アエロメヒコ航空498便空中衝突事故
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アエロメヒコ航空498便空中衝突事故(アエロメヒコこうくう 498びん くうちゅうしょうとつじこ)は、1986年8月31日に、アエロメヒコ航空498便(ダグラスDC-9-32型機/XA-JED、以下498便)が、ロサンゼルス国際空港に着陸進入中、自家用飛行機(パイパー・PA-28-181 チェロキー・アーチャー/N4891F)と空中衝突した航空事故。
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[編集] 事故概要
メキシコシティ発グアダラハラ経由ロサンゼルス行きのアエロメヒコ航空498便のダグラスDC-9-32型機が、ロサンゼルス国際空港に着陸進入中に、トーランス空港を離陸し、ロサンゼルス国際空港への進入路近くのセリトス上空を飛行していた会社役員が操縦するパイパー・チェロキー・アーチャーと空中衝突した。
双方の航空機は、ほぼ90°の角度で衝突し、パイパー機のプロペラが498便の垂直・水平尾翼を破壊し、双方とも操縦不能に至り、セリトスの住宅地に墜落した。双方の航空機の乗客乗員計67人と地上にいた15人が死亡した。これを機にアメリカでは航空機の空中衝突防止装置(TCAS)の設置が義務付けられることになった。
[編集] 主な事故原因
- ロサンゼルス国際空港は交通量の多い空港のひとつで、管制エリア(通称:TCA)が設けられている。パイパー機に限らず、小型機ならばTCAに入る前に許可を得る必要があるが、下記の原因によりパイパー機は無許可でTCAに進入した。
- パイパー機のパイロットは目標物の誤認により飛行計画経路からそれ、TCAに進入した。パイロットはおそらくTCA進入に気が付いていなかったと思われる。
- パイパー機には、当時は小型機には義務付けられていなかったトランスポンダというシステムが搭載されていなかった。
[編集] その他の事故原因
- 事故直前に別の小型飛行機(グラマン社製)がTCAに無断で侵入しており管制官はそちらとの交信が長引き、その間に498便と接近した。
- パイパー機はとても小さく、498便の機長と副操縦士は、パイパー機に気がつかなかった。また、パイパー機がDC-9型機の窓枠に隠れていた可能性もあった。
- パイパー機のパイロットは、DC-9型機の接近している右側とは逆の左側を見ていた。
[編集] 映像化
- ナショナルジオグラフィックチャンネルの"Air Crash Investigations 4"(日本語タイトル:メーデー!4:航空機事故の真実と真相)第7話"Collision over LA"(日本語タイトル「未確認小型飛行機」)