ひこにゃん
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ひこにゃんとは2007年に築城(開始)400年を迎える彦根城の記念イベント「国宝・彦根城築城400年祭」のイメージキャラクターで、井伊家由来の赤備えの兜をかぶった猫をモデル(理由は後述)としている。
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[編集] 概要
同祭のキャンペーンやグッズ等で登場しており、その「ゆるさ」が話題を呼んでいる。通常はそのまま「ひこにゃん」と呼ばれているが、マスコットでありながら公式のブログ(外部リンク参照)でスタッフに「モチ」呼ばわりされている。ファンの間でも愛称として「モチ」と呼ぶことがある(明確な理由は不明だが、強いてあげるならば「白くてくねくねする」→「お餅?」→「モチ」という連想であり、またスタッフの知人がひこにゃんをみて「何?あの餅みたいなの」と発言したことがきっかけとなったと公式ブログ内で語られている。なお彦根には名物として様々な餅菓子がある)。
ひこにゃんはキャラクターを使用する際に通常必要な著作権使用料を無料の許可制にすることで個人・企業を問わず広く参加でき、築城400年祭を盛り上げる効果を狙った新しい試みであった。著作権使用料を無料にすることで小規模企業を含めた様々な企業が参加し、イベントを通じて街の活性化をはかる試みとして経済界からも注目された。ひこにゃんグッズとしては普段は目につきにくい伝統工芸品の銅細工をはじめ、彦根の特産品や菓子など様々な商品が閉幕後も販売され観光客などに喜ばれている。さらに、全国的な認知を得てインターネットなどでも商品が販売された。反面、築城400年祭自体の認知度が「ひこにゃん」に追いついていなかったことが、関係者の悩みの種でもあった。
ほぼ毎週末、彦根城に登場するが、他にも彦根市・滋賀県関連、井伊家に関するイベントなどにも参加することがある。
[編集] なぜ「ネコ」か
江戸の豪徳寺で彦根藩2代目藩主の井伊直孝が、にわか雨にあって大木の下で雨宿りをしていた際に、手招きをする白猫を見て近寄ったところ、その大木に落雷があった。直孝はこの猫に感謝し、後に豪徳寺を井伊氏の菩提寺とした。この白猫の伝説(いわゆる招き猫発祥伝説)から決定された。
[編集] 歴史
- 2006年
- 2007年
- 3月21日 - 「国宝・彦根城築城400年祭」開幕。
- 4月16日 - 「ひこにゃんとお城で遊ぶ本 国宝・彦根城築城400年祭ガイドブック」(サンライズ出版)が発売。
- 6月中旬 - コレクションフィギュア城郭コレクション第3章(童友社)「スペシャル版・春の彦根城」にひこにゃんが付属する。
- 8月1日~29日 - オンラインゲーム『信長の野望Online』にて「国宝・彦根城築城400年祭」とのタイアップによる「ひこにゃんイベント」開催。
- 8月4日 - 第30回世田谷ふるさと区民祭りに参加の為、お江戸(東京)へ出陣。
- 8月21日 - 井伊家ゆかりの豪徳寺を参拝するため、お江戸へ出陣。
- 10月2日 - 「国宝・彦根城築城400年祭」総入場者数が、当初実行委員会が目標としていた55万人を突破。来場者に記念品が授与された。
- 10月19日 - 「国宝・彦根城築城400年祭」開幕以降の彦根城博物館への入場者数が過去最高の20万人に達し、記念品授与と「仕舞」を披露。
- 11月9日 - 彦根市へ特別住民登録の手続きをし、特別住民票の交付を受ける。
- 11月25日 - 「国宝・彦根城築城400年祭」閉幕。グッズ販売の終了を予告する店舗もあった。総入場者数は764,484人に達し、クロージングイベントで能を披露。
- 11月26日 - キャラクター図柄を描いたイラストレーターが、グッズ販売の継続を条件付きで容認。
- 2008年
[編集] プロフィール
- 性別 - 特に決まっていない。見た人の心に映ったままに。
- 出身地 - 彦根城
- 現住所 - 彦根城の天守閣
- 好物 - お魚、お肉 とくにカニと箸で切れるお肉が大好き
- 趣味 - お城を散歩すること
- 目標 - 400年祭を成功させること
※出典:ひこにゃん倶楽部(築城400年祭公式サイト内リンク)、キャラっと@Happy(京都新聞2007年1月15日付夕刊より)など
[編集] 特技
ひこにゃんは多彩な特技を持つ事で知られる。以下にその一例を挙げる。
- モチーズブートキャンプ(ビリーズブートキャンプのパロディ)
- モチバウアー(イナバウアーのパロディ)
- アイーン(志村けん)
- 変なおじさん(志村けん)
- 欽ちゃん走り
- だらにゃん(長椅子に寝そべってリラックスする)
- ひこにゃんじゃんけん
- 鈴叩き
- 日本舞踊
- 殺陣(愛刀「爪楊枝」を持つ事により繰り出される)
- 正座
- エアギター
- コマネチ
- そんねの関係ねぇ!(小島よしお)
- ラジオ体操
- ふぉ~(レイザーラモン
[編集] その他
- 足が短いために階段昇降を苦手とする。
