アンガラ・ロケット
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アンガラ・ロケット (Angara rocket) は軌道上へ大重量の貨物を投入するために計画されたロシアの宇宙打ち上げロケットである。現在モスクワにあるクルニチェフ国家宇宙科学製造センター (Khrunichev State Space Scientific Production Center) のもとで開発が進められている。このロケットはロシアのプレセツク宇宙基地 (Plesetsk Cosmodrome) で最初に打ち上げられる予定である。これはロシアの歴代ロケットを打ち上げてきたカザフスタンのバイコヌール宇宙基地 (Baikonur Cosmodrome) に対する依存を減らすためである。ただし、重量級のアンガラA5ロケットはプレセツクとバイコヌールの両方で打ち上げられる予定である。アンガラロケットの開発によってロシアはウクライナからゼニット (Zenit) ロケットを購入する必要がなくなった。アンガラ・ロケットのアンガラはロシアのアンガラ川に由来する。
アンガラロケットはソビエト連邦時代に大重量を打ち上げ活躍したプロトンロケットに並ぶ打ち上げ能力を擁している。アメリカのEELVと同様に規格化された設計が為され、同シリーズにより必要に応じて2,000から24,500kgの貨物を低軌道に投入できる。また、必要に応じて補助ブースターとして回収可能性が特徴であるバイカル・ブースターを用いる。これにより大幅なコスト削減が可能としている。バイカル・ブースターのバイカルはロシアのバイカル湖に由来する。
最初の打ち上げはアンガラA3バージョンで2006年か2007年にプレセテク宇宙基地で予定されている。
[編集] アンガラ・ロケットの仕様
Version | Angara 1.1 | Angara 1.2 | Angara A3 | Angara A5 | Angara A5/KVRB |
---|---|---|---|---|---|
一段目 | 1xCRM, RD-191 | 1xCRM, RD-191 | 3xCRM, RD-191 | 5xCRM, RD-191 | 5xCRM, RD-191 |
二段目 | Breeze-KM | Block I, RD-0124A | Block I, RD-0124A | Block I, RD-0124A | Block I, RD-0124A |
三段目 ( LEOには使用しない) | -- | –- | Breeze-M | Breeze-M | KVRB |
推力 (地上) | 196 Mgf (1.92 MN) | 196 Mgf (1.92 MN) | 588 Mgf (5.77 MN) | 980 Mgf (9.61 MN) | 980 Mgf (9.61 MN) |
打ち上げ重量 | 149 t | 171.5 t | 478 t | 773 t | 790 t |
全高 | 34.9 m | 41.5 m | 45.8 m | 55.4 m | 64 m |
ペイロード (LEO 200 km) | 2 t | 3.7 t | 14.6 t | 24.5 t | 24.5 t |
ペイロード (GTO) | –- | –- | 2.4 t | 5.4 t | 6.6 t |
ペイロード (GEO) | –- | –- | –- | 2.8 t | 4 t |
比較にあげられるロケット: デルタ IV - アトラス V - アリアン 5 - 長征 5 - ファルコン 9
[編集] 外部リンク
- 公式のアンガラ・ロケットシリーズ解説 (ロシア語)
- ILSによるアンガラ・ロケットの解説
- ESAによるアンガラ・ロケットの解説
- アンガラ・ロケットを含めたエネルギアの宇宙船の解説, Encyclopedia Astronauticaより
- アンガラ・シリーズ(ロシア・スペース・ウェブ RussianSpaceWeb)
- バイカル・ブースター(ロシア・スペース・ウェブ RussianSpaceWeb)
- アンガラの概容
- 「アンガラ」の極東への長い道のり