ギャング
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ギャング(gang)とは、暴力的な犯罪集団を指す言葉である。正確には要素の単数形「ギャングスター(gangster)」が複数集まった「( )-s」を縮めた言葉である。単数形のgang-sterの接尾語はstarではなく蔑称としてのster。ヒップホップ文化のもとではギャングスタ(gangsta)とのスラングが多用される。
ギャングは、もともと「集団」や「群れ」などを意味していた(『ピーナッツ』で「チャーリーブラウンと仲間たち」を表わす英文“Charlie Brown and the Peanuts gang”など)が、そこから「犯罪行為のために集結する」という意味の動詞としてや、「犯罪集団」や「暴力一味」などを表す名詞として使われるようになった。アメリカの禁酒法時代に、暴力的犯罪者集団を特に「ギャング」と呼ぶようになり、以降現代で使われる暴力的犯罪集団の意味が強くなった。
その構成員はギャングスターと呼ばれる。日本のやくざの構成員も英語で言えばギャングスターである。構成員は大きく分けてウォリアー(戦闘員)とハスラー(麻薬の売人、売春などの元締め)の二つがある。
イギリスでは政府の連絡網と地域コミュニティの結束力、犯罪者への社会的な報復が徹底しているため組織が成立しづらいがリチャードソンやクレイ兄弟、大列車強盗団が知られている。
1960年代のベトナムにおいて空前絶後の組織暴力として成立した「ビエンスン団」のように政治的な立場から行動する場合は「匪賊」として捉えられる場合もある。
現在、ギャング発祥の地であるアメリカでは、「ギャング」と言った場合、単に若者の不良を指すことが多い。後述している「ストリートギャング」と「ギャング」はほぼ同義である。成熟し組織化された大人の暴力集団は「マフィア」と呼ばれる場合が多い。
[編集] ストリートギャング
アメリカ合衆国では1980年代から、ストリートギャングによる凶悪犯罪や麻薬の売買が大きな社会問題になる。彼らは銃を使用することが多く、重大な傷害・殺人事件に発展することも少なくない。構成員3万人からなる全米最大のクリップス(Crips)は青、構成員9,000人からなるブラッズ(Bloods)は赤、全米に構成員2万人からなるラテンキングス(Latin Kings)は黄といったように、一部のストリートギャングはシンボルカラーを身につけている。ラテンキングスは非常に凶悪で知られ、かつてマクドナルドにたむろし、入店禁止処分にされたメンバーが報復のため自動小銃を乱射し店長を殺害。事件を重く見たロサンジェルス市警察が専従捜査・取締班CRASH(Community Resources Against Street Hoodlums―街頭暴力対抗地域リソース)を設置する事態に発展した。なおCRASHは騒動の沈静化に伴い廃止されている。この事件は映画『カラーズ ―天使の消えた街―』で取り上げられている。
[編集] カラーギャング
日本では暴走族への憧れの低下と共に、チーマーなどを経て、1990年代後半から首都圏に現れた非行グループは、アメリカのストリートギャングを真似て「ギャング」と名乗り始めた。クリップスなどの有名なギャングを真似し、同様にチームカラーを身につけることから「カラーギャング(color gang、カラギャン)」と呼ばれるようになる。
ギャングの特徴に武器を用いる格闘を「恥」とは思わない傾向がある。そのため、金属バットなどの鈍器だけでなく、刃物やスタンガンなどを用いるなど犯罪傾向、凶悪化傾向が際立つ。ヒップホップファッションに身を包むことが多いが、ヒップホップ・カルチャーに通じているとは限らない。
テレビドラマ「池袋ウエストゲートパーク」でカラーギャングが取り上げられたため、ギャング達は埼玉県の和光市、川口市、千葉県の松戸市などの郊外都市から一気に池袋、新宿、渋谷、上野に集まり、凶悪犯罪に手を染めた。(要出典)