宇宙船団が停泊していた。そして同時に太平洋上にボイド人の海回収装置「シースナッチャー」という名の4隻の宇宙船で構成された1辺が6キロの巨大三角錐が出現していた。
ボイド人の「地球上陸・オーバーテクノロジー調査破壊班」のリーダーは岬の従姉である範子の姿をコピーして地球の情報を集め、さらに仕事の邪魔になるテトラを破壊するために岬を人質に取る。パニックに陥る祐介たちの元に、姿を消していたテトラが戻ってきた。テトラはボイド人と戦うために戦闘用ロボット「ガンゲリオン」を作っていたのだ。祐介は岬を救うため、ガンゲリオンに乗りテトラと共にボイド人と戦う決意をする。祐介は岬を救い出せるのか?そして地球の運命は?テトラが現代に来た意味とは―――――。
そして、物語は2020年という、未来へとつながっていく・・・。
[編集] 登場人物
- 坂本祐介
- 12歳。ロボットが好きな少年。岬に思いを寄せているが、気持ちを伝えられずにいる。
- 未来ではロボット開発会社「RNMX」に勤務(ちなみにこの会社は2000年にテトラが機材を盗んだ会社。社長の三沢は現代において、寝ぼけてテトラにガンゲリオンの材料を提供した張本人である)。宇宙産業AIロボット開発事業のリーダーとなり、祐介のチームが開発した群集型AIロボットが国際宇宙ステーションの拡張工事に採用される。2017年、国際宇宙ステーションで岬と結婚する。
- 木下岬
- 3人のマドンナ的存在。スポーツが得意で小学校の体育の授業ではバスケで男子チームと互角に戦った。
- 高校卒業後、宇宙人とのコンタクトを夢見て渡米し、NASAに就職。国際宇宙ステーション勤務となる。
- 大野秀隆
- 厄介者。祐介が岬を好きな事をからかったりしている。自分も岬が好きな事に気づいていない。
- 松岡俊也
- 岬とは幼馴染。ロン毛で茶髪。恐いもの知らずである。岬と祐介が仲が良くなっていくことに少し嫉妬している。
- テトラ
- 祐介達の前に現れた謎の小型ロボット。なぜか祐介や神崎のことを知っており、現代の知識・技術を集める。スペックに関しては下記を参照。
- 神崎宗一郎
- 電気屋「神崎ラヂオ商会」店長。非常に優れた頭脳を持ち、高校時代に特許をいくつか取得。さらにほとんどの大ヒットゲームのプログラミングに関わっている。しかし本業は重力物理学の研究者。タイムマシンの開発をしている。2000年現在では遠く離れた場所に物体を瞬時に移動させる装置を開発している。2002年6月、範子と結婚する。
- 木下範子
- 岬の従姉妹。夏休み中に岬の家に居候している。神崎とは知り合い。ジョギング中にボイド人に映像データを取り込まれ、姿を模倣される。
[編集] 用語解説
[編集] ボイド人
くじら座タウ星第3惑星ボイド星が母星。宇宙の商人と言われ、他の星の住民から注文を受けたものは何でも手に入れ、発注した星に引渡す。映画内に登場したのはボイド星に多数存在する会社のうち最大手の「大いなる前進」で、発注を受けたものと引き換えの報酬を元に発展していく。今回発注を受けたのは「生態系が完備された海」。地球の海亀に酷似した生物から進化した種族で、名残として背中に小さな甲羅を持つ。触手を4本持ち、そのうち2本は腕のように扱える。地球上で行動する際にはボイドスーツというパワードスーツを下半身にまとい、運動能力を高めている。一度聞いた音声は完璧にコピーできるため、語学力に非常に優れる。非常に高度な文明を持つ種族で、宇宙開発技術、遺伝子改造技術、映像技術、物理学、ロボット工学など、さまざまな面において人類の上を行く。
- マザーシップ
- 「大いなる前進社」が今回のミッションのために運営金をすべて投じて開発した超大型のマザーシップ。ボイド星に存在する巨大な甲殻類を遺伝子改造でさらに巨大な宇宙船に改造した。船体中央付近の横に2つのドッキングベイを持ち、その付近から斜め下方向に細く(といっても幅は3kmほどある)5kmほど伸びる船体の前後に2つのドッキングベイをもつ。「ト」を時計回りに90度回転させた様な形状をしている。船体は全長が約15kmで、細く斜め下へ伸びた船体を含めた全高は約9km。それ以外の船体の全高は平均約3.5km。何千隻もの護衛艦・戦闘宇宙船などを搭載している。後述のシースナッチャーと同じく、迷彩スクリーンを搭載している。
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- サブシップ1番艦~3番艦
