コンパクトクランク
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コンパクトクランクとは、径がコンパクト化されたチェーンホイールのことである。クランクとギアリングのセットで構成される。コンパクトドライブとも呼ぶ。
[編集] 概要
これまで、クランクセットの歯数は小径化の一途を辿ってきた（下記）。
- ロードバイクの場合
- 50t-44t(PCD151)→52t-42t(PCD144)→52t-39t(PCD130)→52t-38t(PCD130)→※50t-34t(PCD110)
- ランドナー、MTBの場合
- 48t-38t-28t(PCD110/74)→48t-38t-26t(PCD110/74)→46t-36t-26t(PCD110/74)→※44t-32t-22t(PCD96/58)→42t-30t-20t(PCD96/58)
このうち、※の部分の変化が特に大きいので、これを指してコンパクト化と呼ぶ。こうしたコンパクトドライブは歴史的には日本国内においても70年代までさかのぼるし、欧州では50年代には既に26tのチェーンリングが存在していた。つまり製品としては60年代にも70年代にも80年代にも存在していたのであるが、競技の世界では異端視されていたし、それ以外の愛好家の間でも一般的ではなかった。
コンパクトドライブが脚光を浴びたのは、MTBにおいては90年代前半、ロードにおいては2000年代である。
ランス・アームストロングが軽いギア比で回転数を上げる走法によりツール・ド・フランスで華々しい活躍を見せるようになると、こうした走法の合理性が幅広く認識されるようになった。同時に、52t-42tのような大きなギアが標準とされることへの疑問の声が上がりだしたのである。というのも、こうした大きなギアを毎分90回転以上で回しきれるのは、プロの競技者及びそれに近い身体能力を持つハイ・アマチュアだけであり、多くの愛好家にとっては不要のものなのである。またロードバイク愛好者の幅が広がり、従来山岳コースやヒルクライム競技に参加していた小柄な（概ね体重60キロ台中盤まで）人々だけではなく、体重70キロ台や80キロ台の人々が数多くロードバイクに乗るようになると、さらに従来のインナーギアの大きさが問題視されるようになった。
そこで登場したのが、インナーギアの歯数を34t前後と思い切って小さく設定し、アマチュアの脚力でも無理なく回せる軽いギア比を実現したロード用のコンパクトドライブであった。
現在ではコンパクトドライブの概念は広く受け入れられ、グランツールに参戦するような超一流の競技者でも山岳ステージではコンパクトドライブを使用することが珍しくない[1]。またスギノテクノ、シマノ、カンパニョーロ、SRAMなど各社がこぞってインナー34ｔのクランクセットを発売するなど、コンパクトドライブの流行はこれからも続きそうである。
