ひよどり山有料道路
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ひよどり山有料道路(ひよどりやまゆうりょうどうろ)は、東京都八王子市の市街地から新滝山街道に至る、かつての一般有料道路である。東京都道路公社が管理していた。2001年に有料道路として供用開始、2007年に無料開放。
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[編集] 地理及び現況等
[編集] 地理
八王子市は東西を国道20号、南北を国道16号が貫く東京西部の交通の要衝である。
特に国道16号は東京環状とも呼ばれ、市西部の現道と東部国道16号八王子バイパスが北部の左入町で分岐、神奈川県相模原市橋本で再び合流する。八王子の市街地は両道の中間に位置しており、市街から北部へ向かうには一度東西方向へ進み、現道、バイパスどちらかの国道16号に流入する必要があった。
ひよどり山有料道路は駅前通りから左入交差点西の滝山地区をダイレクトに結ぶ、国道20号や八王子市街地から同市北部や隣接市のあきる野市・昭島市方面へのアクセス道路としての機能を持っている。都立小宮公園の中央を通過するために、都市計画変更時に大部分がトンネル構造となるように変更された。
[編集] 有料道路時代の状況
有料道路区間のほとんどがひよどり山トンネルで占められている。自動車専用道路ではないので、125cc以下の二輪車も車道を通行できる。また、歩行者や自転車は併設された歩道を無料で通行できる。
全線が東京都道166号瑞穂あきる野八王子線に属する。当路線の供用開始と同時に、有料道路区間の起点から国道20号交点までの区間も同都道に指定された。
中央道八王子ICのランプ直下を通過するが、中央道とは直接連絡していない。交通量増加による収支改善のためにランプ増設が検討されたが実現しなかった。
50km規制であるが有料時代は通行量も少なかったため、速度超過の車両もしばしば見受けられた。いつの頃からか料金所の隣にある管理センターと倉庫の間の隙間に白バイが駐留する事が多くなり、特に料金所から八王子駅方面に飛ばしにかかる車両に対して追尾、トンネル内にサイレンが鳴り響くことも多かった。
[編集] 無料開放後の現況
2007年6月1日から全線無料化され全ての車両が無料で通行することが可能になった。無料開放に伴い旧有料道路区間は八王子市へ移管の上、八王子市道として管理され、関連公共区間(取付道路として従来から無料で通行できた区間)は従来通り都道として東京都道路公社が管理している。
特に南行きが度々渋滞するなど通行量が増加している。車道・歩道の通行区分に変更はなく、自転車は歩道を通行することとなる。
元の料金所施設は撤去され白いフェンスがされてある。
[編集] アクセス
同道北側、事実上の接続部である左滝橋西交差点は、開通当初T字路であったが、2007年4月1日に道の駅八王子滝山が北側にオープンしたため、そのアクセス道と接続し交差点となった。南側出口は大和田北通りに接続しているが、その後すぐに大和田暁通りとの交差点があるためクランク化し、特に朝夕は渋滞が激しい。ちなみに同トンネル開通前は、トンネル南詰はT字路ではなく、大和田北通りが大和田小方面へ向かうカーブでしかなかった。
市中心部から中央道へのアクセスは左滝橋西交差点を右折し国道16号をゆくように案内されているが、実際はトンネル北出口を星谷坂トンネル方面に左折し、都道166号を南に進み国道16号に出た方が若干ではあるが所要時間が短い。これは交通量の少ない新滝山街道へ高速を利用する車両を誘導する狙いがあるものと思われる。圏央道あきる野ICへの短絡ルートとしても機能している。
[編集] 概要
以下、有料道路時代の路線概要を示す。
[編集] 有料道路区間
- 延長:1.65km
- 起点:東京都八王子市大和田町7丁目
- 終点:東京都八王子市滝山町1丁目
- 路線名:一般都道 瑞穂あきる野八王子線
- 道路の区分:第4種第1級
- 設計速度:60km/h
- 車線数:2車線
- 償還期間(当初):2001年1月28日から30年間
- 管理:東京都道路公社
[編集] 関連公共区間
- 延長:0.45km
- 起点:東京都八王子市滝山町1丁目
- 終点:東京都八王子市梅坪町(東京都道 渕上日野線交点)
- 路線名:一般都道 瑞穂あきる野八王子線
- 道路の区分:第4種第1級
- 設計速度:60km/h
- 車線数:4車線
- 管理:東京都道路公社
[編集] 沿革
- 1996年(平成8年):有料道路事業として採択され、用地買収・ひよどり山トンネルを皮切りに順次工事に着手。
- 当初の事業名は「八王子中央有料道路」であった。事業費は約242億円。
- 2001年(平成13年)1月28日:「ひよどり山有料道路」として供用開始。
- 2003年(平成15年):ワンコインキャンペーン実施(通行料金が普通車以上一律100円)。
- 2005年(平成17年)3月21日~31日:圏央道日の出IC~あきる野IC間の開通を記念して、通行料が無料となるキャンペーンを実施[1]。
- 2006年(平成18年)9月29日:東京都議会財政委員会にて、多摩都市モノレール・稲城大橋有料道路と共に「負の遺産」に指定されたことが明らかになる。
- 「負の遺産」とは「当初計画と実績が大きく乖離し、事業の見直し・再構築が避けられない懸案」を指す。交通量は計画に対して38%(計画交通量は約9,600台/日)、負債残高は70億円とされる。
- 2006年(平成18年)10月24日:東京都が負債残高の約70億円の債務を一括償却し、無料開放する方針を表明。
- 利用が予測を大幅に下回り負債償還の目処が立たないこと、周辺道路の渋滞緩和などが理由とされる。
- 2007年(平成19年)5月31日:営業終了。
- 2007年(平成19年)6月1日:八王子市に移管し、無料開放。[2]
[編集] 通行料金等
[編集] 通行料金
有料道路時代の通行料金(現在の通行料金は無料)は以下の通りである。供用開始から営業終了まで、途中2度の割引キャンペーン期間(普通車以上一律100円)を除き、通常料金に改訂はなかった。ハイウェイカード(有料道路時代にはまだ存在していて、現在は廃止されている)は使用できなかった。
[編集] 料金所
ひよどり山料金所において料金徴収を行っていた。下記の他、料金所の両脇に原付用のゲート(上下線1つずつ)があった。ETCには対応していなかった。
- ブース数:4(うち、有人ブース:1)
- レーン数:5
[編集] インターチェンジなど
- ひよどり山有料道路南側出入口(=有料道路南交差点/東京都道166号瑞穂あきる野八王子線)
- 料金所
- ひよどり山有料道路北交差点(都市計画道路北西部幹線→谷野街道方面)
- ひよどり山有料道路北側出入口(東京都道169号淵上日野線)
[編集] 他の道路施設
いずれも旧有料道路区間内に存在している。
[編集] トンネル
- ひよどり山トンネル(延長:約1,030m)
- 左入トンネル(延長:約120m)
[編集] 橋梁
- 中丸橋(延長:約200m)