- マザーシップに付随する大型宇宙船。1番艦と2番艦はマザーシップの船体中央横のドッキングベイに付随していて、3番艦は前述の細い船体の後部ドッキングベイに付随。外観はカブトガニに似ている。メインボディ両脇から3本ずつのタンク状の物が垂直に立っている。カブトガニの尻尾にあたる部分(以下「アーム」)は非常に長い。全高1.5km。直径2kmほどのメインボディの中心から6kmのアームが伸びていく。メインボディ中心部からは下方向に幅500m程の船体が1キロほど伸びていく。マザーシップと同じく多数の護衛艦・戦闘宇宙船などを搭載している。
- ドーム艦
- サブシップ1番艦~3番艦と共に太平洋上でシースナッチャーを形成する。前述のマザーシップの細い船体の前部ドッキングベイに付随する。外観は名の通り丸いドーム型。直径は約5km。全高が1.6km。
- ボイドスカウター
- オーバーテクノロジー調査破壊班の使用する戦闘宇宙船。全長は5メートル。全幅は10メートル。武装はレーザー砲兼自在アーム兼バリア兼迷彩スクリーン×2、エネルギー砲×1。防御装置は前述のバリアと、重力コントロールテクノジーで衝撃を緩衝する装置。外見はカニに似ている。
通常時は4本足(2本足が折り曲がり4本足のような状態になっっている)で全高が5mほど。変形すると頭部が前にせり出し、2本足へと変化する。全高は15mほど。
- シースナッチャー
- ボイド人たちが開発した海の回収装置。地球の海すべてを吸収できる。前述のサブシップとドーム艦で構成され、外見は三角錐で、中心部にドーム艦、周りに120度ずつ角度をあけてサブシップが寄り添っている。アームは三角錐の頂点へと伸びていく。頂点には1つの小型円盤型宇宙船があり、そのへりに3本のアームが寄りかかっている。底辺が1辺6キロあり、全高は約4km。ドーム艦上部からエネルギーが発射され、それを前述の小型円盤型宇宙船が受け止めていることでアームで構成されている頂点を支え、大三角錐の形を保っている。人類の目から姿を隠すために、太平洋に現れてから海回収の前日まで迷彩スクリーンをまとっていた。ただし、雷の影響で一瞬だけ姿が現れることがある。
- サンプル採取装置
- ボイド人にとってはどこにでもあるありふれた装置。ちなみにシースナッチャーはこの装置を巨大化したもの。外観は正三角錐。黒く全ての辺が塗られており、装置の中心はクリスタル状の美しい装置がはめ込まれている。小学校のプールなら軽く吸収し、その吸収能力は自身の体積の一千万倍以上。
[編集] テトラ
小型完全自律型AIロボット。2020年、祐介によって開発されて神崎の開発したタイムマシンで2000年のキャンプ場に転送される。完成当初は完全な球体だが、2000年に着いた時から祐介たちの持ち寄るジャンクなどを使い2本足歩行が可能になる。記憶デバイスは2000テラバイトディスク。電源は水素電池で寿命は80年。2000年に転送される過程でワームホールを確実に通過するために強力な重力に耐える球形をしている。胸に「TETRA」の文字が刻印されているが、ワームホールのゼロポイントを通過する際に左右が反転して、「AЯTヨT」となっている。
[編集] ガンゲリオン
テトラが廃工場に残された産業ロボットアームなどを使い1日で作り上げたロボット。その材料はテトラがRNMX社の研究所から寝ぼけた三沢から貰った大量のサーボモーター、電子機器、ロボットアーム、金属板など。飯岡漁港で前述のボイドスカウターと戦う。 武装はレールガン×1、バリア×1。レールガン・バリア共に強力で、レールガンはボイドスカウターのバリアを破壊し、さらにエネルギー砲も破壊した。バリアはエネルギー砲の弾を防ぎ、自在アームの攻撃も防ぎきった。外観は人に似た前半分から後ろに2メートルほど伸びたコックピット、左右の肩から2本のV字型のアームが伸び、右はバリア発生装置、左はレールガンが取り付けられている。浮上ノズルは肩に2つ、背中に2つ。全長は3m。全高は4m。プレイステーションのコントローラーで操縦する。
ガンゲリオンという名称の由来は、機動戦士ガンダムと新世紀エヴァンゲリオンを組み合わせたもの。
[編集] 物質転送装置
神崎が2000年に開発した装置。小型ワームホールを発生させ、物質を一瞬でどこにでも転送する。欠点はワームホールのゼロポイントを物質が通過すると左右が反転すること。そのため生物も転送できない。神崎はこの装置を用いて宅配便業者を設立するが、この欠点を補うために一旦ステーションに転送させた後に宅配先の受信装置に転送し、反転させなおしている。
