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ウリヤノフスク級原子力空母 - Wikipedia

ウリヤノフスク級原子力空母

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

USS United States CV-58
艦歴
起工 1988年11月25日
その後 1992年3月建造中止/解体
性能諸元(計画値)
排水量 基準:60,000 t
満載:79,758 t
全長 324.6 m
全幅 最大75.5m
吃水 11.0 m
最大速力 30 kt (55 km/h)
乗員 2,300名
1,500名(航空要員)
搭載機 70機以上

ウリヤノフスク級原子力空母( - きゅうげんしりょくくうぼ)は、ロシアの1143.7型(プロジェクト1143.7)原子力空母。1番艦がウリヤノフスクという名前である事から、「ウリヤノフスク級」と呼ばれるのが一般的である。ちなみに、ロシアにおける本計画のニックネームは「オリョール(Orel)」という。

[編集] 概要

ウリヤノフスクは、1143.5型 アドミラル・クズネツォフ級2隻に続く全通飛行甲板を有する航空機搭載艦として計画された。基本的には、前作アドミラル・クズネツォフ級の拡大型で、同級をサイズアップしたような外見となっており、艦首のスキージャンプ台も踏襲されている。兵装もクズネツォフ級とほぼ同一であり、飛行甲板前部に埋め込まれた対艦ミサイル垂直発射機もそのまま受け継がれた。

1143.5型では蒸気カタパルトの搭載は見送られたが、既に1980年代前半に蒸気カタパルトを含む陸上の発着シミュレートシステム「ニートカ」を建設していたソ連にとって、蒸気カタパルトの採用は何の技術的問題も無く、本型では、アングルドデッキに蒸気カタパルト2基が搭載される事になり、機関も原子力になった。つまり本型は「クズネツォフ級をそのまま大きくして原子力推進化し、蒸気カタパルトを付けた"空母"」と言える。スキージャンプ台と蒸気カタパルトを平行装備する奇妙な「空母」であるが、これは、単にクズネツォフ級の設計を踏襲した為と見るのが妥当であり、カタパルトの能力に不安が有ったからでは無い。そもそも、旧ソ連の蒸気カタパルトが実用に耐えうる物では無かったのであれば、本型もスキージャンプ台のみの設計になっていただろう。

旧ソ連は、1143型 キエフ級航空巡洋艦に続く航空機搭載艦として、当初は、蒸気カタパルトを備えた8万トンクラスの大型原子力空母を建造する計画であり、蒸気カタパルトの開発も進められていたのだが、国防省や共産党中央委員会が「本格的原子力空母」の建造に消極的であったため、計画はトーンダウンし、スキージャンプ台を備えた通常動力のアドミラル・クズネツォフ級が建造される事になった。中でも「蒸気カタパルトを備えた原子力空母」建造反対の「急先鋒」が、当時の国防相ウスチーノフ元帥だった。だが1980年代半ばには彼は現役を去り、「本格的原子力空母」の建造を阻む者は居なくなったため、ようやくソ連邦も、蒸気カタパルト付き原子力空母を建造できるようになったと言える。その意味で本型は、クズネツォフ級と1970年代計画の8万トン級原子力空母を足して二で割ったような艦とも言える(ただ上述のように、外観はクズネツォフ級に近いが)。

4隻が建造される予定であり、1988年に1番艦が起工された。就役は1996年頃を予定していた。本型は、完成していればSu-33艦上戦闘機MiG-29K艦上戦闘機、Yak-44E艦上早期警戒機など70機以上を搭載する、満載排水量7万9,758トンというソ連最大の航空母艦になるはずであった。

ソ連邦が消滅した1991年12月には、既に中央政府からの資金供給は途絶えていたが、それでも、ウリヤノフスク及びクズネツォフ級2番艦ワリャーグを建造していたウクライナのチェルノモルスキー造船所(第444海軍工廠、ニコラーエフ南)は、この2隻の建造を続行していた(当時、同造船所の所長がインタビューに答え「中央政府からの資金供給はストップしたが、ワリャーグ及びウリヤノフスクの建造は続行している」と話している)。しかし、それも長くは続かず、1992年3月、ワリャーグと共に工事は中断された。この時点では、船体の下半分が出来上がったところであった。その後、工事が再開される事はなくスクラップとなった。

余談だが、ウリヤノフスクは実際に起工されながら未完成に終わった、いわゆる「未成艦」の中では、現在までの所、世界最大の軍艦である。(「計画のみ」であれば、より大型の艦も存在する)

[編集] 同型艦

1143.7型(起工順)
# 注文 艦番号 名称 造船所 起工年 進水年 就役年 備考
1 S-107[1] - ウリヤノフスク SY444 1988/11/25 - - 1992/03/工事中止、解体
2 S-108 - - - 1992/05/10 - - 1992/03/工事中止、解体

[編集] リファレンス

  1. ^ Балакин С.А., Заблоцкий В.П. Советские авианосцы. Авианесущие крейсера адмирала Горшкова. М.: Коллекция, Яуза, ЭКСМО, 2007. ISBN 978-5-699-20954-5


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