ジェンダー・エンパワーメント指数
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ジェンダー・エンパワーメント指数 (gender empowerment measure)、略称GEMは、女性の政治参加や経済界における活躍、意思決定に参加できるかどうかを表す指数。国連開発計画(UNDP)が導入した。
国会議員、専門職・技術職、管理職など、歴史的に男性が先行してその比率の大多数を占める職業の中の女性の割合と、男女の推定所得を用いて算出する。女性がもともと大多数を占めていた職業や、女性固有の能力である出産などは評価の対象外とする。
2004年の「人間開発報告書」によれば、1位はノルウェー、2位はスウェーデン。日本は38位である。ノルウェーやスウェーデンが男性のみに徴兵制(義務兵役)を課していることから分かるとおり、男女平等を図る指数ではない。また、GEMは人数でもって機械的に表しているため、差別の有無以前に、女性が積極的に要職に就こうとしているかなどの女性自身の意思が反映されているわけではないので、「結果が悪い=女性差別が存在する」とは限らない。更に、看護職など女性が元々、多数を占めていた職業が評価の対象外となっているなど、あくまでも「女性の活躍」の指標であり、男女平等は考慮されていない概念である。[要出典]
同じような指標としてUNDPが開発したものに人間開発指数 (HDI) があるが、こちらは出生時の平均余命、成人識字率、1人当りの実質GDPなどから測り、日本は2005年で177か国・地域中11位である。
[編集] 算定方法
GEMは
- 政治における参加と意思決定力
- 経済活動における参加と意思決定力
- 経済資源に対する力おける女性への機会」
に焦点を当てたものであり、それぞれ男性が優位を占めていた分野に限り、
- 男女の国会議員に占める比率
- 男女の管理職に占める比率と専門職・技術職に占める比率
- 男女の推定勤労所得
が構成要素として用いられている。
次式により人口で加重した平均値が等分布等価比率(EDEP)として求められる。
- EDEP = {女性の人口比率(女性の指標-1)+男性の人口比率(男性の指標-1)}-1
男女の比率が同等となる50%が理想値である。
このように求められる3つの指数化されたEDEPを単純平均し、GEMが算出される。
(注)女性の出産率や、もともと女性が優位を占めていた職業(看護職など)は評価の対象外である。従って、「ジェンダー」・エンパワーメント指数と言うと、「男女とも」というニュアンスが感じられるので不適切であり、女性エンパワーメント指数と呼んだほうが適切であると考えられる。