Millennium (コンピュータ)
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Millennium(ミレニアム)は加Matrox社が1995年に発表したPC用ビデオカード、またその後継製品のシリーズ名である。本項ではMGA-Gシリーズより前のMillenniumシリーズ、および同製品の廉価版に相当するMystiqueシリーズ、ならびに同製品以前のUltimaシリーズとImpressionシリーズ、また関連製品について取り扱う。
millenniumはキリスト教の「千年王国」を、Mystiqueは「神秘」を、Ultimaは「究極」を、Impressionは「感銘」を、それぞれ意味する英単語である。
Mystique220まではNECやHPなどにもチップが提供され、同社の製品にもチップレベルで搭載されている。
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[編集] Millennium(MGA-2064SW)
MillenniumはビデオチップとしてMGA-2064SW(IS-STORM)を搭載するグラフィックスアクセラレータである。220MHzまたは175MHzのRAMDACを1基統合している。上下で独立した64bitのメモリバスを持ち、ビデオメモリとして64bitで接続されたWRAMを8MBまでサポートする。インターフェースはPCI。高速な描画性能と視認性の良い画質で人気を博した。
増設メモリモジュールの拡張スロットと専用キャプチャカードであるMedia XLおよびRainbow Runner用の拡張コネクタが設けられているとともに、Dsub15コネクタと並んでキャプチャカード用のビデオ入出力コネクタ(黒い26ピンのもの)が設けられているのが特徴である。
[編集] Millenniumシリーズ
- Millennium MGA-MIL/2I,MGA-MIL/4I (MGA-MIL/220-2,MGA-MIL/220-4)
- Millenniumシリーズの基本モデル。220MHzのRAMDACを搭載している。インターフェイスはPCI。メモリ容量はWRAMを2MBまたは4MB(オプションで8MBに増強可)。
- Millennium MGA-MIL/2B,MGA-MIL/4B (MGA-MIL/4)
- Millenniumシリーズの廉価版モデル。175MHzのRAMDACを搭載している。インターフェイスはPCI。メモリ容量はWRAMを2MBまたは4MB(オプションで8MBに増強可)。
- Millennium PowerDoc Edition
- Millenniumシリーズのハイエンドモデル。250MHzのRAMDACを搭載している。1600×1200ドット(24bitカラー)表示時であっても85Hzのリフレッシュレートを確保可能。インターフェイスはPCI。メモリ容量はWRAMを2MBまたは4MB(オプションで8MBに増強可)。
- Millennium for PCI Power Mac MGA-MIL/4MAC,MGA-MIL/8MAC
- MillenniumシリーズのPower Mac用モデル。220MHzのRAMDACを搭載している。インターフェイスはPCI。メモリ容量はWRAMを4MBまたは8MB(4MB版はオプションで8MBに増強可)。
[編集] 関連製品
- Millennium VRAM Add-on Module (MGA-MIL/MOD2,MGA-MIL/MOD4,MGA-MIL/MOD6)
- Millenniumシリーズ用の2MB,4MB,6MBの増設メモリモジュール。Millennium側の専用スロットに差し込んでビデオメモリを増設できる。
・2MBモジュールは2MB版の本体に追加して容量4MBとして使用
・4MBモジュールは4MB版の本体に追加して容量8MBとして使用
・6MBモジュールは2MB版の本体に追加して容量8MBとして使用
できるようになっている。
[編集] Mystique(MGA-1064SG)
Mystique(ミスティーク)はビデオチップとしてMGA-1064SGを搭載するグラフィックアクセラレータである。"Millennium"シリーズの下位に位置する廉価ブランドとなる。ビデオメモリとして64bitで接続されたSGRAMを4MBまでサポートする。インターフェースはPCI。同社製ビデオチップとして初めてRAMDACを統合しており、コンシューマ向けという位置づけから、廉価版ながら3D機能・動画再生機能はMillenniumより強化されている。
[編集] Mystiqueシリーズ
- Mystique MGA-MYST/2B,MGA-MYST/4B
- Mystiqueシリーズの基本モデル。170MHzのRAMDACを搭載している。インターフェイスはPCI。メモリ容量はSGRAMを2MBまたは4MB(オプションで4MBに増強可)。
[編集] 関連製品
- Mystique VRAM Add-on Module (MGA-MYST/MOD2)
- Mystiqueシリーズ用の2MBの増設メモリモジュール。Mystique側の専用スロットに差し込んでビデオメモリを増設できる。
・2MB版の本体に追加して容量4MBとして使用できる
・4MB版の本体には追加できない
となっている。
[編集] Millennium II(MGA-2164W)
Millennium IIはビデオチップとしてMGA-2164Wを搭載するグラフィックアクセラレータである。"Millennium"の後継製品に当たる。ビデオメモリとして64bitで接続されたWRAMを16MBまでサポートする。インターフェースはAGP 1xまたはPCI。
