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渡し船 - Wikipedia

渡し船

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

渡船に乗船する人々天保山渡船 築港のりば にて
渡船に乗船する人々
天保山渡船 築港のりば にて

渡し船(わたしぶね)とは、港湾河川湖沼などで両岸を往復して客や荷物を運ぶ及び航路のことである。渡船(とせん)とも言う。

広義の「渡し船」には、離島との航路などや、釣り客を沖の独立した防波堤や岩礁へ運ぶ渡船業も含まれるため、使用する船の種類は特に決まっていないが、観光用などで一般に知られるものは小型船が主に用いられることが多い。本稿では狭義の「渡し船」について述べる。なお、渡し舟の中には川の向かいや島に立地する旅館やゴルフ場などに、宿泊客や利用客を輸送するためのものもあるが、本項では誰でも利用できるものだけを述べる。

目次

[編集] 概要

架橋技術が未発達な時代にはこれをよく使用していたが、架橋技術や隧道等土木技術が発達したことにより徐々に廃止され、21世紀初頭の日本では観光用ないしは、港湾・河川等においての船舶交通量が多いため、架橋により通過する船舶の交通量を確保できない場合や遠方の離島との間など架橋が困難ないしは、架橋するだけ交通量が確保できない、橋があっても高架に過ぎて歩行者・自転車の通行が困難な事例など特別な事情がある場合に限られている。

