コンベア990

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コンベアCV-990

コンベア990 コロナード (Convair 990 Coronado) は、アメリカの大手航空機製造会社のコンベア社が、前作のコンベア880(CV880)を発展改良した大型ジェット旅客機。

[編集] 概要

コンベア社初のジェット旅客機CV880は、世界最速を唄い文句に売り出したが期待通りの性能が出せず、GE製CJ805-3Bターボジェットエンジンの整備性や騒音、マイナートラブルの多発、トリッキーな操縦性、競合機に比べて短い航続距離など、数々の欠点が明らかになり販売が伸び悩んだ。また、ファースト/エコノミーの2クラスで90席前後の機体では、航空旅客需要の急増に追いつけない懸念から、主にアメリカン航空の要求に基づいて1958年 7月30日に開発着手が発表された。

基本設計はCV880と同じであるが、主翼を重点においた空力性能の改善、客室容量の増大、ターボファンエンジンへの換装などが施された。

改設計された主翼は、CV880では高速化のために敢えて採用されていなかった前縁スラットが新設されたことで、最大の問題点だった離着陸性能（失速特性）の向上が計られた。更に運用限界マッハ数を0.91まで引き上げるために、エンジンナセルにはエリアルールを取り入れた「スピードカプセル」と言われる半楕円形の整流材が取り付けられた。

エンジンはターボファン化されたGE製CJ805-23Bに変更され、燃費改善と整備作業の簡素化を狙った。胴体はCV880より3.5mストレッチされて、ファースト／エコノミーの2クラスで106席を確保できるまで拡大された。

1961年 1月24日に初飛行したが、「スピードカプセル」の抵抗が予想以上に大きく、亜音速旅客機ではエリアルール効果も薄く、またしても速度が保証値を下回る結果となってしまった。しかし、計画が予定より既に10ヶ月以上も遅延していたため、見切り発車的にFAAの耐空証明を同年12月15日に取得し、翌1962年 1月8日には第1号機をアメリカン航空に引き渡した。それと並行して主翼の空力的見直しに着手し、辛うじて速度以外の設計性能をクリアした。この改良型は990Aと称され、後に全機が改修された。

こうした顛末から、アメリカン航空やスカンジナビア航空から発注キャンセルを受け、コンベア社が深刻な経営危機に陥ったこともあって、1962年夏には受注を締め切り、わずか37機をもって製造ラインが閉じられた。その後、スイス航空では1975年まで使用され、東京線に使用されたこともあった。また、スペインのチャーター便会社スパンタックスでは1980年代まで使用されていた。