[編集] Millennium IIシリーズ
- Millennium II MIL2P/4,MIL2P/8 (Millennium 2 4MB PCI,Millennium 2 8MB PCI)
- Millennium IIシリーズの基本モデル。250MHzのRAMDACを搭載している。インターフェイスはPCI。メモリ容量はWRAMを4MBまたは8MB(オプションで16MBに増強可)。
- Millennium II MIL2A/8F (Millennium 2 8MB AGP)
- Millenniumシリーズ初のAGPモデル。250MHzのRAMDACを搭載している。インターフェイスはAGP 1x。メモリ容量はWRAMを8MB(オプションで16MBに増強可)。基板の形が階段状の切り欠き形になっており、Rainbow Runner用の拡張コネクタやビデオコネクタは省略されている。
- Millennium II for Mac MIL2P/4MAC,MIL2P/8MAC
- Millennium IIシリーズのMac用モデル。250MHzのRAMDACを搭載している。インターフェイスはPCI。メモリ容量はWRAMを4MBまたは8MB(オプションで16MBに増強可)。
[編集] 関連製品
- Millennium II VRAM Add-on Module (MIL2/MOD4,MIL2/MOD8,MIL2/MOD12)
- Millennium IIシリーズ用の4MB,8MB,12MBの増設メモリモジュール。Millennium II側の専用スロットに差し込んでビデオメモリを増設できる。
・4MB,8MBモジュールは4MB版または8MB版の本体に追加して容量8MBor12MBor16MBとして使用
・12MBモジュールは4MB版の本体に追加して容量16MBとして使用
できるようになっている。
[編集] Mystique 220(MGA-1164SG)
Mystique 220(ミスティーク220)はビデオチップとしてMGA-1164SGを搭載するグラフィックアクセラレータである。"Mystique"の後継製品に当たり、"Millennium II"シリーズの下位に位置する廉価ブランドとなる。ビデオメモリとして64bitで接続されたSGRAMを8MBまでサポートする。インターフェースはPCI。
[編集] Mystique 220シリーズ
- Mystique 220 MY220P/2,MY220P/4 (Mystique 220 Hobby 2MB,Mystique 220 Hobby 4MB)
- Millenniumシリーズの基本モデル。220MHzのRAMDACを搭載している。インターフェイスはPCI。メモリ容量はSGRAMを2MBまたは4MB(オプションで8MBに増強可)。
- Mystique 220 MY220P/BIZ2,MY220P/BIZ4 (Mystique 220 Business 2MB,Mystique 220 Business 4MB)
- Millenniumシリーズのビジネス用モデル。バンドルソフトがビジネス用に変更されている以外は基本モデルと同じ。
[編集] 関連製品
- Mystique 220 VRAM Add-on Module (MYST/MOD2,MYST/MOD4,MYST/MOD6)
- Mystique 220シリーズ用の2MB,4MB,6MBの増設メモリモジュール。Mystique 220側の専用スロットに差し込んでビデオメモリを増設できる。
・2MBモジュールは2MB版の本体に追加して容量4MBとして使用
・4MBモジュールは4MB版の本体に追加して容量8MBとして使用
・6MBモジュールは2MB版の本体に追加して容量8MBとして使用
できるようになっている。
[編集] 関連製品
- m3D
- Millenniumシリーズの3D能力を補う目的で発売されたPowerVR X2チップを搭載する3Dアクセラレータカード。m3D自体は表示機能を持たず、表示機能を持つ他のビデオカードと併用する形態である。インターフェースはPCI。フレームバッファとしてのメモリ容量はSDRAMを4MB。
- Media XL,Media XL-MPEG
- Millenniumシリーズ専用のハードウェアビデオキャプチャオプションカード。Media XL-MPEGはMPEGエンコーダおよびハードウェアMPEG再生にも対応している。すぐに後継のRainbow Runnerにその座を譲った。
- Media TV
- Media XL,Media XL-MPEG専用のTVチューナーカード。インターフェイスはISA。Media XLとはケーブルで接続して使用する。
- Rainbow Runner Studio
- Mystiqueシリーズのリリースにあわせて登場したMillenniumシリーズおよびMystiqueシリーズ専用のハードウェアビデオキャプチャオプションカード。Media XLの後継機種。増設メモリモジュールのように本体のコネクタに上から差し込んで1スロットとして使用する(市販のキャプチャカードのような形になる)。
- Rainbow Runner TV
- Rainbow Runner専用のTVチューナーカード。インターフェイスはISA。Rainbow Runner Studioとはケーブルで接続して使用する(GPU本体をRainbow Runnerのキャプチャ部とチューナ部が挟み込むような形になる)。
[編集] 仕様表
チップ名 | インターフェース | 搭載メモリ | メモリバス | 最大容量 | 出力 | 代表製品 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