[編集] 日本の例

[編集] 現在も運航されている渡船

矢切の渡し(2005年撮影)
矢切の渡し(2005年撮影)
天保山渡船 - 築港乗り場にて
天保山渡船 - 築港乗り場にて
鳴門市営渡船
鳴門市営渡船
高知県営渡船 - 浦戸湾にて
高知県営渡船 - 浦戸湾にて
瀬戸石駅駅前の渡船
瀬戸石駅駅前の渡船
石狩川左岸の美唄市中村地区と浦臼町晩生内地区を結ぶ。美唄市と浦臼町の共同運営。人のみ乗船可能。無料。
2005年10月10日に一旦廃止されたが、その後北海道の開拓遺産として観光用に復活。乗船名簿に記入の上ライフジャケットを着用するなど、生活色は無くなっているが、北海道で最後の渡船として貴重。6月から9月にかけての土日・祝日を中心に1日3回運航。確実に利用するためには予め管理人の携帯電話に予約電話を入れる必要がある。
※参考:美浦渡船 - 浦臼町公式サイト
利根川右岸(千葉県我孫子市と地続きの側)にある飛地の小堀(おおほり)地区と左岸(市中心部側)を結ぶ。取手市営。以前は無料であったが、現在は小堀地区住民と条例に定める利用者は無料、その他は片道100円。
※参考:小堀の渡し - 取手市公式サイト
利根川右岸にある伊勢崎市の飛地と左岸(伊勢崎市の旧境町中心部側)を結ぶ。群馬県営(伊勢崎市に運航を委託)。人のみ乗船可能。無料。
川舟タイプの船を使用。
利根川右岸にある熊谷市の葛和田と左岸の千代田町赤岩を結ぶ。群馬県営(千代田町に運航を委託)。自転車やバイクも乗船可能。無料。
主要地方道埼玉県道・群馬県道83号熊谷館林線に指定されている。
※参考:赤岩渡船 - 千代田町公式サイト
利根川左岸にある香取市の富田新田地区と左岸の旧小見川町中心部側を結ぶ。地元渡船組合の運営。自転車やバイクも乗船可能。有料。
江戸川左岸の松戸市矢切(やきり、やぎり)地区と右岸の東京都葛飾区柴又を結ぶ。民営(個人運営)。有料(大人100円、子供50円)。
かつて江戸幕府が江戸川の渡しとして指定し、農民の管理により運営されていた航路うち最後の一つ。現在も先祖代々船頭だった個人が運営。
※参考:矢切の渡し - 松戸市観光協会
多摩川に架かる京王電鉄相模原線の鉄橋沿いに運航される。民営(貸しボート店による運営)。有料。
競輪場の対岸にある駐車場に駐車した競輪場来場者を主な対象としているが、一般客の利用も可能。京王閣競輪場競輪が開催される日のみ運航。
浦賀港の半ばを結ぶ。横須賀市営(民間に運航を委託)。有料。
※参考:浦賀の渡船 - 横須賀市公式サイト
黒部ダムの完成により黒部湖によって分断された登山道を連絡するために開設。関西電力が運営(平ノ小屋(山小屋)に運航を委託)。無料。
1日4往復運航。
富山新港建設のため分断された両岸を結ぶ。富山県営。無料。
2004年から深夜時間帯および荒天時などは無料の代行タクシーを運行。富山地方鉄道射水線の項目も参照のこと。
※参考:富山県富山新港管理局>各施設の概要>渡船 - 富山県公式サイト
小矢部川を渡る。伏木港湾交通が運営。有料。
江尻・清水港から三保湾を渡り三保半島・塚間を結ぶ。
井川湖上で、井川駅と集落を結ぶ。静岡市営。無料。
1日4往復運航。
※参考:渡船「赤石丸」のご案内 - 静岡市公式サイト
豊川の両岸を結ぶ。豊橋市営。無料。
豊橋市道大村町・牛川町175号線に含まれる。航路の起源は不明だが、平安時代から運航されていたという。
※参考:牛川の渡船 - 豊橋市公式サイト
木曽川を渡る。愛知県営。無料。
愛知県営道路渡船(愛知県道119号)。後述の森下渡船のすぐ隣にある。
長良川を渡る。岐阜県営。無料。
岐阜県営道路渡船(岐阜県道119号)。前述の葛木渡船のすぐ隣にある。後述の日原渡船(長良川側)と船を共用しているため、2日前までの完全予約制となっている。
  • 日原渡船(塩田の渡し)(愛知県愛西市~岐阜県海津市)
木曽川及び長良川を渡る。航路は前述の葛木渡船・森下渡船と同様に、並行して流れる両河川に分かれているが、こちらの場合は同じ名称である(但し、木曽川側には「塩田渡船」の別名がある)。愛知県営(木曽川)、岐阜県営(長良川)。無料。
木曽川側は愛知県営道路渡船、長良川側は岐阜県営渡船(愛知県道120号・岐阜県道117号)。長良川側の渡船は前述の森下渡船と船を共用しているため、2日前までの完全予約制となっている。
木曽川を渡る。愛知県営。無料。
愛知県営道路渡船(愛知県道135号)。
長良川を渡る。岐阜県営(岐阜市に運航を委託)。無料。
道路渡船(岐阜県道173号)。
※参考:「観る・ふれる」小紅の渡し - 岐阜市公式サイト
天保山渡船など、おもに大正区域の大阪港や河口付近に8航路。大阪市営。無料。
一自治体としては最多の航路を持つ。
※参考:大阪 渡船場マップ - 大阪市公式サイト
大橋川を渡る。地元渡船組合の運営。自転車も乗船可能。有料。
観光船も兼ねており、観光船として運航されている時間帯は渡船としては利用できない。
尾道市街と、尾道水道で隔てられた向島を結ぶ5航路。民営(それぞれの航路を別の民間企業が運営)。自転車も乗船可能。一部は自動車も積載できる。有料。
※参考:尾道水道フェリーマップ - 尾道市港湾振興課
  • 音戸渡船(広島県呉市
本州倉橋島を隔てる音戸の瀬戸を渡る。民営。自転車やバイクも乗船可能(別料金)。有料。
松本川河口付近を渡る。萩市営。自転車も乗船可能。無料。
道路渡船。人力で運航されている。
徳島県営(松茂町に運営を委託)。無料。
船は松茂町側に駐在し、6時30分から18時30まで運航。途中に8回設定された休航時間以外は随時運航する。徳島市側から利用の際は、用意されている旗を振るなどして対岸に合図する。
  • 岡崎渡船黒崎渡船島田渡船(徳島県鳴門市
小鳴門海峡を渡る3航路。鳴門市営だが「(有)小鳴門渡船」「(有)島田渡船」に運航を委託。無料。
2003年までは市の直営だった。
※参考:渡船 - 鳴門市公式サイト
三津浜港の湾口を横断する三津浜~港山間の80mを運航。松山市営。自転車も乗船可能。無料。
昔ながらの小型動力船。映画「がんばっていきまっしょい」にも登場した。
※参考:ロケMAP 松山市営渡船 - 映画「がんばっていきまっしょい」公式サイト
浦戸湾口近くの梶ヶ浦~種崎を結ぶ。高知県営(民間に運航を委託)。自転車やバイク(125cc以下)も乗船可能。無料。
県道278号の一部である関係から県営となっているが、2004年から民間に運航を委託。2002年までは自動車も航送可能だった。
※参考:県営渡船のご案内 - 高知県高知土木事務所
洞海湾沿岸の戸畑区若松区を、若戸大橋に並行して結ぶ。北九州市営。自転車も乗船可能。有料。
なお、北九州市には「小倉渡船」もあるが、これは離島航路であり本項で扱う狭義の渡船にはあたらない。
※参考:渡船事業所 - 北九州市公式サイト
九州本島とは陸続きの志賀島や西戸崎を結ぶ。福岡市営。有料。
高速船タイプの船舶を利用しており、航行距離も長く、渡船を名乗ってはいるが他の渡船とは異質である。
福岡市営渡船には他に姪浜~能古島・小呂島航路や博多~玄海島があるが、これらは離島航路であり本項で扱う狭義の渡船にはあたらない。
※参考:福岡市営渡船 - 博多港公式サイト
球磨川沿いに走る肥薩線瀬戸石駅(八代市側)と対岸の集落を結ぶ。民営。有料。
渡船の名称は特にない。瀬戸石駅の対岸には国道219号が通っているため、現在この渡船を利用するのは通学のため駅を利用する学生くらいであり、球磨川最後の渡船として貴重である。手漕ぎの川舟を使用している。この付近の肥薩線の駅は橋のない対岸に駅があることが多く、かつては多くの駅前に渡船があった。

