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ダイオキシン類 - Wikipedia

ダイオキシン類

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

2,3,7,8-テトラクロロジベンゾ-1,4-ジオキシン(TCDD)の構造式。代表的なPCDDである。
2,3,7,8-テトラクロロジベンゾ-1,4-ジオキシン(TCDD)の構造式。代表的なPCDDである。
2,3,7,8-テトラクロロジベンゾフランの構造式。代表的なPCDFである。
2,3,7,8-テトラクロロジベンゾフランの構造式。代表的なPCDFである。

ダイオキシン類(-るい)とは、ポリ塩化ジベンゾパラジオキシン (PCDD) 及びポリ塩化ジベンゾフラン (PCDF) の総称である。また、コプラナーポリ塩化ビフェニル (Co-PCB) のようなダイオキシン類と同様の毒性を示す物質をダイオキシン類似化合物と呼ぶ。

ダイオキシン類は塩素を含む物質の不完全燃焼や、薬品類の合成の際、意図しない副合成物として生成する。

IARCにより、2,3,7,8-TCDDは「人に対する発がん性がある」と評価されている。

目次

[編集] 定義

1998年5月世界保健機関 (WHO) は、PCDD 及び PCDFに加え、Co-PCB もダイオキシン類として定義したため、今日では、PCDD、PCDF 及び Co-PCB の総称として、ダイオキシン類と呼ばれている。これらはダイオキシンという単独の物質を指すものではないため、ダイオキシン類と標記するのが正しい。

[編集] ダイオキシン類として規制されている物質

  • ポリ塩化ジベンゾパラジオキシン (PCDD) : 75種類の異性体
  • ポリ塩化ジベンゾフラン (PCDF) : 135種類の異性体
  • コプラナーポリ塩化ビフェニール (コプラナPCB) : PCBのうち塩素原子が分子の外側を向き平面状分子となっているもので、一般のPCBより毒性が高い。29種類の異性体

[編集] 名称の由来

1,4-ジオキシンの構造式
1,4-ジオキシンの構造式

元来、ダイオキシン(dioxin、化合物字訳基準に従った名称はジオキシン)は、IUPAC命名法の定義に基づいた有機化合物の名称で、環内に酸素原子を二つ含む六員環の不飽和複素環式化合物を指す。詳しくはジオキシンの項を参照のこと。

「ダイオキシン類」「ダイオキシン類似化合物」とされた化合物群は、生理活性に注目して分類されたものである。そのためジオキシン構造を持つPCDDの他に、ジベンゾフラン骨格からなるPCDFやビフェニルを母骨格としたCo-PCBも含まれている。

[編集] 性質

常温で、無色固体蒸発しにくく、水には溶けにくいが、油脂類には溶けやすい。他の化学物質アルカリなどと反応せず、自然には分解しにくく比較的安定した状態を保つ。しかし、紫外線により徐々に分解される。

800℃以上の高温での完全燃焼により分解可能であるが、300℃程度の温度で「デノボ合成」により再合成される。

[編集] 発生源

ごみの焼却などによる燃焼や薬品類の合成に際して、意図しない副生成物(非意図的生成物)として生じる。過去においては、米軍ベトナム戦争で散布した枯葉剤の中に不純物として含まれていたことは有名である。日本においても、PCBや農薬の一部に不純物として含まれて、環境中に排出されたという研究結果もある。

現在では、廃棄物の焼却処理過程においての発生が一番多く、その他、金属精錬施設、自動車排ガス、たばこの煙などから発生するほか、山火事や火山活動などの自然現象などによっても発生する。

一方で横浜国立大学の益永茂樹らは、過去に環境中に排出されたダイオキシン類として塩素系農薬、ペンタクロロフェノールおよびポリクロロフェニルニトロフェニルエーテル製造の副反応が主要な発生源であり、過去のこれらの農薬に不純物として含まれていたダイオキシン類が海に運ばれ魚を通じヒトに影響しているという推定を述べた。益永らによれば、この過去の排出の影響は現在の焼却過程によるものの4倍ほどとなっているという。

