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ザ・ドアーズ (アルバム) - Wikipedia

ザ・ドアーズ (アルバム)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ザ・ドアーズ
ドアーズアルバム
リリース 1967年1月
ジャンル ロック
時間 43分 05秒
レーベル エレクトラ・レコード
プロデュース ポール・ロスチャイルド
専門評論家によるレビュー

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ドアーズ 年表
ザ・ドアーズ
(1967年)
まぼろしの世界
(1967年)

ザ・ドアーズThe Doors)は、アメリカの同名のロックバンドドアーズのデビュー・アルバム1966年秋に録音され、翌年の1月に発売された。収録曲の「ハートに火をつけて」がファンの強い要望によってシングルカットされ、全米1位を獲得するなど熱狂的に受け入れられた。このアルバムに収められている「ジ・エンド」は映画地獄の黙示録』でも用いられた。

後にロック文学ともいわれるよう革新的で難解な詩と、トリップしたような音楽の組み合わせが特徴。歌詞そのものは評論家の多くに「つかみどころがない」と評価されるも、音楽、ルックスなどが、ベトナム戦時下当時のヒッピー層に熱狂的に受け入れられた。その結果、思わぬ事に、バンドは反戦、反体制のシンボルとされ、政治的な発言を求められるようになり、ついにはアメリカ国内にて保守層の攻撃対象に至る発端となった。ドアーズの音楽と詩を正当に解釈していた者は、限られた一部に過ぎなかったと考えられる。

やがてジム・モリソンの死を経ても、彼らの音楽は消える事が無かった。90年代に彼らの映画がヒットした時期に一致して世界的にロックの歌詞が見直される時代が到来、ドアーズはさらに普遍的な評価を得るに至った。本作は彼らのデビュー作にして最高傑作であるといえるが、それは、「バンドのデビューまでにジムが長年にわたり詩を書きためていたこと」「デビューまでにバンドが毎晩のように少ないギャラでバーのステージに出演し、演奏しながら曲を練り上げていった事」「後の作品のように、政治がらみ、アル中などの問題を抱え込む前の作品だったこと」があげられる。ベースがいないこと、熟練したオルガン奏者の存在、シタールのような奇妙なギター音、ステージ状況に応じて曲を進行させる役割も持ったドラムスなど、彼らの音は今聞いても新鮮であり、そしてバンド自身にとってもファーストこそが、新鮮な、集中出来る環境であったと考えられる。

ジョン・デンスモアは後の著書で、このアルバムに関しては、レコーディングのトラックが少なく、ドラムとベースとギターは同一トラックに一発撮りであったと語っているが、毎日のようにステージをこなしていた彼らに取ってはむしろその環境こそが、グルーブを高める効果をもたらしたのではないだろうか。

