バリー・ジト
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
バリー・ジト Barry Zito サンフランシスコ・ジャイアンツ No.75 |
|
バリー・ジト |
|
基本情報 | |
---|---|
国籍 | アメリカ合衆国 |
出身地 | ネバダ州ラスベガス |
生年月日 | 1978年5月13日(30歳) |
身長 体重 |
6' 4" =約193cm 210 lb =約95.3kg |
選手情報 | |
投球・打席 | 左投左打 |
守備位置 | 投手 |
プロ入り | 1999年 MLBドラフト1巡目(全体9位)でオークランド・アスレチックスから指名 |
初出場 | 2000年7月22日 エンゼルス戦 |
年俸 | 14,500,000ドル(2008年)[1] |
経歴 | |
|
|
■Template ■ウィキプロジェクト 野球選手 |
バリー・ウィリアム・ジト(Barry William Zito, 1978年5月13日 - )は、アメリカ合衆国ネバダ州ラスベガス出身の野球選手。投手、左投左打。MLBサンフランシスコ・ジャイアンツに在籍している。
目次 |
[編集] 経歴
[編集] アマチュア時代
サンディエゴ大学附属高校3年生のときにリーグの1stチームに選ばれ、1996年に卒業。この年のドラフトでシアトル・マリナーズから59巡目(全体1,586位)指名を受けるが契約せず、カリフォルニア大学サンタバーバラ校に進学。1年生のときに85.1投球回で123個の三振を奪い、全米1年生1stチームに選出された。ロサンゼルス・ピアース・カレッジに転校して迎えた2年目にも103投球回で135奪三振・防御率2.62を記録し、州とカンファレンスの1stチームに選出。同校を卒業し、1998年のドラフトで2度目の指名をテキサス・レンジャーズから受ける(3巡目・全体83位)が、これも契約には至らなかった。
南カリフォルニア大学へ入ったジトは、12勝3敗・防御率3.28・113.2投球回で154奪三振という成績を残し、パシフィック・テン・カンファレンス最優秀投手に選出される。1999年のドラフトでオークランド・アスレチックスから1巡目(全体9位)指名を受けると、入団契約を交わした。
[編集] アスレチックス
2000年7月22日にメジャーデビュー。この年14試合全てで先発登板したジトは7勝4敗・防御率2.72を記録し、防御率はメジャーの30イニング以上投げた新人投手の中で最も良かった[2]。新人王投票で6位に入った。翌2001年は先発ローテーションに開幕から定着した。7月24日までの成績が6勝7敗、防御率5.01であったのに対してそれ以後の成績は、11勝1敗で8月と9月と連続でピッチャー・オブ・ザ・マンスを受賞している[3]。シーズンを通しての成績は、17勝(リーグ6位)・防御率3.49(同8位)・205奪三振(同4位)という成績を残した。ジトはティム・ハドソンやマーク・マルダーとともに、先発3本柱 "ビッグ3" と呼ばれるようになった。
2002年に23勝5敗という成績を挙げ、最多勝を獲得し、1986年のロジャー・クレメンスが受賞して以降では最年少、球団史上5人目1992年のデニス・エカーズリー以来となるサイ・ヤング賞を受賞した[4]。勝率は.818と1990年に27勝を記録したボブ・ウェルチを上回る球団史上歴代4位の高さであった[4]。
2004年12月に、FAが近づいたハドソンとマルダーをアスレチックスがトレードで放出。これによりビッグ3は解体され、ジトはチームのリーダーとなった。当時のアスレチックス監督であるケン・モッカは「バリーの成長は見事だった。過去のバリーは、ハドソン、マルダーに次ぐ第3の男で満足していた。だが、自らリーダーとして立ち上がるようになった。彼は次の段階に進んだんだ」[5]とジトの精神面での成長を認めた。しかしその一方で、運の要素を排除する "DIPS" という指標を基にして算出されたジトの成績は年々下降を続けていた[6]。
2006年には通算100勝、1000三振の大台を突破した[7]。シーズン終了後にFA権を行使したジトの獲得に、マリナーズやメッツ、レンジャーズなどが乗り出した[8]。交渉の末にジトはサンフランシスコ・ジャイアンツに移籍した。契約総額は7年1億2,600万ドルで、これは当時の投手史上最高額である。
[編集] ジャイアンツ
しかし移籍1年目の2007年は不調で、打線の援護も9イニング当たり3.87点とリーグワースト3位で[9]、11勝13敗で自身初の負け越しとなったうえ、防御率も前年より0.70悪化した。7年ぶりに投球回数が200イニングを下回り、8月5日のパドレス戦ではメジャーで初めでリリーフで登板した[9]。2008年にはさらに不振が深刻化し4月末までに開幕6連敗、防御率7.53という成績を喫する。これは1956年以降では1984年のデイブ・スチュワート、2003年のマイク・マロースに続く3人目の記録となってしまった[10]。この不振を受けて4月28日にチームはジトを中継ぎに降格させることを発表した[11]。
[編集] 特徴