[編集] 焼却炉や電気炉などの対策

800℃以上の高温での保持時間を長くし完全燃焼させ、300℃程度の温度の滞留時間を短くするため急速冷却し、活性炭により生成された微量のダイオキシン類を吸着しバグフィルターでろ過してから再加熱し大気中に放出している。また、灰や活性炭などは固化処理などを行いダイオキシン類や重金属類などの溶出を防止している。処理した固化物などは管理型最終処分場に埋め立て処分することが定められている。

[編集] 家庭における非意図的な発生

塩素を含む薬剤、漂白剤などの使用。 プラスティックや食品トレイの燃焼によって発生する。

[編集] ダイオキシンによる生物への影響

[編集] 生物濃縮

陸上動物[1]においても水生生物[2]においても食物連鎖の低位にある生物よりも高位にある生物の方がより高いダイオキシン濃度を示すことが知られている。一方、PCDD、PCDF については、食物連鎖の高位にある生物の方がより低い濃度を示す傾向があることが確認されている[3]

あるいは枯葉剤の中に含まれていたダイオキシンの量にくらべ、1997年の日本の水田で使用されていた農薬に含まれていた量はベトナムに散布されたダイオキシンの量の8倍であった。日本の水田への農薬散布による土壌ダイオキシン汚染が問題視されることもある。しかし、最近の研究結果よりコメは土壌中よりダイオキシン類を吸収しないと考えられている[4]。また比較的脂肪を多く含む大豆も土壌中よりダイオキシン類を吸収しないと考えられている[5]。また他の作物の調査結果においても、土壌ダイオキシン類濃度に比べて作物での濃度は数百倍以上低く[6]生物濃縮されている事例はない。

[編集] 生物の体内への吸収経路

ダイオキシン類は消化管、皮膚、肺より吸収されることが判明しているが、一般的な生活状況では日常生活におけるダイオキシン類の総摂取量のほとんどは経口摂取によると報告されている。

ダイオキシン類の1人1日摂取量-[7]-
摂取源 摂取量
単位pg-TEQ/kg/日
大気 0.019
土壌 0.0052
魚介類 1.15
肉・卵 0.14
乳・乳製品 0.032
穀物・芋 0.0014
有色野菜 0.0018
その他 0.007
約1.35
  • 経口 : ダイオキシン類が付着しているまたはダイオキシン類を含有している食品を摂取し、消化器官から体内に吸収される。
  • 経気道 : 気体や微細な粉塵となったものを呼吸によって吸い込む。
  • 経皮 : 皮膚に付着した粉塵や気体などを皮膚表面から吸収する。

経口吸収率は脂肪に溶けている場合は90%に近いが、食物に付着している場合は50%~60%程度に半減すると考えられている。また生物種の違いにより経口吸収率に大差は認められていない。実験動物に経口投与した場合、おもに血液、肝臓、筋、皮膚、脂肪に分布し[8]、特に脂肪組織に分布し、この傾向は動物種によって違いはない。

ダイオキシン類摂取状況については食事由来のダイオキシン類摂取量は9都道府県での陰膳方式による摂取量調査の結果では平均1.25 pg/kg/day(最小値0.26~最大値2.60 pgTEQ/kg/day)であった。[9] [10]

2004年の報告では、推定値は1.41pgTEQ/kg体重/日(0.48~2.93pgTEQ/kg体重/day)である[11]

食事以外によるダイオキシン摂取量は少ないと推定されており、日本国の場合、大気由来は0.02~0.18pg/kg/day、水由来は0.001pg/kg/day、土壌由来は0.008~0.084pg/kg/dayと推定されている[12]。食品では、生物濃縮される動物性食品からが大半である。野菜に付着したダイオキシン量を減らす方法として、水洗いで何割かのダイオキシンが減り、煮る・焼くといった脂質が減るような調理によっても何割か減ると報告されている[13]

食物からのダイオキシン類の摂取量[12](1997年)
摂取量
単位pg-TEQ/kg/日
日本(1) 3.26[9]
日本(2) 1.25(0.26~2.6)
ドイツ 2.2
カナダ 2.3
オランダ 2.0
米国 0.3~3.2
イギリス 2.1

