狩勝峠
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狩勝峠(かりかちとうげ)とは、北海道空知郡南富良野町と上川郡新得町の間にある鉄道(国鉄根室本線)旧線または道路(国道38号)の峠である。道路の峠の標高は644m。
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[編集] 峠名の由来
旭川から釧路へ至る鉄道(現在の根室本線)の20日間にわたるルート踏査を行った北海道官設鉄道の鉄道敷設部長田辺朔郎が、日高山脈を鉄道が越えるのに最適なルート(旧狩勝トンネルルート)を見いだした際、旧石狩国・旧十勝国から一文字ずつ取って命名した。その際、田辺は次のように詠んでいる。
「見おろせば 十勝くにはらはてもなし 野火かあらぬか煙たてるは」
[編集] 鉄道
かつての国鉄根室本線落合駅~新内駅間にあたり、峠(標高664m)の直下は狩勝トンネル(標高534m・延長954m)で結ばれていた。旧線のルートは後に建設された国道38号とほぼ同じである。トンネルを十勝側に抜けると眼下に雄大な十勝平野が一望できることから「日本三大車窓」の一つとされていた。なお、根室本線は1966年(昭和41年)9月に、勾配を緩和した新狩勝トンネルを経由する新線に切り替えられたために、現在は峠から南へ約4kmほど離れた場所を通っている。
狩勝峠越えの旧線の一部(新内駅-新得駅間)は、その後、1979年(昭和54年)頃まで、脱線事故や車両火災事故などの実験線(通称:狩勝実験線)として使用されていた。
新得山スキー場脇のSL広場から旧新内駅を経て旧狩勝トンネルまで約17キロメートルは、旧狩勝線フットパスとして2005年に整備され、ウォーキングを楽しむことができる。沿道には、小笹川橋梁、新内駅跡、トンネルなど、旧根室本線の遺構が点在する。
[編集] 道路
国道38号の途中にある。日本新八景の一つ。1931年開削、1934年「一般国道札幌根室線」に昇格、1952年に国道38号に指定。 国道274号石勝樹海ロードの夕張市~日高町の区間が1991年に全通してからは、一般に札幌市を中心とする札幌都市圏と十勝・釧路方面とを結ぶ自動車輸送には、最短距離となる日勝峠(1965年開通)が用いられることが多いが、山道の険しさやそれに伴う事故の多さから、特に冬季にはこの狩勝峠を通るルートを選択されることが間々ある。日勝峠も参照のこと。
また、これより南側の、現在の道道夕張新得線予定ルート付近には、1898年から1899年にかけて開削された「石狩道路」があり、1920年には地方費道に昇格もしているが、鉄道の開通以降は廃道同然となって現在に至る。通称「旧狩勝峠」または「旧国道」と呼ばれている。なお、2007年にはこのルート付近を通る北海道横断自動車道(道東自動車道)が開通している。