2006年の全速球の平均球速は85.8mph(約138.1km/h)と、メジャーリーグでも屈指の遅さである[12]。しかし、球の出所が見づらい投球フォームと、変化球との組み合わせで打者を打ち取る。持ち球はカーブ、チェンジアップ、スライダー。特にカーブの変化が大きく、イチローは「まるで2階から落ちてくるような、落差の大きいカーブ」と評した[13]。だが制球に関してはその曲がりの大きい変化球が災いしてかあまり良くなく、2006年の99与四球はリーグワースト2位だった。
ジトの最大の長所は健康面での不安とは無縁であることである[14]。2000年のメジャー初昇格以来2006年までの7年間、先発ローテーションに定着してからそれを外れたことが1度もなく、6年連続で200投球回を超え、その間に先発登板数で4度リーグ1位となった。しかし不振に陥った2007年には投球回が200を下回り、自身初の救援登板も経験した。
[編集] 年度別投球成績
年度 | 球団 | 勝利 | 敗戦 | 試合 | 先発 | 完投 | 完封 | 完了 | セーブ | ホールド | 投球回 | 被安打 | 失点 | 自責点 | 被本塁打 | 四球 | 奪三振 | 死球 | 暴投 | 打者 | 防御率 | WHIP |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2000 | OAK | 7 | 4 | 14 | 14 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 92.2 | 64 | 30 | 28 | 6 | 45 | 78 | 2 | 2 | 376 | 2.72 | 1.176 |
2001 | OAK | 17 | 8 | 35 | 35 | 3 | 2 | 0 | 0 | 0 | 214.1 | 184 | 92 | 83 | 18 | 80 | 205 | 13 | 6 | 902 | 3.49 | 1.232 |
2002 | OAK | 23 | 5 | 35 | 35 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 229.1 | 182 | 79 | 70 | 24 | 78 | 182 | 9 | 2 | 939 | 2.75 | 1.134 |
2003 | OAK | 14 | 12 | 35 | 35 | 4 | 1 | 0 | 0 | 0 | 231.2 | 186 | 98 | 85 | 19 | 88 | 146 | 6 | 4 | 957 | 3.30 | 1.183 |
2004 | OAK | 11 | 11 | 34 | 34 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 213.0 | 216 | 116 | 106 | 28 | 81 | 163 | 9 | 4 | 926 | 4.48 | 1.394 |
2005 | OAK | 14 | 13 | 35 | 35 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 228.1 | 185 | 106 | 98 | 26 | 89 | 171 | 13 | 4 | 953 | 3.86 | 1.200 |
2006 | OAK | 16 | 10 | 34 | 34 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 221.0 | 211 | 99 | 94 | 27 | 99 | 151 | 13 | 4 | 945 | 3.83 | 1.403 |
2007 | SF | 11 | 13 | 34 | 33 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 196.2 | 182 | 105 | 99 | 24 | 83 | 131 | 4 | 5 | 850 | 4.53 | 1.347 |
通算 | 8年 | 113 | 76 | 256 | 255 | 9 | 4 | 0 | 0 | 0 | 1627.0 | 1410 | 725 | 663 | 172 | 643 | 1227 | 69 | 31 | 6848 | 3.67 | 1.262 |
※数字は2007年までのもの。太字はリーグ1位。
[編集] 獲得タイトル・表彰
- 最多勝利 1回:2002年(23勝)
- サイ・ヤング賞 1回:2002年
- MLBオールスターゲーム選出 3回:2002年、2003年、2006年
[編集] 人物
- ハンサムな顔立ちから女性ファンからの人気が高く、オフにはドラマ出演もしたことがある。一方で、奇妙な言動をたびたびするために周りから「エイリアン(異星人)」と呼ばれたり、夜は「ミスター・ジャングル」という名前のぬいぐるみを抱いて寝るなど、お茶目な一面も持っている。
- 音楽一家に生まれ、オフにはバンド活動をしていたこともある。
[編集] 参考資料
- ^ "MLB Salaries," CBSSPORTS.com. 2008年4月15日閲覧。
- ^ "Barry Zito 2000 Career Highlights (英語)" 2008年4月4日閲覧.