日本近海についてはアナゴカニ類の内臓など、また遠洋・輸入のマグロなどから相当濃度のダイオキシン類が検出されている。また、魚の油にダイオキシン類が多く含まれている[14]。別の報告では日本近海のイカ類、底存性サメ類、タラ類の肝臓部にダイオキシン類が高いという報告もある[15]

[編集] 排出

ダイオキシン類は肝臓のミクロゾームP450で徐々に代謝される。ダイオキシン類は尿中に排泄される量は少なく、胆汁排泄により糞便中に排泄される。排泄速度には種差が認められ、ラット・ハムスターの消失半減期は12~24日、モルモットが96日、サルで約1年である。疫学調査などによりヒトの半減期は約7.5年と考えられている。また、ダイオキシン類は母体から胎児へ移行するが、母体より胎児の濃度が高くなる例は知られていない。また、母乳中にダイオキシン類は分泌されるため、母体から新生児へ移行すると考えられている[16]

ラットを用いた実験で、食物繊維の摂取によるダイオキシン類の吸収抑制および排泄促進が報告されている[17]カネミ油症事件の治療研究では、コレスチラミンと食物繊維(米ぬか)の併用により排泄が促進されたことが報告されている[18]

[編集] ダイオキシンの有毒説、無毒説

一部にダイオキシンが有毒であるという根拠が科学的ではないとする論議がある。この議論の根拠は、ダイオキシン自体の毒性は極めて高いものの、焼却されるごみの総量に比べて生成されるダイオキシン量がはるかに小さいことに基づいている。また、生成されるダイオキシン量が焼却されるごみの総量に比例しないという研究報告にも基づいている。セベソ事故にて直接の死者や奇形児が生じていないことも根拠に挙げられることがある。疫学調査結果などの反論も発表されており、政治的な側面があるという指摘も多い。

ダイオキシン類の毒性発現機序は低濃度ではおもにアリール炭化水素受容体(Arylhydrocarbon receptor)と結合することで発現すると考えられている。ダイオキシン類とアリール炭化水素受容体との親和性は種差があることが知られており、ヒトのアリール炭化水素受容体とダイオキシン類との親和性は他の動物に比べ低いことから、ヒトがダイオキシン類の毒性について感受性の低い根拠の一つになっている。しかし実験動物では進んでいるものの、ヒトにおける発がん性・内分泌攪乱作用とアリール炭化水素受容体の役割について詳細には判明していない。

一方、アリール炭化水素受容体を介さない毒性発現も存在すると考えられており、おもに高用量での毒性発現と関係していると考えられている[16]

[編集] 人体への影響

一般向けの書物やマスメディアによって、ダイオキシンが「史上最強の猛毒」と扱われることがあるが、異論も存在する。たとえば、生物毒のように直接の即死効果を持つ毒素との比較において、ダイオキシン感受性の高い(後述)モルモットのデータから見積もっても、ボツリヌス毒素はダイオキシンに比べ、少なくとも数千倍の毒性を有する[14]。また以下に示すようなヒトに対する暴露事例において、死亡例についてはほとんど確認できない。また、環境中からヒトが摂取可能なダイオキシン量はさらに少量であり、即死効果という点において、サリンや青酸カリなどと急性毒性を比較するのは不適切である。

ダイオキシン類のヒトへの暴露の事例としては[12][19]

  1. 米国で発生した工場廃液の環境の汚染に伴う事例
  2. 工場や研究室における汚染事故
  3. イタリアのセベソにおける汚染事故(セベソ事故
  4. ベトナム戦争における枯葉剤作戦による退役軍人らに見られる影響

などが挙げられる。

ダイオキシン類の毒性は一般毒性、発がん性、生殖毒性、免疫毒性など多岐にわたりそれぞれの毒性発現量は異なると考えられている。動物実験や疫学調査によりダイオキシン類のヒトでの体内半減期は約7.5年と考えられている。

特に問題となるのは妊婦胎児への影響である。さらに、母乳には脂肪が多く含まれており、ダイオキシン類は脂肪分に多く含まれることが知られており、ダイオキシン類を摂取した授乳期の母親は食事について十分注意する必要がある[12]

