いすゞ・ワスプ
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いすゞ・ワスプ(Isuzu Wasp)は、日本の自動車メーカー・いすゞ自動車が1963年から71年まで製造・販売した1トン積み小型トラックである。ワスプとは英語で蜂を意味し、White Anglo-Saxon Protestant(アングロサクソン系白人新教徒=WASP)の意味で命名された訳ではない。
[編集] 概要
ワスプは1963年6月17日に同時に発表された小型乗用車いすゞ・ベレットに似たキャビンを持ち、従来の2トン積みボンネット型トラックいすゞ・エルフィンの弟分として、マーケットリーダーであったダットサントラック、日野・ブリスカ等をライバルとした。エンジンはべレットの廉価モデルと同じ1325ccガソリン58馬力と、当時まだ珍しかった1764ccディーゼル50馬力であった。
ボンネット周りや一部メカニズムをべレットに似せたのは、べレットのスポーティイメージを利用しようというようなマーケティング的な考えからではなく、単なるコストダウンが目的で、セパレートシャシーや固定軸の後輪サスペンションなど、構造的にもべレットとは全く別物である。いすゞとしてはダットサンが独占していた小型トラック市場への参入を目指した意欲作であったが、ディーゼルエンジンもこのクラスでは騒音・振動・黒煙が敬遠され、それ以外の技術的特長があったわけでもなく、販売は伸びなかった。
1971年にいすゞ・フローリアンをべースにしたファスターとバトンタッチする。GMとの提携を背景に、ファスターになってからは対米輸出が俄かに活発化する。
[編集] 派生モデル
バン型も同時に登場し、こちらはいすゞ・ベレットエキスプレスバン(Isuzu Bellet Express Van)と呼ばれた。
ワスプもエキスプレスも現存車両は極めて少ないと思われ、べレット1600GTのエンジンやミッションを移植すれば面白いスペシャルモデルが作れそうであるが、そうした例も聞かれない。