クヌート (ホッキョクグマ)
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クヌート(独:Knut)は2006年12月5日にドイツのベルリン動物園で生まれたホッキョクグマである。母グマのトスカ(独:Tosca)が育児放棄したため、飼育係がクヌートと同時に生まれたもう1頭を母グマから引き離し(もう1頭は生後4日目に死亡)、人工哺育を行った。ドイツ国内のみならず世界中での人気を集めている。
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[編集] 生い立ち
母親はカナダ生まれで、旧東ドイツの国営サーカスで芸をしていたトスカ(20歳)で、父親はミュンヘン動物園生まれのラルス(13歳)。トスカは前年の2005年にも三つ子を出産していたがこのときも育児放棄している。2006年12月5日、トスカは双子を出産するが再び出産直後に仔グマを遺棄したため、飼育係と獣医が双子を救出、人工哺育にきりかえた。クヌートの兄弟は生後4日目に感染症により死亡するが、クヌートは生後44日を人工保育器の中で過ごすものの、その後順調に成長している。
[編集] 人気
2007年1月末に元気な姿がマスコミで披露されると、ドイツ国内で一躍人気者となった。2月末以降、ベルリンのテレビ局RDDによるテレビ番組シリーズの開始や、公式サイトおよびブログなどの立ち上げ後は、その人気が海外へも波及。とりわけ3月23日の一般公開後には、飼育係と遊ぶ愛らしい姿が人気を集め、ドイツの新聞雑誌などで特集記事が組まれるほか、アメリカの雑誌『Vanity Fair』の表紙にも登場した。DVDやぬいぐるみ、お菓子など関連商品も多数発売されている。
また、ベルリン動物園は株式会社であり、地元のベルリン・ブレーメン取引所に上場している。水族館入場権付きの同株式は一時2000ユーロ(約32万円)近辺を推移していたが、3月23日の一般公開後、メディアがクヌートの映像を流すと株価が急騰し、4月3日の終値の時点で4660ユーロ(約74万5600円)となった。
[編集] 安楽死をめぐる論争
「動物愛護団体がホッキョクグマの人工哺育は種のあり方に反するため、クヌートを安楽死させろと主張している」との捏造記事が発端となり、人工哺育や動物園のあり方についての議論がドイツ国内外で巻き起こった。
ドイツの大衆芸能紙「ビルト」が2006年1月26日付けで、動物愛護活動家フランク・アルブレヒトが人工哺育はシロクマの種のあり方にふさわしくないため、クヌートを薬殺処分するべきだと主張しているとの記事を掲載した[1]。当初はこの記事が特に注目を集めることはなかったが、3月下旬の一般公開直前にドイツの週刊誌「シュピーゲル」があらためてこの記事を取り上げ、他の多くのメディアが同記事を引用したことから、「安楽死の是非」についての議論が巻き起こった[2]。さらに各通信社によって世界中に「一部の動物愛護団体が、シロクマの人口哺育は自然の法則に反すると安楽死を主張したが、動物園側はこれに反論。ドイツでは人口飼育の是非をめぐって論争になっている」として配信されたため、世界各国でも大きく報じられた。この議論に対してアーヘン動物園長のヴォルフラム・グラフ=ルドルフをはじめ、他の動物園関係者や動物愛護団体からも、「ベルリン動物園はもっと早くにクヌートを処分する勇気を持つべきだった」と安楽死を支持する声が上がったと報じられた。
その後、アルブレヒトやグラフ=ルドルフに対し、ドイツ国内外からの脅迫状が殺到したことなどもあり、ドイツやイギリス、オーストラリアなどのメディアの一部は、この論争の検証を行い、アルブレヒトの発言とされるものは実際には、前年でライプチヒ動物園で同様に母グマに遺棄されたナマケグマの仔が安楽死させられたことへの抗議についてのものであり、ライプチヒ動物園側が「人口哺育は人道的ではなく、動物の権利を侵害する」と主張していたのに反論し、「ライプチヒ動物園の理論に従えば、ベルリン動物園もクヌートを殺していなければならなかったことになる」と発言したものであったことや、グラフ=ルドルフがクヌートに関する一切の発言を否定していることなどを明らかとし、謝罪している。[3][4]
[編集] 出典
[編集] 外部リンク
[編集] 関連項目