ダイオキシン類の残留濃度が高い場合、糖尿病を発症するリスクが上がることが国外の研究[20][21]や、厚生労働省による研究[22]で分かった。

[編集] 一般毒性

急性毒性試験結果を見ると、致死毒性は、生物種差が極めて大きく現われる。感受性の最も高いモルモット(雄)の半数致死量は600ng/kgであるのに対してハムスター(雄)では5,000,000ng/kgである。すなわちモルモットハムスターとでは半数致死量は8000倍も異なっている。その為ヒトに対する致死毒性量はよくわかっていない。また急性毒性の発現は雌雄差があり雌の方に毒性が現れやすい傾向がある[12]

2,3,7,8-TCDDに暴露したヒトや実験動物の事例よりダイオキシン類に暴露すると急性・亜急性に次の現象・症状が現れると考えられている。

  1. 体重減少(消耗性症候群)、
  2. 胸腺萎縮
  3. 肝臓代謝障害
  4. 心筋障害
  5. 性ホルモン甲状腺ホルモン代謝
  6. コレステロール等脂質代謝
  7. 皮膚症状(クロロアクネ)
  8. 学習能力の低下をはじめとする中枢神経症状

[編集] 発がん性

実験動物(ラット、マウス及びハムスター)による長期毒性試験ではダイオキシン類の発がん性を示唆する報告がなされている。 ラットにおいては、Kocibaら(1978)が細胞の過形成結節及び肝細胞がん、硬口蓋及び鼻甲介、肺の扁平上皮がんの有意な増加を報告している。NTP毒性評価試験(1982)では肝の腫瘍結節(NOAELで1ng/kg/day)、甲状腺濾胞細胞腺腫(NOAELで1.4ng/kg/day)の増加を報告している。

ラット及びマウスの肝臓皮膚の二段階発がんモデルによるとダイオキシン類のプロモーター作用が認められ、EGF受容体及びエストロジェン受容体との相互作用の関与が示唆されている。このような2,3,7,8-TCDDには間接的なDNA障害は認められるが、直接的な結合〈記事 インターカレーションに詳しい〉は認められないと考えられている。 各種の変異原性試験等においても陰性を示す結果が多く、ダイオキシン類自体がDNAに影響を与える遺伝毒性はないものと総合的に判断される。また、ダイオキシン類のプロモーター作用と併せて考慮すると2,3,7,8-TCDDの発がん機構には閾値があり、一定量以上の存在が作用発見に必要であることが示唆される。[12]

WHOの下部機関であるIARC1997年に2,3,7,8-TCDDの発がん性評価を「人に対する発がん性がある」とした(IARC発がん性リスク一覧・Group1に詳しい)、その一方、2,3,7,8-TCDD以外のダイオキシン類についてはGroup3(ヒトでの発がん性の有無は不明)と評価している。

[編集] 生殖毒性

ベトナム戦争時の枯葉剤に副産物として含まれていたこともあり、ジャーナリズムでは強い催奇性が良く取り上げされるが、ダイオキシン自体のヒトに対する催奇形性は未確認である。セベソでのダイオキシン類暴露事故後の疫学調査では、高汚染地域で14年間に198人の出生例があったが、奇形児は0人である。

一方でセベソ事故では、男子出生の低下が確認されている。事故後はじめの7年間(2,3,7,8-TCDDの半減期にあたる)では、出生数が男児26人に対し女児48人であった。次の7年間では男児60人に対し女児64人であり、既に有差はない。[23]。またPCDFによる台湾の事例からは子供成長の遅延、行動上の問題、知力の不足等が認められている。

母乳中のダイオキシン類濃度と子の甲状腺ホルモンや免疫機能の異常との関連、ダイオキシン類の摂取量と低体重児との関連、ベトナム戦争退役軍人の枯葉剤暴露とその子供の二分脊椎の増加についてはダイオキシン類の関連が示唆されるにとどまっている。

