ちょいわるおやじ
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ちょいわるおやじとは、雑誌『LEON』が提唱した、不良がかった中年男性(おやじ)のファッション。あるいは、それを範とする中年男性のこと。ちょいワルおやじや、チョイ不良おやじとも表記される(「ふりょう」で“ワル”と読む)。
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[編集] 概要
ちょいわるオヤジの野生的なファッションは、ワイルドで逞しいとしてLEONの読者や、一部の中年男性、またはその不倫相手層に重なるOLたちから強い支持を受ける。しかし、その着崩したスタイルを汚らしい、チンピラまがいだ、という声もある。また、自ら悪を名乗る反倫理性が批判されたり、そこに「ちょい」などと言い訳がましい名前を付けてしまうあたりがヘタレであるとの批判も存在する。
「なんら悪くない平凡な人がちょっと悪いイメージを自分に植え付ける」ケースと、「とんでもない悪人だが、『ちょい』とすることで『悪』の意味を軽減する」ケースがある。どちらにしても「売る側」(マスコミ、ファッション業界)と「受け取る側」(実際の中年男性)の自己錯誤・勘違いが無ければまったく成立しないズレた言葉として半ばお笑いの対象として受け止められる用語である。
[編集] マーケティング的視点
雑誌社がこのようなライフスタイルを提案し雑誌等で多用するということは、当然のことながらちょいわるおやじに相当する人たちがマーケティング上有望なターゲットであることを意味する。
今現在はサラリーマンや会社経営者として普通に生活している人たちも、若かりし頃にワルであったり、心の一部でワルに憧れていたりするものである。自由裁量で遣える金銭が増えてきた世代に対し、ちょいわるおやじなファッションを提案することは的を射たマーケティング方法だといえよう。
このちょいわるおやじは、1980年代後半~1990年代初頭の好景気、いわゆるバブル景気全盛期に20代・30代を過ごした世代と重なる。2006年現在では40代以降と考えられる。
この言葉を生み出した『LEON』初代編集長・岸田一郎は、年代については、30代後半から50歳を少し上回る程度としていた。
年収については、1500万円から3000万円程度で、小金持ちで高額商品を抵抗なく消費する贅沢趣味を持っていると岸田は解説した。
従来、40歳代の男性は収入が多いにもかかわらずマーケティング上あまり重要ではなく、下着からエアコン等の家電製品に至るまでモノの購買に関しては財布を握る妻のほうが決定権を有すると考えられてきた。また40代は子供の教育費の負担が多い時期でもあり、ファッションは後回しという状況も多く見られた。
さらに、最近富裕層として注目されている団塊の世代も、これまでの勤労者としての生き方から、自動車や不動産などの耐久消費財を除いては、派手な消費活動をするとは考えにくく、堅実に余生を過ごすものと思われる。
このような状況で、ちょいわるおやじは好景気の時期にオイシイ思いをして、その都市型の消費生活を変えることができずそのまま維持していると考えられ、金蔓として注目されている。
[編集] その他
フランスの30代以上向け男性ファッション雑誌『Monsieur』 2007年4月号では「21世紀のダンディは日本人」という特集を組み、日本の服飾ブランドや時計など日本製アクセサリーを紹介しつつ、その中でちょいわるおやじChoiwaru Oyajiを大きく扱っている。
また、このブームをきっかけとして、「ちょいワル○○」といった型式で、派生語が多数生まれた。その例が、「ちょいワルマタニティ」などである。また、番組名として、「ちょいワルゴルフ」というものも存在する。