- ^ "Barry Zito 2001 Career Highlights (英語)" 2008年4月4日閲覧.
- ^ a b "Barry Zito 2002 Career Highlights (英語)" 2008年4月4日閲覧.
- ^ 杉浦大介 「バリー・ジート、ジャイアンツ移籍 "ビッグ3" 完全消滅」 『月刊スラッガー』2007年3月号、日本スポーツ企画出版社、2007年、雑誌15509-3、26-29頁。
- ^ 李啓充 「バリー・ジートの「アホウドリ」契約」 『NumberWeb』、2007年1月9日。2007年9月18日閲覧。
- ^ "Barry Zito 2007 Career Highlights (英語)" 2008年4月4日閲覧.
- ^ Jorge L. Ortiz, "Zito latest pitching addition in NL West," USATODAY.com, December 29, 2006. 2007年9月18日閲覧。
- ^ a b "Barry Zito 2007 Career Highlights (英語)" 2008年4月4日閲覧.
- ^ "Zito Zapped Again" the San Francisco Chronicle. 2008年4月29日閲覧.
- ^ "Zito to work things out in bullpen Struggling left-hander has lost career-worst six straight starts" The Official Site of The San Francisco Giants. 2008年4月29日閲覧.
- ^ Jerry Crasnick, "Baseball's obsession with the fastball," ESPN.com, March 26, 2007. 2007年9月18日閲覧。
- ^ 水見美和子・鉄矢多美子(取材・構成) 「その他の名手たち/スモルツ、ホフマン、マルダー、ジート、サンタナ」 『月刊メジャー・リーグ』2006年7月号、ベースボール・マガジン社、2006年、雑誌08625-7、31頁。
- ^ 出野哲也 「データから占うジートの2007年 "史上最高額投手" の真価」 『月刊スラッガー』2007年5月号、日本スポーツ企画出版社、2007年、雑誌15509-5、32-33頁。
[編集] 外部リンク
- BarryZito.com
- 選手の通算成績と情報 MLB、ESPN、Baseball-Reference、Fangraphs、The Baseball Cube
獲得タイトル・表彰 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
|
|
|
---|---|
投手 | 18 マット・ケイン / 31 ビニー・チョーク / 32 ケビン・コレイア / 41 ブラッド・ヘネシー / 52 アレックス・ヒンショウ / 55 ティム・リンスカム / 51 ノア・ロウリー / 61 オシリス・マトス / 16 パット・ミッチ / 69 ケルビン・ピチャルド / 34 ビリー・サドラー / 53 ジョナサン・サンチェス / 37 ジャック・タシュナー / 64 マーキン・バルデス / 45 タイナー・ウォーカー / 38 ブライアン・ウィルソン / 22 藪恵壹 / 75 バリー・ジト |
捕手 | -- エリザー・アルフォンゾ / 20 スティーブ・ホルム / 1 ベンジー・モリーナ / 39 ギレルモ・ロドリゲス |
内野手 | 35 リッチ・オーリリア / 29 ブライアン・ボコック / 21 ジョン・ボウカー / 7 エマニュエル・バリス / 13 ホセ・カスティーヨ / 28 トラビス・デンカー / 5 レイ・ダーラム / 19 ケビン・フランドセン / 47 トラビス・イシカワ / 40 ダニエル・オートメイヤー / 57 エウヘニオ・ベレス / 13 オマー・ビスケル |
外野手 | 49 ブライアン・ホーウィッツ / 14 フレッド・ルイス / 10 デイブ・ロバーツ / 33 アーロン・ローワンド / 12 ネイト・シャーホルツ / -- クレイ・ティンプナー / 2 ランディ・ウィン |
監督・コーチ | 15 ブルース・ボウチー(監督) / 6 ティム・フラネリー(三塁コーチ) / 26 マーク・ガードナー(ブルペンコーチ) / 58 ビル・ヘイズ(ブルペン捕手) / 39 ロベルト・ケリー(一塁コーチ) / 9 カーネイ・ランスフォード(打撃コーチ) / 46 デーブ・リゲッティ(投手コーチ) / 17 ロン・ウォタス(ベンチコーチ) |
公式サイト(英語)より 40人ロースター 監督・コーチ一覧 2008年6月3日更新 |