2,3,7,8-TCDDの生殖毒性は動物実験においては胚や胎児の段階で強く現れることが知られており、代表的な催奇形性としてマウスにおける口蓋裂水腎症が発生することが知られている。動物実験で妊娠中及び授乳中の2,3,7,8-TCDDの暴露による仔の生殖機能、甲状腺機能、免疫機能への影響が低レベルで認められている。ラットを用いた3世代実験ではF0世代では100ng/kg/day、F1及びF2世代では、10ng/kg/dayより妊娠率の低下、出生仔の低体重及び性周期に影響を与えると考えられている。

生殖に影響するダイオキシン類レベル(NOAEL)はラットの3世代実験に基づくと1ng/kg/day程度、アカゲザルのデータに基づくと0.126ng/kg/day程度推定される。Mablyらによると64ng/kgのダイオキシンを含む飼料の一回投与した際に付属生殖器官の重量、精子形成の減少が見られたと報告しているが、この実験の再試験は行われていない。

これらの作用は2,3,7,8-TCDDが酵素の誘導、成長因子、ホルモン及びそれらの受容体の変化を通して、通常のホメオスタシスとホルモンバランスを変化させ、内分泌攪乱因子としての作用を及ぼしている為と考えられている[12]

[編集] 免疫毒性

動物実験では2,3,7,8-TCDDは未熟な胸腺細胞の減少を伴う胸腺の萎縮を生じさせることが知られている。マウスへの2,3,7,8-TCDD単回投与試験の結果では、NOAELが5ng/kg/dayで、ウイルス細菌寄生虫に対する感染防御機構が影響したと考えられる致死率増加や寄生虫排除の遅れが見られ、抗体産生の抑制や、リンパ球量の変動が見られた。、妊娠マウスへの2,3,7,8-TCDD投与により新生児マウスの胸腺細胞数の変化を示す結果もえられている。

ヒトに対する2,3,7,8-TCDDの免疫毒性は疫学調査ででT細胞レベルの変動を示唆する報告があるが、詳細はよくわかっていない。[12]

[編集] 一般環境中に蓄積されているダイオキシン類の対策

[編集] 土壌

環境省は土壌の環境基準(1,000pg-TEQ/g以下但し、250pg-TEQ/g以上の場合には、必要な調査を実施すること)を定めているが土壌汚染対策法の指定基準には定めが無い。なお、大阪府等の自治体は独自に条例を設けてダイオキシン類の調査・対策の手順を定めている。 ダイオキシン類は、木材などに含まれるリグニンという成分と分子構造が似ている。このため、リグニンを分解する酵素群を持つ白色腐朽菌等を使用してダイオキシン類に汚染された土壌を浄化するバイオレメディエーション技術が研究されている。

[編集] 底質

ダイオキシン類は河川や港湾の底質に多く蓄積されており、アナゴなどの水底で棲む魚介類のダイオキシン類濃度が高いことを農林水産省等が発表している。また環境省底質暫定除去基準値以上のPCBを含む底質を除去するように政令で通達している[24]。また、底質ダイオキシン類の環境基準(150pg-TEQ/g)を定めており、環境基準を超過する底質は、可及的速やかに対策を講じることが行政の目標である。

[編集] ダイオキシン問題

過去に、どんなものを燃やしてもダイオキシンが発生すると騒がれたが、ダイオキシン類は塩素を含む物質不完全燃焼したときに発生する物質である。またその発生量は、燃やした物質に含まれる塩素濃度が0.1~50%程度の場合は濃度にはほとんど関係なく、燃焼条件で決定される。

[編集] 日本でのダイオキシン問題

豊能郡美化センター[25]能勢町豊能町) 詳細内容については「豊能町#ダイオキシン問題」の項を参考のこと。

あるいは日本におけるダイオキシン汚染原因の一つは過去に使用された農薬である。特に水田除草剤に使用されたPCP、土壌殺菌剤PCNBなどには不純物としてダイオキシン類が含まれており、日本全国で汚染があったと推定されている。現在はPCPなどの使用は禁止されており、汚染は徐々に減少しているものと考えられる。

