淋菌
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淋菌(りんきん、Neisseria gonorrhoeae)はナイセリア属のグラム陰性双球菌である。ナイセリア属に入る菌は全部で11種類あり、その内病原性を有するのは、この淋菌と髄膜炎菌である。淋菌は淋病の原因となる。 その他の9種類のナイセリア菌は全て口腔内に存在する常在菌(日本人の5~10%に常在)である。粘膜から離れると数時間で感染性を失う[1]。日光、乾燥や温度の変化、消毒剤で簡単に死滅するので、分離培養が必要な場合には検体の取り扱いに注意を要する[1]。
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[編集] 特徴
淋菌の大きさは0.6μm~1.0μmで線毛のある型と線毛のない型に分けられる。線毛は電子顕微鏡で確認できるが、光学顕微鏡では確認できないほど極細の構造である。生きている淋菌は、この線毛を活発に動かし粘膜上皮に付着、粘膜下に浸入するものと思われる。患者から採取した淋菌を血液寒天培地で培養すると、この線毛は消失する。病原性にはこの線毛が重要な鍵を握っていると考えられる。
[編集] 疫学
淋菌は人とチンパンジーだけに感染する。白人は蒙古人(日本人も含む)よりも淋菌に対して感受性が高く、B血液型と関係するといわれている。
近年、淋菌の抗生剤耐性菌が増え、新しい抗生剤や抗菌剤に対しても短期間に耐性を獲得する。その理由として、首都圏でのオーラルセックスを主体とした風俗サービス(ファッションマッサージ・ピンサロ・キャバレーなど)が原因である。
無害のほとんどのナイセリア菌は口腔内・咽頭内で常在菌として存在している。これらナイセリア菌は、宿主の人が気管支炎や風邪などの感染症に罹患する毎に、医師から処方される抗生剤の被曝チャンスを頻回に受ける。その結果、様々な抗生剤に対して耐性を獲得する。オーラルセックスで浸入した淋菌は、親戚である口腔内のナイセリア菌と遺伝子組み換え(交差現象)を行い、容易に抗生剤耐性を獲得すると考えられる。現在レボフロキサシンに対しては高度耐性を獲得している。
クラミジアとの重複感染もまれではなく、留意を要する。
[編集] 写真説明
この写真は、淋菌性尿道炎の男性患者から膿を採取して、位相差顕微鏡で観察・撮影したものである。黒い細かいゴマのような粒は全て淋菌である。輪郭が白く光っているのは淋菌を食べている白血球の姿である。
[編集] 関連
[編集] 脚注
- ^ a b 2002年第22週号 感染症の話-淋菌感染症国立感染症研究所 感染症情報センター