ギョウチュウ
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?ギョウチュウ | ||||||||||||
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ギョウチュウ |
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分類 | ||||||||||||
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英名 | ||||||||||||
en:Pinworm |
ギョウチュウは線形動物門双線綱桿線虫亜綱カイチュウ目ギョウチュウ科に属するものの総称であり、動物に寄生する寄生虫である。特にヒトに主に寄生するEnterobius vermicularisをいうことが多いが、ウマギョウチュウ(Heterakis, Oxyuris)・ネズミギョウチュウ(Syphacia obvelata,Syphacia muris,Aspiculuris tetraptera等)なども存在する。なお、蟯虫と表記することもある。
[編集] 概要
Enterobius vermicularisは体長がオス2-5mm、メス8-13mm程度であり、乳白色でちりめんじゃこ状の形をしている。虫卵は卵型で直径40μm程度であり、通常の室内環境で数週間生存し感染性をもつ。
ヒトの盲腸に寄生し、肛門の括約筋が弛緩する睡眠中に産卵を肛門の周辺で行う。このときギョウチュウの活動や、産卵の際に分泌する粘着性物質によってかゆみが発生するため(無意識下で)掻き毟ることが多々あり、手などに付着した虫卵が撒き散らされることによって感染源や自己再感染の原因となる。虫卵は人間が摂取すると十二指腸で孵化し、盲腸で数週間ののち成虫となる。先進国においては乳児・児童とその親に感染者が多く、感染率は10-20%程度とされている。
なお、このように直接に人間から人間に伝搬することが可能であるため、現在においても広く寄生が見られる。カイチュウ等は一旦土壌に出てから感染が行なわれるため、糞尿が野外に出る事がない現在においては感染経路が保持できず、感染率が激減しているのとは対照的である。保育園などで集団生活が行なわれる事から、むしろギョウチュウにとっては良い環境と言えるかもしれない。
[編集] 感染時の症状と問題
今日、特段に栄養状態が悪い環境でなければ、感染による栄養障害などはほぼ問題にならないとされる。しかし、睡眠中のかゆみなどに起因する不眠などが日中の落ち着きの無さや短気になるなどの原因になることが問題視されている。また、肛門を掻いた跡が炎症化する場合がある。
検出は主に粘着テープを用いて行い、肛門周辺に押し付けた粘着テープを試料として検鏡を行う。検便によって検出を行うことはしない。
治療にはメベンダゾールやパモ酸ピランテルによる駆虫が行われる。しかしこの方法では虫卵を駆除することができないため、反復服用とともに、虫卵からの再感染を防ぐための措置を行う必要がある。掃除機による清掃や日光照射による虫卵駆除が適切とされる。
なお、Enterobius vermicularisがチンパンジーに寄生した場合、ヒトへの感染例とは対照的に移行症による著しい障害が発生し、死亡に至る場合があることが知られている。