[編集] 廃止・休止された渡船

国道336号の渡船。国道で最後の渡し船(海上国道区間を除く)であったが、1992年に廃止。
防衛上の理由から架橋が制限されていたため多くの航路が就航し、最盛期の明治時代初期には20航路以上が就航していた。1966年に廃止された「汐入の渡し」をもって、隅田川から渡し船は消滅。
銚子大橋の下の利根川両岸を結んでいたが1996年1月末で休航。
利根川の両岸を結んでいた、主に通学用の渡船。2007年3月末で廃止。
淀川の両岸を結んでいた渡船。江戸時代以前には橋(山崎橋)が架橋されていた。谷崎潤一郎の小説『葦刈』にもこの渡船が描写されている。1962年に廃止。
山陰本線玄武洞駅から円山川の対岸の玄武洞までの観光客の足として、有料で運航されていたが、1999年12月で廃止。
境港市相生町岸壁と松江市美保関町宇井岸壁間の境水道両岸を結ぶ。1時間1-3本程度。有料。自転車積載可能。
2007年3月末で休航となっているが事実上の廃止。
※参考:境水道渡船 - 境港市観光協会
四万十川河口付近にて運行された。有料(大人100円)。
定員13人、1日5回の運行で、下田から初崎までを結んだ。2005年に廃止され、これをもって四万十川の渡しは全て消失した。
筑後川中流域にて運行された旧城島町下田地区と同町芦塚地区とを結んだ。架橋の完成とともに1994年に廃止。これをもって筑後川の渡しは全て消失した。
※参考:記念碑の画像 - 公住紀行(個人サイト)

[編集] 関連項目


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