ガリンコ号
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ガリンコ号 | ||
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船歴 | ||
進水: | 1981年12月26日(実験船「おほーつく」時) | |
就航: | 1987年2月1日 | |
退役: | 1996年3月10日 | |
その後: | 紋別海洋公園内ガリヤゾーンにて陸揚げ展示中 | |
性能諸元 | ||
総トン数: | 39G/t | |
全長: | 24.9m | |
全幅: | 7.6m | |
深さ: | 2.3m | |
吃水: | 船首 1.38m 船尾 2.3m | |
機関: | アルキメディアン・スクリュー 4基 |
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出力: | ||
航海速力: | 3ノット 氷厚70cm 1.5ノット 20~50cm 2~3ノット 20cm未満 3~4ノット |
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定員: | 70名(就航当初は32名) | |
船内設備: |
ガリンコ号(ガリンコごう)は、紋別市の紋別港で観光目的に運用されている砕氷船。「ネジを廻すと前に進む」というアルキメデスのねじの原理を利用した「アルキメディアン・スクリュー」と呼ばれる螺旋型の砕氷ドリルを船体前部に装備していて、それを回転させ氷を砕きながら流氷域の航行ができる。北海道遺産の一つ。
目次 |
[編集] ガリンコ号(初代)
元は三井造船がアラスカ油田開発のために建造した実験船「おほーつく」で、1981年(昭和56年)12月26日に建造進水した。1985年(昭和60年)の実験終了に伴い、有効利用のために日本船用機器開発協会(現・日本船用工業会)および三井造船の協力のもとに観光船に改造され、紋別市へと傭船された上で船名を「ガリンコ号」と改められた。1987年(昭和62年)2月1日就航。当初の定員は32名で、世界初の流氷砕氷観光船だった。
その後1988年(昭和63年)に2階建てへと改造され、定員は70名となった。1996年(平成8年)3月10日までの10シーズンに渡り、延べ8万人を超える観光客を流氷の海へ案内した。
4本の巨大なアルキメディアン・スクリューを持ち、20~50cmの厚さの氷を砕いて進むことが出来る。しかし元が実験船であったため沖合に出ることが難しく、最長で沖合2kmまでの区間を航行していた。また造設された展望室以外の客席が露天であるなど、乗り心地も快適とはやや言い難かった。現在は紋別海洋公園ガリヤゾーン内に陸揚げ展示されており、その巨大なアルキメディアン・スクリューを目の当たりにすることができる。
ガリンコ号II | ||
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船歴 | ||
進水: | ||
就航: | 1997年1月20日 | |
退役: | ||
その後: | ||
性能諸元 | ||
総トン数: | 150G/t | |
全長: | 35.0m | |
全幅: | 7.00m | |
深さ: | 2.70m | |
吃水: | 1.9m | |
機関: | ディーゼル駆動プロペラ1基 アルキメディアン・スクリュー 2基(油圧駆動式) |
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出力: | 735kw | |
航海速力: | 11ノット | |
定員: | 195名 | |
船内設備: | 売店、自動販売機 |
[編集] ガリンコ号II
初代ガリンコ号が実験船を改造した船であるのに対し、後継機であるガリンコ号IIははじめから流氷観光をターゲットに設計された。総トン数は初代の4倍近い150tとなり、定員も195名と大幅に増員された。また冷暖房完備の客室を持ち、自動販売機や売店も完備しているため、快適にクルージングをすることが出来る。1997年(平成9年)1月に就航した。
沖合10kmまでの航行が可能となり、これに合わせて夏期の運行も開始された。夏場は便によりデッキから釣りをすることも出来る。
特徴であったアルキメディアン・スクリューは初代の4本から2本に減ったが、砕氷能力はアップし、氷厚60cmの氷を割りながら進むことが出来るようになった。
[編集] 運用
- 夏季
オホーツク海クルージング便(5~10月)と、フィッシング便(6~9月)が出ている。フィッシング便ではエサ、釣り竿をガリンコ号内に準備されており、手ぶらで乗船しても釣りを楽しむことができる。獲物は紋別カレイ。
- 冬季
1~3月は流氷観光便となる。乗船時間は約1時間であるが、「チャレンジ便」とついている便は、流氷が沖に流されてしまった場合でも時間を延長して流氷を追ってくれる。冬場のオホーツク海は波が高く船が激しく揺れるため、出航後船内ではエチケット袋が配られる。
- 乗船券
乗船券には「緊急時には協力をお願いするため該当の方は○印をつけてください。医師・看護師・海上保安官・警察官・消防官・自衛官・船員」と書かれている。