アイテム課金
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アイテム課金(-かきん)とは、主にオンラインゲームで導入されているシステムで、ユーザーにゲーム内で利用できるアイテムを販売する課金制度。最近の韓国産オンラインゲームによく見られ、リアルマネー(現金)を使いアイテムを購入することでゲームプレイが有利になったり、ゲーム内のキャラクターをより個性的な物にする事もできる。
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[編集] 解説
販売されるアイテムは、ゲーム内では入手の困難(もしくは不可能)なレアアイテム、ゲーム内で入手できるものより性能が高いアイテム、キャラクターの服装などのアバター関連アイテム、経験値獲得効率アップをはじめとした利便性を向上させるアイテムなどである。アイテムに利用期間(使用開始日から1週間など)が設定されている場合もある。
アイテム課金のゲームの多くは基本料金無料(月額課金なし)になっている。この場合、基本的にプレイ料金は無料であるため敷居が低く、オンラインゲーム初心者でも気軽にプレイできるのがメリットとなる。その結果として接続数が増やせ、有料アイテムを購入してもらえる可能性が高まるという運営側のメリットにもなる。その一方で誰でも接続できるために、低年齢層流入によるプレイ年齢層の低下や、荒らしやマナー無視をする精神的に未熟なプレイヤーが多くなり、ゲームのバランスや秩序などが乱れ、ゲームが荒廃するリスクも向上するといわれている。また実際に支払える資金力の差が直接にプレイヤーの有利性の差となる為、ゲーム内にリアルマネーの恩恵を持ち込む事はプレイヤー間のバランス、ひいてはゲームバランスそのものを崩す事に繋がるという見方や、目先の小銭稼ぎのためにゲームとしての質を崩していると言う批判も少なくない。
だが、アイテム課金自体は、かなり微妙な感覚が必要とされるバランスの上に成立しているシステムで、この点では定額課金と比べても難しい。アイテムの能力設定など、各種ノウハウの開発と蓄積が運営会社には要求される。その為、運営サイドの価格設定のまずさや、売り上げ至上主義による新アイテムの乱発などからゲームバランスを自ら崩してしまうものも見られるなどしており、従来の定額課金から完全に取って代わるだけの存在には成り得ていない。また、金をかければかけるほどゲーム内で有利になる課金制において、金銭的に余裕のある労働者層(社会人層)と金銭的に余裕の無い未成年層(学生層)でゲーム内での格差が生じやすい。これらの事情から、知名度が低くアクセス数の確保が第一となるタイトルはアイテム課金を、ある程度の知名度があり安定した運営を求めるタイトルは定額課金を採用する傾向が続いている。一部にはオンラインゲームの増大や運営会社のスタンスの変化などにともない、定額課金からアイテム課金に移行したタイトルも見受けられる(Master of Epic -The ResonanceAge Universe-など)。
いくつものMMORPGを経験しマナーやゲームバランスに敏感なコアゲーマーの中には、アイテム課金制のゲームもしくはそれを実施する運営会社そのものを嫌い、アイテム課金が絡むゲームは決してプレイせず(もしくはクローズドβ、オープンβのみプレイする)、月額課金のゲームのみプレイする信条を持つ者も少なくない。
また、有料アイテムをキャラクター同士で取引できる場合、間接的に現実世界の財産がゲーム内財産に換算可能であるということになり、RMTの原因になるという指摘もある。このため、ゲームによっては、有料アイテムを使ったユーザー間取引を不可としているものもある(トリックスターラブなど)。
アイテム課金ゲームの多くは基本料金無料で運営されているが、定額料金制度とアイテム課金による従量制度の両方をあわせたハイブリッド課金と呼ばれる形態のゲームも増えている。
[編集] アイテムくじ
アイテム課金を採用しているゲームの多くで、ゲーム内アイテムを商品とした景品くじが販売されている。
このくじについては景品は多くの種類が用意されている。その中にはくじでしか入手が不可能な強力なレアアイテムやファッションアイテムが目玉景品として入る事も多い。また、これによってアイテム課金の利用促進を図っているタイトルは非常に多く、タイトルによってはアイテム課金の売り上げの多くを占めるものさえあり、アイテム課金のゲームにとってはなくてはならない要素ともなっている。また、プレイヤーの多くがレアアイテムで自分のキャラクターに個性を出す、あるいは他のプレイヤーに差をつける事を目的として、このくじをプレイしている。
だが、この目玉景品の当たる確率は運営会社のさじ加減次第といえ、特に強力なレアアイテムは出現率が低く抑えられている事が多く、レアアイテムを入手するため数万円をつぎ込んだが当たらないという話も枚挙に暇がない。また、女神転生IMAGINEでは10万円を投じてもレアアイテムが出なかったプレイヤーが、運営会社を提訴するという事態も起きている。この様な超低確率でしか入手不可能なレアアイテムを、あたかも簡単に当たる様に見せかけてくじを販売しているタイトルが存在しているが、これらは景品表示法に抵触する可能性があり、消費者保護の観点からも問題が大きいのではないかという声も一部からは上がっている。また、この様な商法について、射幸心をいたずらに煽るものとして問題視している者はプレイヤーの中にも少なくない。
また、一部のゲームではくじでレアアイテムが出ないという声がプレイヤーのコミュニティで続出した結果、くじのレアアイテムが実際にはほとんど出る事はなく、このレアアイテムを持っている者は実際は運営会社のサクラ(おとり客)なのではないかとして、これを持っているプレイヤーが懐疑の目を向けられ、プレイヤー間でトラブルに発展したり、ゲーム内の雰囲気的にせっかくのレアアイテムを使うに使えなくなってしまうケースも発生しているなど、一部ではゲーム運営側にとってもプラスにならないものも見られている。
[編集] 会社間における導入状況
アイテム課金を導入している会社は韓国系企業に多い。特にネクソンジャパンとゲームオンはアイテム課金に積極的であり、少数ながら残っていた月額制およびハイブリッド課金の全タイトルにおいても2007年初頭までにすべてアイテム課金制度へ移行している。ガンホーおよびゲームポットにおいても、ほとんどのタイトルでアイテム課金を導入している。
一方でスクウェア・エニックスやセガなどといった日本系企業は月額制およびパッケージ支払いを導入しているところが多く、アイテム課金のみというところは韓国系と比較して極めて少ない。