信号雷管
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信号雷管(しんごうらいかん)は、鉄道において、火薬を用いて大きな音を発生し、列車の乗務員に警告を発するために用いられる道具である。イギリス英語ではdetonator、アメリカ英語ではtorpedoと呼ばれる。
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[編集] 概要
信号雷管は硬貨ほどのサイズで中に火薬が入っており、両側にストラップが付いている。レールの上に設置して、落ちないようにストラップでレールに巻きつけて固定する。列車の最初の車輪が信号雷管を踏み潰すと、爆発して大きな音を立てるようになっている。一種の癇癪玉である。
信号雷管を使用する局面は以下のようなものがある。
- 信号機が霧などにより見えづらい場合に、注意信号や停止信号の代わりとして警告のために利用する。
- 事故や災害で路線上で列車が停車した場合に、そのことを他の列車に知らせるために停車している列車の乗務員が使用する。
- 前方で保線作業が行われていることを知らせる。
- 信号扱手やその他の鉄道係員が緊急に列車を停止させる必要がある場合に使用する。
高速鉄道線では、信号雷管を両方のレールに設置しなければならない場合もある。
日本では、基本的に上記の2.と4.の事例で用いられ、その場合約30m離して2個設置することになっている。2個設置するのは、運転士が爆音を聞き逃すことを可能性を減らすためである。運転士は爆発音を聞くと非常ブレーキを掛けることになっている。また信号炎管と併用する例が多い。
信号雷管は火薬を使用しており期間が経つと不安定となるため、使用しなくても定期的に交換を必要とする。常に使用できるように列車乗務員や保線係員に配布しなければならない一方で、火薬であることから保管に注意を必要とし、使用されずに使用期限を迎えたものについてはきちんと回収して適切に廃棄処分する必要がある。こうした管理に多大な手間が掛かることが信号雷管の欠点である。このため、列車防護無線装置や自動信号である区間については軌道短絡器と置き換えられて、近年はあまり使用されなくなった。
[編集] 信号雷管設置機
イギリスでは、かつて多くの信号扱所に信号雷管設置機が備えられていた。信号扱所の中にあるてこを操作すると、自動的に本線のレール上に信号雷管が設置されるようになっていた。てこは白と黒の山形記号が塗装されており、山形記号が上りの線路用のてこには上向きに、下りの線路用のてこには下向きに描かれていた。カートリッジに入れられた信号雷管の供給を受けて動作するような仕組みになっていたものもある。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- 信号雷管の使用状況の写真 (英語)