オペレーターズサイド
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オペレーターズサイド(OPERATOR'S SIDE、米国版タイトルLifeline)は2003年1月30日にソニー・コンピュータエンタテインメントより発売されたプレイステーション2用ゲームソフト。
音声認識型ゲーム(ボイス・アクション・アドベンチャー)で、プレイするためにはUSB接続型のマイクが必要となる(ソフトにヘッドセットマイクを同梱したパッケージも販売された)。プレイヤーは、ゲーム中でオペレーターとなり、モニタールーム内よりモニター越しにヒロインであるリオに音声で指示を送り、彼女を導くと言う設定になっている。ゲーム中はマイクを通し「走れ・歩け」(移動の指示)や、「調べろ・見ろ」(行動の指示)、また敵との遭遇時は「撃て・リロード」(戦闘の指示)等の言葉を声で入力する事により、ヒロインを操作する。
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[編集] ストーリー
西暦2029年12月24日。JSL(日本宇宙航空)が完成させた宇宙ステーション内にあるホテルのオープンセレモニーの最中に、突然エイリアンらしき生命体の襲撃が始まった。恋人さやかと共にセレモニーに出席していた主人公は、突然の惨劇の中ただ逃げ惑う事しかできず、ふと気が付いた時はさやかともはぐれ、なぜかステーション内のモニタールームの中に倒れていた。
モニタールームは外からロックされていたため、外に出る事はできない。途方にくれた主人公がふと目の前に設置されたモニターを見ると、そこには拘置室に閉じ込められた一人の女性が映し出されていた。
その女性の名はリオ。拘置室の扉は主人公の居るモニタールームから遠隔操作で開ける事ができた。主人公のおかげで拘置室より出たリオは、以後主人公とある種の協力関係を結ぶ。モニタールームから出られない主人公の代わりにリオが手足となり、ステーション内の調査をする。主人公は目となりモニターで情報を収集し、リオに指示を送る。こうして二人によるステーション内の調査がはじまった。
[編集] 音声入力
このゲーム発売以前にも、数は多くないが音声入力タイプのゲームは発売されていた。 有名なところでは『シーマン』や『ピカチュウげんきでちゅう』があり、古くは『たけしの挑戦状』でも、原始的なものではあるが一部音声入力を必要とするところがあった。
この種のゲームで問題になるのは、ハード(ゲーム)側の音声認識能力だろう。直接コントローラーを操作するゲームとは異なり、ゲームソフト側で音声認識処理という段階を挟んで操作するため、ソフトがプレイヤーの音声を的確に認識しない限りゲームは進行できない。そのため、リアルタイムでの速やかな入力が必要とされるアクションゲームで音声入力システムを採用するのは難しいとされていた。
実際のゲームでは、完全な会話形式の入力とまでは行かなかったが、短い単語を組み合わせた音声入力に対し、ほぼ満足のいく認識力だった様である。しかし、やはり個人差はあり、プレイヤーの発音や発声によっては、なかなか認識してくれない事もあり、ゲーム開始前のチュートリアル内で練習をする事によって、このゲーム向きの発声を確認させるシステムがあった。
[編集] 主な登場人物
注意:以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。
- このゲームのヒロイン。ある目的のため、宇宙ステーションホテルでウェイトレスとして働いていた。モニターを通じ、主人公と協力して宇宙ステーションを調査する。母親は日本人で父親はドイツ人でパラケルススの子孫という設定になっている。
- 主人公(声優:なし=プレイヤー)
- なぜかモニタールームに閉じ込められていた。偶然知り合ったリオと協力して、ステーション内を調査する。離れ離れになった恋人さやかの行方を心配している。
- ジョー・パワーズ(声優:有本欽隆)
- 宇宙ステーション内にある実験棟の責任者。エイリアン襲撃後、大混乱の宇宙ステーション内にあって、彼一人がなぜか冷静に振舞っている。
- 武藤警備員(声優:森川智之)
- 宇宙ステーションの警備員。融通の利かない性格で、謹厳実直すぎる彼の行動は、ほとんどの場合空回りばかりしてる。密かに想いを寄せるリオの身を心配するあまり、彼女を拘置室に監禁する。
- 鷺谷支配人(声優:---)
- 宇宙ステーションホテルの支配人で、リオの上司。仕事においては有能な人物だが、言葉遣いの荒さから、人望は余り無い。その口の悪さが災いして…
- さやか(声優:橘ひかり)
- 主人公の恋人。二人で宇宙ステーションホテルのオープニングセレモニーに出席していて、事件に巻き込まれる。主人公と逸れてしまい行方不明になる。
[編集] 評価
シナリオやキャラクターに対する評価は高く、画面の中にいるゲームキャラクターと音声でリアルタイムにコミュニケーションをとれるタイプのゲームが珍しい事もあって、プレイヤーの反応は概好評だったと言える。しかし、ハードの性能上の制約の為か、完全な会話形式での音声入力ではなく、短い単語を組合わせて入力する方式だった為、今ひとつヒロインとのコミュニケーションに感情移入できないとする意見もあった。また、入力されたプレイヤーの『声』に対するハード側の認識力に不満を持つ者もおり、特に敵との戦闘時などの切羽詰った状況で出した指示がなかなか認識されず、それにストレスを感じたプレイヤーも多く存在した。[1]なお、ファミ通のクロスレビューで37点のプラチナ殿堂入りとなっている。[2]