ランボルギーニ・イオタ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ランボルギーニ・イオタ'(Lamborghini Jota)は、ボブズ・トイと呼ばれるボブ・ウォレスが作成したレーシングカーの1台。1969年末に社内の人々の協力を得、ミウラをベースにFIAのアペンディックスJ項(車両規定項目)のプロトタイプ・クラス車両規則に準じて作成された。当初、このアペンディックスJ項にちなんでJと名づけられたが、ベース車両の名前「ミウラ」はランボルギーニ初のペットネームで、スペインに起因するためJもスペイン語読みで「イオタ」と呼ばれるようになった。
シャシーからミウラとは別に用意され、フロントとリアのサブフレーム形状も異なっている。材質はスチール製だが所々に軽合金を使用し、軽量化が図られている。このシャシーとボディーパネルはリベットで接合され、外観上のポイントにもなっている。また、トレッドも広げられ、フロント9インチ、リア12インチ幅のカンパニョーロ製ホイールを装着、ブレーキもベンチレーテッド・タイプのディスクとされた。
ボディーはヘッドランプがポップアップ式からプレクシグラス(アクリル樹脂の商標)で覆われた固定式に変更。フロントのグリル面積の拡大とその両側にチンスポイラーの追加。フューエル・フィラー・キャップもフロントフェンダーに露出する形に変更されるなど、外観上も変更が加えられている。 スペアタイヤや実用性のないトランクも、全て当時の競技車両規定を満たすためのもの。
エンジン・トランスミッションはベースとなるミウラと同じく横置のジアコーザで排気量も3,929ccのままドライサンプ化。 圧縮比を上げ、キャブレターを変更することにより440HP/8500r.p.mの最高出力に高められ 900KGの車両重量と相まって300km/hの最高速を出せるとされた。
しかし、当時のランボルギーニ社の財政事情により、イオタはシャシーNo.5084を与えられ、ジャリーノ・ジュリーニと言う人物に売却されてしまう。それから約1年半後、ジェリーノから数えて3人目のオーナーがステアリングを握る前にメンテナンスに出していたディラーのメカニックが、オーナーの許可を得ずにミラノ東部にある開通前のブレシア高速道路で走行中にロールオーバークラッシュをしてしまい、ガソリンが引火して炎上してしまう。幸いにも乗車していた人物は1ヶ月程入院する程度だったが、イオタは修理不能な程のダメージを負ってしまい、 後に残った残骸はランボルギーニ社が回収してエンジン等の再生可能パーツを取り外して別の固体に載せ変えたと言う。
余談だが、イオタに搭載されていたエンジン、No.4878は現在アメリカの個人オーナーが愛車のミウラに搭載している。
[編集] イオタレプリカ
実車の販売に先立つこと約1年、ランボルギーニによりミウラを元にした数台のレプリカが作成され、それはSVJの名で生産証明が発行された。「jota」のスクリプト(バッジ)は全て後年オーナーが独自に取り付けたもの。
また、1974年にはミウラSをベースに1台のレプリカが作成されている。この1台は当時の最新ロープロファイルタイヤ「ピレリP7」装備のため後輪用にノーマルと同じパターンのディープリムホイールがカンパニョーロ「現テクノマグネシオ社」によって作られ、それに合わせてリアフェンダーがかなり拡げられている。西ドイツ在住のオーナーは納車後に自分の経営するカーディーラーでレカロ社のシート、AUTOFLUGのシートベルト、ブラウプンクトのオーディオ、BBSのホイール、リアウイングを取り付けた。この車はSVRと呼ばれ、一人のオーナーを経て当時30万米ドルで日本人に売却された。
このように、現在存在するイオタは全てレプリカということになる。先述のランボルギーニ純正のレプリカ以外にも、オーナーによりイオタ化されたミウラも多数存在する。ちなみに、イタリアで作成されたシャシーナンバー#3033のミウラは、各部を可能な限りオリジナルのイオタに近い状態に改造されており、クローン・イオタと呼ばれている。
[編集] 関連項目
ランボルギーニ S.p.A. ロードカータイムライン 1962- | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
タイプ | 1960年代 | 1970年代 | 1980年代 | 1990年代 | 2000年代 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | ||
MR | V12 | 設 立 前 |
ミウラ | カウンタック | ディアブロ | ムルシエラゴ | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
V8/V10 | シルエット | ジャルパ | ガヤルド | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2+2 | ウラッコ | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
FR | GT | 350GT | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2+2 | 400GT | イスレロ | ハラマ | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
エスパーダ | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
SUV | LM002 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
オーナー | フェルッチオ・ランボルギーニ | ロゼッティ, レイマー | イタリア政府管理下 | ミムラン | クライスラー | メガテック, Vパワー | アウディ | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
レーシングカー: ランボルギーニ・イオタ(1969) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
コンセプトカー: | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
人物: フェルッチオ・ランボルギーニ・マルチェロ・ガンディーニ・ルーク・ドンカーヴォルケ | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
公式WEBサイト: Automobili Lamborghini Holding Spa |