[編集] タイムマシン
神崎が2020年に完成させたタイムマシン。幅・奥行き・高さともに60mほどで、3本の巨大なワームホール発生タンク、ワームホール調整・支持リング等膨大な機材で構成されており、外見は非常に複雑。直径1メートル程のワームホールを発生させる。ワームホール内部は非常に重力が大きく、その重力に耐えうる物体しか転送できない。物質転送装置で同じで物質はゼロポイントで左右が反転する。ワームホールは非常に美しい青い微光を放つ。
[編集] キャスト
- 坂本祐介 (遠藤雄弥)
- 木下岬 (鈴木杏)
- 大野秀隆 (清水京太郎)
- 松岡俊也 (YUKI)
- 神崎宗一郎 (香取慎吾)
- 木下範子 (酒井美紀)
- テトラ (声:林原めぐみ)
- 坂本祐介 20年後 (吉岡秀隆)
- 木下岬 20年後 (緒川たまき)
- 松岡俊也 20年後 (高杉亘)
- 大野秀隆 20年後 (川平慈英)
- ストーリー上の主役はあらすじにある通り坂本・木下・大野・松岡だが、クレジット上の主演は神崎役の香取慎吾であった。
[編集] スタッフ
- 監督・脚本・VFX:山崎貴
- 撮影:柴崎幸三
- 照明:上田なりゆき
- 美術:上條安里
- 音楽:清水靖晃
- VFX:白組、Motor/lieZ、IMAGICA、ROBOT
- 主題歌:「JUVENILEのテーマ~瞳の中のRainbow~」山下達郎
- 配給:東宝
- 製作:ジュブナイル・プロジェクト(フジテレビジョン、メディアファクトリー、小学館、ジェイアール東日本企画、三井物産、白組、ROBOT)
[編集] 小説版
監督自ら執筆のため、ストーリーはほとんどが映画と同じ。 相違点は、
- 秀隆が序盤で頭に怪我をし、4針縫う
- テトラに連れられ、祐介が里山に早朝、カブトムシを捕りに行く
- 砂浜での祐介・俊也・秀隆・岬の4人のふざけあい
- 砂浜で祐介・テトラ・俊也・秀隆が不良中学生にからまれる
などといったストーリーが加えられ、より夏休みらしさを強調している他、演技が不自然な箇所の修正が行われていることである。
[編集] 漫画版
作者は馬場民雄。基本的なストーリーは原作に即しているが、ストーリー展開、キャラクター設定などは大きく異なり、共通点よりも相違点が多い。
- 共通点
- テトラが2000年に来た目的
- テトラの発見地点
- 祐介と岬が2020年において結婚している
- ボイド人が海を狙っている
- ボイド人たちの能力、宇宙船のスペック
- クライマックス
- 相違点
- テトラを見つけたのは祐介1人のみ
- 岬は転校生
- シースナッチャーが雑誌・新聞・テレビなどの各メディアで「太平洋上の謎の大ピラミッド」として大きく取り上げられている(余談ではあるが、シースナッチャーは三角錐であり、ピラミッドは四角錐である)
- 祐介の家がレストランでなく、普通の家庭
- 木下範子が登場せず、ボイド人が変身するのは岬
- 神崎は物理学者兼電気屋ではなく、物理学者兼廃品置場の地主
- テトラに武装がある(放電)
- ガンゲリオンはテトラに内蔵されているゲームのロボットでなく、「ラストレジェンド(ロボット対戦ゲーム)」のロボット
- ラストレジェンドに神崎が関与しておらず、さらにジャンルがRPGからロボット対戦へと変わっている
- 神崎から祐介にタイムマシン完成の報告とテトラ製作願いがされるシーンがカットされており、2000年~2020年の間のストーリーが分かりづらい
- ガンゲリオンは神崎の廃品置場のジャンクを使って作られた
- ガンゲリオンにバリアが装備されていない
- ボイド人が海を狙うのは宇宙旅行で不足した水資源の補給のため
- オーバーテクノロジー調査破壊班のボイド人が1人のみ。映画では3人。
- シースナッチャーの出現がテトラの出現より前
- 岬が一児の母となっている
- マザーシップに帰還出来た上陸部隊はオーバーテクノロジー調査破壊班のみ(シースナッチャーは映画と異なり、すぐに崩壊
したため、脱出したボイド人はいない)
- マザーシップの進行方向が逆
その他に、ガンゲリオンがコマごとに形が違う。
[編集] 関連項目
- 山崎貴-監督
- メディアファクトリー-小説の出版社
- ドラえもんの最終回 - この映画のストーリーの原案となった。
- タイムトラベル
- コンタクト (映画)-映画のクライマックスで登場する、神崎が開発したタイムマシン(詳しいスペックはタイムトラベル#映画を参照)の外観は、この作品に登場する物質転送機を参考にしている。