[編集] 日本での底質ダイオキシン問題

埼玉県古綾瀬川、静岡県田子の浦、千葉県市原港、富山県富岸運河、和歌山県海南地区、大阪府河川や港湾、福岡県洞海湾等で底質環境基準を超過するダイオキシン類が検出され国土交通省や各自治体が対応に取組んでいる。

[編集] 脚注

  1. ^ 蓄積と生物濃縮 (PDF) 森林総合研究所
  2. ^ 水生生物におけるダイオキシン類の生物濃縮性に関する研究 (PDF) 横浜国立大学
  3. ^ 東京湾の水生生物の食物連鎖におけるダイオキシン類の挙動(PDF)横浜国立大学
  4. ^ イネは土壌からダイオキシン類を吸収しない (農業環境技術研究所)
  5. ^ 大豆は土のダイオキシン類をほとんど吸収しない (PDF) 独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター
  6. ^ 平成14年度農地土壌および農作物に係るダイオキシン類実態調査結果 (PDF) 環境省、農林水産省
  7. ^ダイオキシン類 2005』 (PDF) (環境庁)
  8. ^ この分布は生体内の脂質分布と一致する。脂質分布は記事 コレステロールに詳しい
  9. ^ a b 魚からの摂取が大きい場合の推定は大きな幅を持っており、国民栄養調査(1995)によると日本人の5%は魚介類・魚類加工品の摂取量が平均の2倍以上であることが知られている。魚の摂取が多いケースの推定値が3.26pgTEQ/人/dayである。;ダイオキシンリスク評価検討会報告
  10. ^ 高山らによる大阪府下におけるマーケットバスケット方式推定値は総ダイオキシン類の摂取量は163 pgTEQ/人/dayであった。(高山幸司ら「日本における食事経由のダイオキシン関連物質の摂取量」『食衛誌』32、1991年、525-532頁。)
  11. ^ 平成16年度食品からのダイオキシン類一日摂取量調査等の調査結果について (厚生労働省)
  12. ^ a b c d e f g h ダイオキシンリスク評価検討会の報告の概要 環境省
  13. ^ 化学物質の子どもガイドライン(食事編) (PDF)(東京都福祉保健局)
  14. ^ 平成17年度魚介類中のダイオキシン類の実態調査について(平成17年度分報告) (PDF) 水産庁
  15. ^ 13~100pg-TEQ/gであった。  図1(2) 海洋環境モニタリングの調査位置(生体濃度調査)表5(2) 生体濃度の測定結果 『海洋環境モニタリング調査結果(平成10~11年度,中間報告)』、環境省
  16. ^ a b 塩素化ダイオキシン類の毒性について (PDF) (環境庁)
  17. ^ 森田邦正、飛石和大「ダイオキシン類の排泄促進に関する研究」福岡県保健環境研究所年報 第28号 平成12年度(2000) 福岡県保健環境研究所、2001年12月。56頁。
  18. ^ 小栗一太、赤峰昭文、古江増隆 『油症研究 30年の歩み』 九州大学出版会、2000年6月。ISBN 4-87378-642-8。序文、268-269、298-302頁。(英訳 YUSHO
  19. ^ ダイオキシンの健康リスク評価 (PDF) 独立行政法人 国立環境研究所
  20. ^ Henriksen GL, Ketchum NS, Michalek JE et al. "Serum dioxin and diabetes mellitus in veterans of Operation Ranch Hand" Epidemiolgy 8, 1997, pp252-258. PMID 9115019
  21. ^ Longnecker MP, Michalek JE. "Serum dioxin level in relation to diabetes mellitus among air force veterans with background levels of exposure" Epidemiolgy 11, 2000, pp44-48, 2000. PMID 10615842
  22. ^ 渡邊昌 『食事でがんは防げる』 光文社、2004年4月23日。ISBN 978-4334974411。110-111頁。
  23. ^ Mocarelli, P., Brambilla, P. et al. "Change in sex ratio with exposure to dioxin" The Lancet 348, 409 (1996)
  24. ^ 法令・告示・通達>底質の暫定除去基準について 日本国 環境省
  25. ^ 豊能町ダイオキシン労災訴訟

[編集] 関連項目

[編集] 参考文献

[編集] 外部リンク

[編集] 土壌汚染


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