PowerVR
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PowerVR(パワーブイアール)は、イギリスのビデオロジック社(現・イマジネーションテクノロジーズ社の傘下)が開発した、グラフィックチップの名称である。同社はファブレスの企業であり、チップ製造はNECやSTマイクロエレクトロニクス[1]等が行ってきた。パソコン用ビデオカードのほか、家庭用ゲーム機およびアーケードゲーム基板、携帯電話、携帯情報端末 (PDA)、カーナビゲーションといった組み込みシステムまで広く搭載されている。
当初は2D描画機能を持たない代わりに3D描画に特化し、画面を小さく分割した「タイル」を基本単位とするタイリングにより、一度に扱うデータ量を抑え、搭載VRAMが少量で済むようにしていた。しかし、現在のラインアップではH.264やMPEG-2、MPEG-4など、2D動画のエンコードおよびデコード機能も有するものとなっている。
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[編集] ラインナップ
- PowerVR シリーズ1 (PCX1, μPD62010およびPCX2, μPD62011)
- 1996年、秒間30万ポリゴンのPCX1発表。1997年、性能が秒間45万ポリゴンに向上したPCX2発表。これらは3D演算機能と4MBの専用RAMのみ搭載したPCIバスのボードで、表示には別途ビデオカードが必要となる。ビデオキャプチャボードのオーバーレイ機能と同様に、ビデオカードのVRAMに直接表示データを書き込む。グラフィックライブラリはDirect3Dのほか、オリジナルのSGL (Super Graphics Linrary) が利用できる。
- PowerVR シリーズ2 (PowerVR2)
- 1998年2月23日発表。2D表示機能を搭載し、名目上のビデオカードとなった。ドリームキャストに搭載されているほか、PC用のAGPカードも存在したが、日本ではほとんど普及しなかった。
- PowerVR シリーズ3
- 2000年、KYRO発表。KYRO IIは2001年発表。KYROのバグフィックスとクロックアップ。
- PowerVR シリーズ4
- PowerVR シリーズ5
- PowerVR VXD370
- HD(ハイディフィニション) 品質のデコードなどに向けたIPコア。
- PowerVR M2VXファミリー
- SD(標準精細度)品質のデコードなどに向けたIPコア。
- PowerVR MVED1
- モバイル機器に向けたIPコア。
[編集] 搭載製品
[編集] ビデオカード
- 日本電気ホームエレクトロニクス PC 3DEngineおよびPC 3DEngine2 - PowerVR搭載の3Dビデオカード。
- Matrox m3D 4MB PCI - PowerVR搭載、3D専用ビデオカード。
- メルコ TGP-VR4 - PowerVR搭載、3D専用ビデオカード。
- アイ・オー・データ機器 GA-PVR3D4/PCI - PowerVR搭載、3D専用ビデオカード。
- アイ・オー・データ機器 IF-SEGA2/PCI - セガサターン周辺機器用インターフェイスボード(ISAブリッジとして利用)。
- PowerColor EVIL KYRO 32MB AGP - PowerVR3 KYRO搭載ビデオカード。
[編集] 家庭用ゲーム機およびアーケードゲーム機
[編集] 携帯電話
- 富士通 FOMA F902i、F901i、F702iD、F902iS
- 三菱電機 FOMA D702i、D901i、D901iS、D902i、D902iS、MUSIC PORTER X
- 日本電気 FOMA N902i、N902iS、N902iX HIGH-SPEED
- パナソニック モバイルコミュニケーションズ FOMA P702iS、P902i、P902iS
- シャープ SH702iD、SH702iS、SH902i、SH902iS、DOLCE SL
- ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ P990、M600、W950、FOMA SO902iWP+、M600i
- モトローラ MS550
- SKテレテック IM-8300
- Pepperpad
- Helio Hero
[編集] PDA
[編集] カーナビゲーション
[編集] 脚注
- ^ パソコン用グラフィックチップからは撤退 http://us.st.com/stonline/press/news/year2002/c1146h.htm