いとしのレイラ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
『いとしのレイラ』(原題:Layla)はアメリカのバンド「デレク・アンド・ザ・ドミノス」のアルバム名およびタイトル曲である。シングルはビルボード誌で、1972年8月5日に週間ランキング最高位の第10位を獲得。ビルボード誌1972年年間ランキングでは第84位。
目次 |
[編集] 解説
ボーカルだったエリック・クラプトンが「クリーム」解散後の1970年、「デレク・アンド・ザ・ドミノス」で出したアルバム『いとしのレイラ(原題:Layla and Other Assorted Love Songs)』のタイトル曲でありロック史に残る名曲。
序盤の有名なギターリフから情熱的で激しい演奏からピアノを軸に穏やかな演奏の終盤という対照的な2つのパートで構成されている。
この曲は大親友であったビートルズのジョージ・ハリスンの妻パティに恋をしてしまい、その私的感情から生まれた曲。歌詞の内容も当時のクラプトンの悩み苦しんでいる気持ちが前面に押し出されている。
プロデューサーにはトム・ダウド、スライドギターでデュアン・オールマンも参加し個性を発揮。クラプトンとギターバトルのような演奏を繰り広げていたと言う。この頃からクラプトンのギタースタイル、音楽の方向性や私生活などでも変化が起きておりこの曲は一種のターニングポイントになっている。
意外にも、曲の収録されているアルバム『いとしのレイラ』自体は、発売当時評判が悪く英国のチャートも振るわなかった。しかしその後発売されたロングーバージョンで全英米で10位と大ヒットし、その後もチャートを振るわせた。
日本でも有名で近年では三菱自動車工業のCMソング(2002年1月~2004年1月まで)にもなった。いまだにクラプトンのライブでも演奏され、他にもアンプラグドバージョンなど様々なバージョンが存在する。
ちなみにタイトルにも掲げられているレイラとは、中東に古くから伝わる詩『ライラとマジュヌーン』で主人公に狂おしいまでに惚れられる美女ライラのことである。
[編集] 楽曲の構造
本稿では、オリジナル・バージョンの楽曲の構造について述べる。
前述したとおり、この曲は前半のギター・リフが印象的なヴォーカル・パートと後半のピアノ・イントロが印象的なインストゥルメンタル・パートの2部構成になっている。
なお、ピッチは一般的なA=440Hzよりかなり高く、A=約460Hzである。
イントロはキーDmで、2小節のコードパターンを繰り返し、その上に印象的な2小節のリフが乗る。 このリフは、チョーキング、ハンマリング・オン、プリング・オフといったフィンガリング・テクニックが使われており、レガートな奏法を得意とするクラプトンのエッセンスが凝縮されている。
Aメロに入ると半音下のC#m(E)に転調する。この半音下への転調パターンは非常にユニークである。 この8小節のパートでは、歌メロと同時進行するようなオブリガート・フレーズが常時鳴らされている。
サビでは、イントロと同様のコード進行・リフが使われている。
このAメロ・サビという進行を数回繰り返した後、デュアン・オールマンのソロ・パートへ続く。 このソロパートも、イントロと同様のコード進行である。 オールマンのソロは、スライドを使ったもので、29フレット相当の超ハイ・ポジションの音を使ったフレーズが聴かれる。
[編集] 収録作品
[編集] LP/CD
- いとしのレイラ - 1970年
- ベスト・オブ・エリック・クラプトン
- BEST OF
- アンプラクド~アコースティック・クラプトン
- ワン・モア・カー、ワン・モア・ライダー~ライヴ・イン・LA 2001
※『いとしのレイラ』はデレク・アンド・ザ・ドミノス名義。それ以外全てエリック・クラプトン名義のアルバム
[編集] VIDEO
- ライヴ・イン・ハイド・パーク
- アンプラグド~アコースティック・クラプトン
- クロスロード・コンサート
- ワン・モア・カー、ワン・モア・ライダー~ライヴ・イン・LA 2001
- DVDコレクション
※全てエリック・クラプトン名義のビデオ
[編集] 関連項目
- エリック・クラプトン
- ジョージ・ハリスン - ビートルズのメンバー。この曲のモデルとなったクラプトンの元妻パティの前の夫でありクラプトンの親友。
- スライドギター - この曲でデュアン・オールマンが使用した奏法。
- NANA - 登場人物の1人である芹澤レイラの名前は、この曲名にちなんだものというエピソードが紹介されている。
- 濱中治 - オリックス・バファローズの外野手。打席登場曲に使用。