- 同じく足が短いために正座から自力で立ちあがる事が出来ない。こちらは後に克服した模様である。
- 正月には全国のファンから年賀状が届きご満悦の様子。
- バレンタインデーにも同じく全国のファンからチョコレート等が届く。羨ましがる男性職員を尻目にチョコレートを数えていた。
- 前述の通り、彦根市に特別市民登録をしている。
- NHKの阿部渉アナウンサーから、上記の住民票とバレンタインチョコをもらったことに対して、それぞれ「おめでとう!ひこにゃん!」「よかったね!ひこにゃん!」というメッセージが送られた。
- 一見裸足のように見えるが、実は靴を履いている。建物の中に入る時は玄関で靴を脱いで上がる。因みに素足も真白であるため外見的には靴を履いている時と殆ど変わらない。
[編集] 作者
- デザインしたのは大阪府出身のイラストレーターであるもへろん。他に京都タワーのキャラクターたわわちゃん、阪急電鉄の阪急ハイキングキャラクターぴょんちゃん&のんちゃんなどをデザインしている。なお、ひこにゃんは「上洛」の際にたわわちゃんと対面している。
[編集] 使用中止問題
2007年11月、ひこにゃんのキャラクターデザインを担当したもへろん(以下「作者」)が彦根市(以下「市」)と400年祭実行委員会(以下「委員会」)に対し、キャラクターの使用中止を求める調停を彦根簡易裁判所に申し立てたことが明らかになった。
この問題は2006年1月に委員会が400年祭のキャラクターとして作者が猫をモチーフとして描いた3点のイラストを採用したことに始まる。委員会と作者が所属するデザイン会社はキャラクター著作財産権を買い取りの形で委員会へ帰属させる契約を交わし、この結果委員会は地元企業などに原則使用料無料として商用使用等の許可を出してきたものである(「ひこにゃん」という名前は全国公募)。
しかしその後、著作財産権は委員会ではなく市として登記され、また同件について委員会は「お肉が好物」等の作者が意図しない性格付けをした。また同件の権利者とされている市は、制作した時点のイラストにはない尾やポーズのついたキャラクター商品について企業から使用許可が申請された際にこれを許可したため、結果として「ぬいぐるみ」などで初期の設定にはない商品が販売された(性格づけについては上述のプロフィールを参照、尻尾とポーズについてはイラストは前方からの3ポーズのキャラクターイメージしか存在せず、背面の設定はない)。
そのため作者は、
- デザイン会社は作者の代理(表見代理)であり、許可した絵は3枚のイラスト画のみ
- 使用許可期間は委員会の運営期間である400年祭の開催中のみである
- 市の行為は作家の作品への愛着と苦労を無視するものである
と主張して著作者人格権(同一性保持権)を根拠に、市に対して400年祭終了以降の使用禁止の民事調停を申し立てた。一方市側は、
- 著作財産権は契約に基づき委員会に帰属する
- これは財産権であり時間の経過により失効することはありえない
- 委員会が解散する際も手続きに基づき資産は処分される
- 市は委員会の依頼により権利行使を代行しているにすぎない
- 該当する権利行使は「対価を発生しない当該著作権の認可」のみである
- 社会通念上、行政処分においてこれを奇異とするにはあたらない
- 著作権に基づき、商品化の事案が発生するのも特異とするにあたらない
- そこではヌイグルミなどの商品も発生し、当該イメージと異なる場合もある
- 但、尻尾や嗜好は商品のイメージの一部に過ぎない
- この結果を以ってキャラクター全体の特性を変更したとは判断できない
- 契約の際にデザイン会社は『作者』の代理であると意思表示していない
- この結果、作者はデザイン会社の下請であると判断される
- この結果、作者は委託者(作者の同族会社)に著作者人格権を渡している
- これらを判断するに申立人の主張には法的根拠が全くない
と事実を争う答弁書を獅山向洋・彦根市長自ら提出した。
尚、市側は「400年祭終了後も市のマスコットとして使用していきたい」としており、また作者も「一度キャラクターの設定を統一する監修をしたい」とコメントしている。
2007年12月14日に彦根簡易裁判所において民事調停が成立し、一定の条件の下で彦根市のキャラクターとしてひこにゃんの使用を続行することが決定した。
サンライズ出版がひこにゃんと酷似したキャラクターをひこねのよいにゃんことして展開中である。
[編集] 関連作品
- 絵本
- ひこねのよいにゃんこのおはなし(もへろん)
- 音楽
- ひこにゃん音頭(作詞・作曲:高橋容子)
[編集] 関連項目
- ゆるキャラ
- 滋賀県彦根市
- 彦根城
- 招き猫
- ニャンまげ
- はばタン - 彦根城築城400年祭のPRイベントに参加。
- サンライズ出版
- しまさこにゃん - ひこにゃんの敵役として作られた。
- いしだみつにゃん - しまさこにゃんの主人。
[編集] 外部リンク
- 国宝・彦根城築城400年祭:イベントやひこにゃん情報(公式ページ。ひこにゃん倶楽部、活動報告のブログあり)