長、短、早、遅の曲をバランスよく並べたこのアルバムは、最後までスリルがあり、真の傑作といえる。


[編集] 曲目

  1. ブレイク・オン・スルー - Break on through (to the other side)
    ファーストアルバムの初頭の曲にして、バンドの方向性を示した曲であるといえる。ここで other side というのは現実ではない世界、ジム曰くsub conciousnesの側である。ドアーズというバンド名は現実からother sideへのドアということに他ならない。自分達は音楽を通してリスナーをother sideに導きたいという、決意と野心が感じられる。日は夜を破壊し、夜は日を二分する。逃げろ。隠れろ。現実の壁を突き破るんだ。短く、歌詞は抽象的だが、完璧な構成で衝撃のある曲である。発表当時は she gets high の high 部分が問題ありとして消去されていたが、1999年の『コンプリート・スタジオ・レコーディングス』で high の入ったバージョンが発表された。
  2. ソウル・キッチン - Soul kitchen
    大勢で飲食する楽しさを描いた曲。酒豪らしいジムの歌詞にバンドの異彩な音が加わり、特徴的な曲となっている。
  3. 水晶の舟 - Crystal ships
    刹那的な恋愛を描いた作品と考えられる。最も官能的で、ドアーズを語る上で書かせない。特に、間奏でピアノソロが入るという構成は、ドアーズでも他に見られない手法であるが、絶妙なマッチングといえよう。しかしデンスモアは、この曲が実は、バンドそのものを描いた曲なのだと自伝の中で発言している。バンドと恋愛を重ねて考えるアーティストは多いが、「またこの町に来る事があったら、手紙を出すから」という締めくくりはどう考えてもバンドとメンバーの関係を示す物とは思えない。しかしそのような歌詞の細かい部分までデンスモアが見ていたかどうかは分からない。彼がジムの歌詞に無頓着だったことは映画ドアーズの台詞にも随所にかいま見られる(「全く妙な歌詞だよ」など)。だから彼や他のメンバーにとってはこの曲はバンドとのつながりを表す曲だったのかもしれない。
  4. 20世紀の狐 - Twentieth century fox
    秀作とされる。狐というのは英語で美人美男子のこと。
  5. アラバマ・ソング - Wiskey bar(Alabama song)
    ブロードウェイミュージカルからパクった、とメンバーが発言。軽快な秀作。
  6. ハートに火をつけて - Light my fire
    ドアーズ最大のヒット作にして不朽の名作である。ギタリストのロビー・クリーガーによる作品で、歌詞も元々彼が書いたものだったが、ジムに書き換えられたらしい。ドアーズの曲でこのようにして作られた曲はあまり多くない。しかしそのような結果、メンバーそれぞれの個性が発揮され、結果的にそのバランスがよかったため、名作になったのかもしれない。ロビーの作った分かりやすい恋愛の歌詞に、ジムが蒼い切迫感を加えた結果、受け入れやすいが脳裏から離れないものが出来上がったという訳だ。シングルカットされた曲ながら、間奏が3分以上もあり、ギターとオルガンのスリリングなバトルが楽しめる。このことはドアーズがボーカリストのためのバンドではないことをも主張することにつながっており興味深い。
  7. バック・ドア・マン - Back door man
    ライブ向きの曲で非常に好んで演奏された。ジムのいやらしさがポジティブに力強く出ているように思えるが、実際にはカバーであるとのこと。ジムやバンドの個性に合っている。
  8. 君を見つめて - I looked at you
  9. エンド・オブ・ザ・ナイト - End of the night
    静かで手数の少ない小物のような曲。しかしながら、ドアーズの強い個性はここでも全く色あせていない。夜の高速道路に吸い込まれて行くような雰囲気がある。
  10. チャンスはつかめ - Take it as it comes
    最高速ではない独特の失踪感のある曲。
  11. ジ・エンド - The end
    言わずと知れた長編問題作であり、ドアーズの代名詞と言ってよい名作。エディプス王のあの有名な話が中心に書かれている。この曲の演奏により、ドアーズはデビュー前から問題児だった。メンバーは自然との融合を歌ったともコメントしているが、やや分かりにくい。むしろ、「本来4つの曲だったものをつなげた。そのうちの一つは別れ歌だった」とする発言の方が分かりやすい。おそらく長期に渡りバーで毎晩演奏しているうちにいくつかのフレーズが、バンドメンバー間の統一感を通し、完璧につながったのだろう。最後に、この曲は「現実世界からの別離、離脱」というイメージで完全に統一されており、音楽的に不自然な部分など一カ所もなく、全てに渡り、極めてスリリングな展開であることを付け加えておく。
  • この曲の間奏のシャッフル部分ではジムが回りながら踊り、最後に倒れこむという演出があった。それを楽しみにコンサートにやってきていた者も多かったと聞く。演出というが、実際にはシャーマン的な色彩のもので本人が気絶してしまったこともあったという。

[編集] ボーナス・トラック (2007)

  1. 月光のドライブ - Moonlight Drive (recorded 1966, version 1)
  2. 月光のドライブ - Moonlight Drive (recorded 1966, version 2)
  3. インディアン・サマー - Indian Summer (recorded August 19, 1966, vocal, this track would later appear on the album Morrison Hotel)

[編集] 外部リンク


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