トランスアクスル レイアウト
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トランスアクスル レイアウトとは、自動車の車両における動力駆動機器の配置の1形態。
FRレイアウトの車は通常、重量物である変速機を、最大重量物であるエンジンの直後に配置されるが、その場合フロント重量がリアより重くなる。スポーツカーでは操縦性を高めるために、車両の重量配分が重視される。このため、重量物を車両の中心に集め、前輪・後輪それぞれにかかる荷重を等しくする(前後重量配分50:50)などの手法がとられる。重量配分均等化の有力な方法の一つとして、変速機をリアタイヤの間(リアアクスル直前)に配置する方法が考えられ、この実現にトランスミッションとディファレンシャルをアセンブリーとして一体化したトランスアクスルが利用されたため、この配置方式を一般にトランスアクスル レイアウトと呼ぶ。
欠点はコスト高となることである。すなわち前方エンジンの動力をトルクチューブを介してリアまで運びそこで変速させるために付随する部品が増え、減速前のプロペラシャフトには高精度の組み付けが必要とされるからである。
クラッチ機構をエンジン側に設けると、クラッチを切った後もトランスミッションのインプットシャフトの回転が落ちにくく(プロペラシャフトがインプットシャフト側の慣性物となるため)ギアチェンジに支障となる場合がある。 トランスミッション側に設けると、今度はエンジン側の慣性物となる(ポルシェ924/944は生産途中で改修され、両タイプが存在する)。
このレイアウトを採用したモデルとしては FR時代最後のアルファ・ロメオである75、ポルシェ・924~968、そしてマセラティ・クアトロポルテ等があげられる。また、4WDではフォード・RS200等に採用されている。
一方、CVTとの組み合わせで、大衆車ながらトランスアクスルレイアウトとなった車としては、DAF66(後のボルボ66)が知られている。
現行車種ではフェラーリ・599が採用。日本車では日産・GT-Rが採用しており、これが世界初の独立型トランスアクスル4WDとなっている。