MGA-2064SW | PCI | WRAM | 64bit | 8MB | アナログ×1 | Millennium | |
MGA-1064SG | PCI | SGRAM | 64bit | 4MB | アナログ×1 | Mystique | |
MGA-2164W | AGP 1x or PCI | WRAM | 64bit | 16MB | アナログ×1 | Millennium II | |
MGA-1164SG | PCI | SGRAM | 64bit | 8MB | アナログ×1 | Mystique 220 | |
MGA-I | PCI or ISA or VESA | SGRAM | 64bit | 4MB | アナログ×1 | Ultima | |
MGA-II | PCI | SGRAM | 64bit | 4MB | アナログ×1 | Impression |
[編集] 以降のMillenniumシリーズ
- Millennium G200
- Millennium G400
- Millennium G450
- Millennium G550
- Millennium P650
- Millennium P750
- Millennium P690
[編集] Ultima(MGA-I)
UltimaはビデオチップとしてMGA-I(IS-ATLAS)を搭載するグラフィックスアクセラレータである。175MHzまたは200MHzのRAMDACを1基統合している。64bitのメモリバスを持ち、ビデオメモリとして64bitで接続されたSGRAMを4MBまでサポートする。インターフェースはISAまたはPCIもしくはVESA。
Windoiws3.1時代のチップで、後のMilleniumシリーズに続く記念すべきチップ。ハイエンド向けで当時最速だったS3 86C928を凌ぐほどの高性能で、当時の世界最速の称号を手にした。なお3D性能も一応持っているものの独自仕様で、Direct3Dなどには非対応である。
[編集] Ultimaシリーズ
- Ultima (MGA-ULT/2/A,MGA-PCI/2, MGA-VLB/2)
- Ultimaシリーズの基本モデル。175MHzのRAMDACを搭載している。インターフェイスはISAまたはPCIもしくはVESA。メモリ容量はSGRAMを2MB。
- Ultima Plus (MGA-PCI/2+, MGA-VLB/2+,MGA-PCI/4, MGA-VLB/4)
- Ultimaシリーズのハイエンドモデル。175MHzのRAMDACを搭載している。インターフェイスはPCIまたはVESA。メモリ容量はSGRAMを2MBまたは4MB。
- Ultima Plus 200 (MGA-PCI/4/200, MGA-VLB/4/200)
- Ultimaシリーズの最上位モデル。200MHzのRAMDACを搭載している。インターフェイスはPCIまたはVESA。メモリ容量はSGRAMを4MB。
[編集] Impression(MGA-II)
ImpressionはビデオチップとしてMGA-II(IS-ATHENAまたはIS-HELENA)を搭載するグラフィックスアクセラレータである。175MHzまたは220MHzのRAMDACを1基統合している。64bitのメモリバスを持ち、ビデオメモリとして64bitで接続されたSGRAMを4MBまでサポートする。インターフェースはPCI。
MGA-Iから3D機能を省いたハイエンドモデルであり、業務向けカードに搭載された。
この製品から増設メモリモジュールの拡張スロットが設けられているのが特徴である。
[編集] Impressionシリーズ
- Impression Lite (MGA-IMP/LTE)
- Impressionシリーズの基本モデル。チップはIS-HELENA。175MHzのRAMDACを搭載している。インターフェイスはPCI。メモリ容量はSGRAMを2MB(オプションでの増強不可)。
- Impression Plus (MGA-IMP+/P)
- Impressionシリーズのハイエンドモデル。チップはIS-ATHENA。175MHzのRAMDACを搭載している。インターフェイスはPCI。メモリ容量はSGRAMを2MB(オプションで4MBに増強可)。
- Impression Plus 220 (MGA-IMP+/P/220)
- Impressionシリーズの最上位モデル。チップはIS-ATHENA。220MHzのRAMDACを搭載している。1600×1200ドット(24bitカラー)表示時であっても85Hzのリフレッシュレートを確保可能。インターフェイスはPCI。メモリ容量はSGRAMを2MB(オプションで4MBに増強可)。
[編集] 関連製品
- Impression VRAM Add-on Module (MGA-MOD/2MB/1)
- Impressionシリーズ用の2MBの増設メモリモジュール。Impression側の専用スロットに差し込んでビデオメモリを増設できる。
・Impression Plusは2MBモジュールを2MB版の本体に追加して容量4MBとして使用可
・Impression Liteは増強不可
となっている。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- Matrox
- Shopmatrox.com - Matroxによる直販サイト(欧米以外はサプライ品類のみ販売)
- ジャパンマテリアル株式会社 - ビデオカードなどの日本代理店(旧インフォマジック)
- 株式会社シネックス - ビデオカードなどの日本代理店(現在は撤退?)