Kinesis
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
Kinesis(キネシス)は、主にキーボードを製造、販売している米国の企業。
目次 |
[編集] 主な製品
[編集] Kinesis Contoured Keyboard
エルゴノミクスキーボードとして有名な「Kinesis Contoured Keyboard」は、一般的なキーボードデザインに対する有名な代替製品である。最もよく知られている点は、一見して分かる通常のキーボードとは異質ともいえるその形状である。人間工学に基づいて設計されており、どんぶりの底のようなくぼんだ形状にキーがそれぞれの指の長さに合わせて立体的に配置されており、それぞれのキーを打鍵するための指の移動距離が最小限ですむようになっている。中でも、リターン(エンター)キー、スペースキー、コントロールキー、オルタネートキー、デリートキー、バックスペースキー等の修飾キーを含む頻繁に使うキーが親指で押せる位置にあり、従来のキーボードではあまり活用される事の少ない親指を最大限活用する事が可能となっている。
ホームポジションの(指を置く為の)8つのキートップの形状と色が他のキーと異なり、円形にえぐれており、これがホームポジションマーカの役割を果たしている。ファンクションキーなどの最上段の列以外のキーはチェリー製のメカニカルキーの一つである通称「茶軸」が使用されている。キートップの印字は、初期のモデルは二色成型によるものだったが、現行モデルはシルク印刷による印字に変更されている。他にも一部の部品やケーブルの脱着機能などが省略されるなど、低コスト化がされている。
従来の一般的なキーボードのキー配列は、それぞれの列がレンガの塀の様に少しずつずれている。このずれはキーボードのキー配列の元になったタイプライタの機械的な構造に由来するものであるが、単なる電気的なスイッチの集合であるコンピュータ用キーボードでは意味の無いものである。Contoured Keyboardのキー配列にはこのずれは無く、むしろ横ではなく僅かに縦列にずれがあるが、これは一番長い指である中指用のキーは深い位置に、小指のような短い指用のキーは高い位置にと、人間の手と指の形や長さに合わせた結果の構造であり、無理なくタイピングする事ができる。エルゴノミクスをうたったキーボードでもこのようなずれの無いキーボードは未だに少なく、ただ単に左手と右手の担当キーを分割しただけというキーボードも少なくない。他のずれの無いキーボードはM式用キーボード[1]やTypeMatrix[2]のキーボード等が有名である。ただし、ずれのあるキーボードの中でも、μTRONキーボードのように右手用キーと左手用キーでずれを逆にし、完全な線対称のキー配置となっているものもある[3]。
また、内部に書き換え可能なフラッシュメモリを備えており、QWERTY配列とDvorak配列を切り替えたり、任意のキーをハードウェア上で割り当てる事が可能である[4]。この機能によって頻繁に使用するキーを押しやすい位置に割り振る事が可能になっている。
利点の多いContoured Keyboardだが、欠点もある。おそらく一般的な米国人の手に合わせて設計された為か、アジア人の中でも、例えば日本人にとってサイズが大きく、一番上端にあるキーを押す為にほんの僅かでは有るがパームレストから手を浮かす必要がある場合が有る。また横幅と奥行きはフルキーボード並み、高さは通常のキーボードよりも高いため、空間的なリソースを消費する。ファミリーコンピュータの初期のABボタンのようなファンクションキーはおよそエルゴノミクスとは言い難く、ファンクションキーを酷使するようなユーザには不向きである。ただ、ファンクションキーはその存在意義に疑問が持たれており[5]、互換性のためにあえて妥協して搭載した結果とも考えられる。また、試用や入手が困難で、取り扱っている店舗が極端に少ない事、価格が比較的高価である事等も否定的な要因となる可能性がある。
[編集] その他の製品
- The Kinesis Evolution Keyboard
- Maxim Split Adjustable Keyboard
- Kinesis Freestyle Keyboard
[編集] 利用
Kinesisのキーボードは、しばしば平日にずっとタイプしている人と反復運動過多損傷のような怪我に対する高いリスクがあるか苦しんでいる人によって使われる。新しい技術を使いたいと思うため、装置の主要なマーケットで居続ける人であるコンピュータプログラマーに、Kinesisは最初に広く使われた。
[編集] 脚注
- ^ M式の世界
- ^ TypeMatrix
- ^ UC Technology μTRONキーボード
- ^ 4モデルある内の入門機的な扱いであるEssentialモデルのみアサイン機能は無い。
- ^ HHKB開発の経緯『個人用小型キーボードへの長い道』によると、ファンクションキー・テンキー・カーソルキーは撲滅すべきと説かれている。
[編集] 外部リンク
- キネシス公式サイトのContoured keyboard情報
- Kinesis-Club
- 町内一過激なキーボードカスタマイズ
- Jamie Zawinski on keyboards and other ways of dealing with wrist pain.